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第10話 教員室:つかんだ手がかりは学校の先輩!!

 英語の持丸先生はまだ若壮年程度の歳なのに頭に若白髪が目立つ美形であった。

 当然生徒らからの人気も高い。

 放課後の部活動の前につばさは教員室の先生のところに怒られるつもりで出頭した。

 

「なんだ、怒られるつもりみたいな顔してるな」

 

 ところが、意外なことに持丸先生からはそう言われたのである。

 

「え? 授業が始まったのに気づかず話していたから怒られるのかな、と……」

 

 つばさが口をぽかんとしながら、わたわたと声を出した。

 

「小野口が話していた小松崎のことを話してやろうと思ってな」

 

「先生知ってるの!?」


「そりゃあ、俺が新卒のときの新入生で、学校始まって以来の才女と言われたからな」

 

「隣のエリスならまだしもうちですからね〜」

 

 と自虐的に小声で言うつばさ。そういうつばさは横浜にある市立進学校の小学校に通っていたのに、横浜のエリスや東京の桜陽のような女子トップの中高一貫校を嫌い、穏やかな校風のこの女子校に入った口であった。

 

「東大からデジタル庁に入って今のYAMATOを作ったと聞いているのですが、先生は今、小松崎さんがどちらにいらっしゃるか知ってるの?」

 

 そうつばさが聞くと、持丸先生はピシャリと言う。


「ご存じですか?と聞きなさい」

 

 そう言って嫌味なく笑う。


「結構前のことだが、YAMATOの仮想世界でなら四肢不自由な人こそ自由に活動できるからとワシン坂のリハビリテーション病院でボランティアの教室を始めたと言って、近くだからと挨拶に来た。そこに行けば会えるかもしれないぞ、先輩に」

 

「せんせ!グッジョブ!!」

 

 パッと視界がひらけた。

 としひこ君が師匠と呼んでいたのだから、その教室こそが小松崎美里ととしひこ君を結ぶ接点に違いない!!

 

 持丸先生にキスしそうな勢いでお礼を言って、つばさは教員室を飛び出した。

 

 この日は部活がない曜日だったので、家に帰って夕食を食べると、近所の数学の塾で22時までみっちりとしごかれた。関本塾の関本先生は高齢女性でスパルタだ。口の悪いつばさのお母さんは妖怪ババアと呼んでいたが、中1のときからかえることなく通わせているので、信頼はされているようだった。

 

 疲れ果てて家に帰り、ヘッドセットをかぶってメールなどをチェックする。

 ここまですでに日課だった。

 

 YAMATOのニュースを見ると、サトラレは未だに猛威を奮っているらしい。と入っても、ネタが割れてしまえば、怖がる人もいないので、多少うるさいだけではないかと、すでにインする人が増え始めたようだ。

 ただ、ニュースでは変異の兆候がみられると言っていた。

 アンチウィルスの作業が上手くいっていないらしい。

 それには裏で改変作業をするクラッカーの存在が示唆され始めていた。

 

「まさか、としひこ君がそんなことしてないよね……」

 

 そう思いつつ、つばさはネットに接続した。

 マップに入る。

 仮想の部屋に広がる地図の上に立っている。


「横浜市山下町の病院」

 

 つばさの声に反応して地図が拡大して切り替わる。

 ピンがいくつも立っていた。

 

 埋立地に建っている横浜五大中核病院の一つ横浜みなと中央病院ではない。

 

「ワシン坂……たしかとしひこ君も、変わった名前の坂の横の高台にいるって言ってたよね」

 

 先生が言っていたワシン坂…みなとのみえる丘公園から本牧に向かって降りていく坂の途中にあるリハビリの病院。


 港の見える丘公園の奥から続く道はワシン坂へと降りていき、本牧へとつながっている。この当たりまでは流石につばさもいったことがない。

 通り沿いには韓国の総領事館やインターナショナルスクール、病院の施設などがあるのは地図上でわかった。

 

「ワシン坂リハビリテーション病院、ここかな」


 そこで地図モードからリアル地図モードに変える。

 すると、まるで実際にそこにいるかのように地図の木々や建物が立ち上がった。古い石壁に深い緑、切間から比較的新しい病院が見えた。振り返れば海も見えるが、港の施設などで結構海は隠れてしまっていた。

 

 としひこのいう病院はここに違いないと当たりをつけた。

 行くならは明後日の日曜日。明日は朝からサッカー同好会、昼過ぎから英語塾、夕方から数学と理科の塾があり、夜まで忙しいつばさであった。

 

 ちょっとYAMATOにも入っておこう。

 

 半ば日課なので、気分転換に何気なくつばさはYAMATOにインする。

 いつも通りのYAMATOの家の自分の部屋にポップする……はずだったが、そこは知らない場所であった。


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