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夏の雪  作者: 五月雨 良治
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春風

2013年中華連邦臨時政府領、山東州

繰り返す爆発音と、キャタピラの騒音が気をおかしくしそうだ、多国籍軍所属日本国防軍第六軍所属第203歩兵大隊は天津方面突出部への無謀とも言える攻撃に使われた、所謂捨て駒である。

激しい戦闘で仲間の殆どは死んでしまった…

土は赤色だ、「大丈夫だ、俺は生きて帰れるさ」こういうのが見栄とも言うべきか、

また悲鳴と爆発音が聞こえてくる、いつ自分の番が来るのか?ーそう易々と死んでたまるか、すると空から飛来した悪魔と顔を会わせることになる、遅い足で力の限り走る、そのさきにはとある洋館があった。




ーーー「彼らは人類の育んだ歴史を逆戻りさせようとしている」ーーーそう告げた人間が居た、彼は人類を守った英雄だったのか?世界一の道化師だったのかはわからない。結果的に彼は多くの人を犠牲にすることとなる。それは正しかったのか?それは誰にも解らなかった。

誰もが明日生きているか、それが知りたかった。だから希望に聞こえた。


戦争があった。


大きな戦争があった。


戦争は人を文化を豊かさを奪った。


戦争は若者を奪った。


かつて、人類の亜種が約8万年前に誕生した。

彼らは電子を多く持った、所謂特異体質であり、その電子を持って強制的に物質の質量や原始を操ることをできるようになったのが、3万年前。彼らは文明の発展とともに傭兵となった。世界の如何なる国と地域で戦った。


彼らは我慢できなくなった。


そんなことを考えていれば、目の前を車が走っていく。戦争から一年、世界は立ち直りつつある、が である。なぜ僕はそんな中 国連軍極東方面軍所属日本国防軍第六軍の総司令部に来ている。


ーー数時間前


都市というのは人類の社会の縮図である、繁栄も虚栄も虚無すら存在する。それは確固たる存在でも永遠でもない、過去いくつも国が生まれては消えていったこと、どんなに強大な国の退廃がそれを証明している。そもそも人の命が永遠ではない時点で、永遠の存在など不可能なのかもしれない、95年の地震でこの町もそれを知った。誰かの努力で都市が発展し存続されているということに、それを表すような事件は古代ローマの都市ポンペイである。ローマの科学力も文化さえも、自然の猛威の前に消えていったのである。現代の大都市にとってよく見かける高層ビルの放つ光を反射する波は、いつまでその光を反射するのか、それは定かではない。

世界最大級の貿易港を有する都市、大潮市。

戦争でもあまり被害を受けてないためか、廃墟の建物は目立たない。山茶花山の麓に新しくできた、国立史科学研究大学に僕は在籍している、

もともとこの学校は東京に、建てられる予定だったが、「代々木事件」で東京から京都に変わると、府が拒否し、奈良と大阪は土地買収に失敗し、結果的に大平県に建設されることとなったのだが、潮岬から地下鉄で四駅となかなかに便利が良い。僕の家は山中台にあるから乗り換えは必要だが…このくらいは苦ではない、寧ろ一回ですむだけましだろう。申し遅れたが、僕の名前は小泉 章介、現在大学二年生。

教室にベテラン講師の声が響き渡る、「であるからして、自衛隊は一時的に国防軍へと名称を変えるのでありますからして……」

今は一時限目は現代社会学の時間である。なかなかに眠たくなる。もともと社会科は得意だが、この教師話すのに自信があるようで独語が長いのである。念仏を聞いている気分である、いや念仏の方がもう少しありがたく感じそうなものだろう。隣に要る友人の足利 古由が「あの頭は何でできてるでしょう?」と剥げてる頭を指差して言う「プラスチックじゃないのかな」と返す、「いや、鉄だろ」んなわけあるかまぁいい…

こうして時間は過ぎ講義が終わる。そんな当たり前が僕は好きだ。当たり前が、当たり前の日常、それの有り難さを知るのに、日本人は一体何万人を殺したのか、それは定かではないがそう思ったときにはすでに相当の人がこの世には居なかったのは事実だ。だから僕は今を噛み締めて生活している。講義も終わり足利と歩いていると、女の子に声をかけられた。「すいません、地下鉄駅はどこですか?」「この道を真っ直ぐ行ったところだよ」そういうと安心した表情を見せたあとで「あなたは国立史科学研究大学のかたですよね?」「そうだよ、何で君が?」そう質問するとちょっと傷付いた感じで「さっきの講義私の席の前だったじゃないですか…」「これは申し訳ない」いやしらねぇよ、後ろの奴なんか見ないだろ?「私の名前は栗橋 志穂です」「僕は小泉 章介よろしく」すると足利が「あの僕の存在忘れられてない…?」というので「栗橋さんよろしくね」ととびっきりの笑顔を見せた。



「悪かったよ!」あれから足利が怒るので、今絶賛謝罪の奢り中、あれお財布こんな薄かったけ?すると電話が掛かってきた…

「おお!小泉君久しぶりだねぇ、俺だよ、波崎友彦少将、今大将だけど…ちょっと今から司令部の方来てくれない?」ちょっと情報量多くね?

この波崎さんは僕の元上司に当たる人だ、

「司令部ってどこですか!山東州ですか?東京ですか?」「あー足りなかったな国防軍第六軍の司令部だよ、潮崎駅の近くにあるからさ」

じゃ来てね、と電話を切られた。


そして現在へ


「小泉中尉がいらっしゃいました。」「元ですよ!」そう僕は、軍歴がある。そこについては話すと長いので後々としよう。「よく来た小泉君、」波崎さんはため息をつきながら

「先日、内閣調査局の方から国防総省の方にこの書類が届けられた。これの内容は以下のようなものだ、」

大戦中に犯した罪によって一級戦犯に指定されている、「救済騎士団」の1グループが大潮市に潜伏している。彼らの目的は、国家転覆のためのテロリズムだと考えられる、彼らは今までの国立史科学研究大学に潜伏している可能性あり。「というわけだ、」「どういうわけですかね?てかなんで解ってるのに捕まえないんですか?」「一個ずつ答えていこう、なぜこの情報が知らされたのかというと、とある国が教えてくれたらしい、それもその命令書まで回してくれるんだから親切だよねぇ」「それ信じたんですか?」呆れるな、うちの国は。

「いや、それがどうにも公安の方で検査したところ、その命令書(チベットの砂嵐)の指紋と一致したらしい。」「脳筋なんですねわかります」ははは

「君には大学内部から情報を収集してほしい」

「断る権利は?」するとニヤッとした波崎さんは「総理大臣及び、衆参両院からの命令だ、やめたければ国外逃亡でもするといい」はぁ

「わかりましたよ…」こんな安易に受け入れてもいいのだろうか…


外はもう茜色に染まっていたので、夕立のなか帰宅する。足利にメールを送ってその日は寝ることとしたのだが、「寝れねぇ」


その夜、悪夢を見た


「うわぁぁぁぁぁぁ!助けてくれ!」上半身だけになった男が僕に助けを求める。

「僕は、僕は・・・・」僕は衛生兵でもない。

僕は後退りしかできなかった。「おいて…いかないでくれ…」すると蒼白い閃光が一瞬目を奪った後に


大爆発した。


逃げ出すしかなかった、戦車があったらどうだろうか?いや死んでただろう。今や動く棺桶も同然だ。すると目の前に

人間の腕が落ちていた。周囲から異臭が漂い、精神を狂わせてゆく。

「うわぁぁぁぁぁぁ!」発狂した。

すると近くにまた閃光が着弾し、僕は吹き飛ばされた。

なんとか取り戻した意識で、前線基地のあった、元大富豪の邸宅まで帰還しようと歩を進めた。


翌日


「先日行われた、大戦中のシップフラッシュによって壊滅した中東地域における復興支援を大々的に行うため中東のイラク・イラン・サウジアラビアをはじめとした国家がアラビア連邦条約に署名し、実質アラビア半島とペルシア地域は1つの国として統合された、アラビア連邦が成立しました。しかし以前として、復興や難民問題は大きな混乱を招いており、宗教的対立も深まるばかりです。続いて次のニュースは…」

朝食をつくって食べる。僕は一人暮らしなのだが、やはり家事ってもんは難しく慣れが必要なのだということを思いさらされる。ゴミの準備はやっぱりめんどくさい…

ここのところ、日本の経済は大きく回復し少子高齢化に歯止めがかかったことによって各都市では再開発が熱心に行われ日本の人口は急増しており、2020年には三億人に到達すると予測されていた。

どうやって探しだせというのでしょう?

人口は二百万人を凌駕するこの都市のどこに居ると?


同時刻、東京都千代田区国防総省

地下国防軍総司令部作戦会議

「内閣総理大臣が到着されましたので、会議を開始します。」森本官房長官の言葉で会議が始まる、伏見内閣総理大臣 42才自由平等党所属

戦前 戦中の海崎内閣元総理大臣の秘蔵っ子とあってそこそこに有能な男である。

「情報をまとめてくれ、国防大臣」

国防大臣である、富良野が起立する

「事の発端は9年前に発生した代々木事件を初めとするテロリズムが全世界で発生。複数の国で無政府状態に陥り、第三次世界大戦が昨年の初頭まで行われていました。救済騎士団の多くのは殲滅されましたが、一部の生き残りが最後の足掻きとして、西日本地域におけるテロを計画しています。」一同溜め息をついた後に「相変わらず傍迷惑な連中だな、」伏見が言う、回りもそれに同調する空気だ。「秘密裏に国防軍を西日本地区の防衛砲台に転属させておこう」また空気が冷える「首相は街を燃やす気であらせられるのか!?」きょとんとした顔の伏見が口を開く「寧ろ逆ですよ、放っておけば名古屋を初めとする東海道を中心とした、ここ東京も火の海になります。だから初っ端で叩くのです」少し考える時間が過ぎる。政府の都合で街を燃やすのか?ということと日本が火の海になるのか、どちらが大変か、究極の二択かと思われた。

「国防軍第六軍 波﨑大将

暗殺計画を望む 」

これだけである。しかしこの七文字が会議を救った。


午前11時半

本日も本日とて、足利と昼飯を食っていたところ、栗橋さんがやって来て「昨日はお世話になりました、」と言うので「別に敬語じゃなくていいよ」と返す。「なら、」と世間話を少し続けた後分かれた。

中央区を歩いていると、町の電光掲示板に人々は視線を向けていた。「ここで速報です。救済騎士団の残党が札幌の道警本部を爆破しました…」なかなかやるなと思った。これで戦力を中央政府は分散させないといけなくなったわけだ。これで政府は…ハッキリと割れた、閣議において連日「北海道はフェイクなのではないか」

「否、大潮こそフェイクで本当は北海道なのではないのか」と永遠と議論は続いた。

結局政府は、「かの国の諜報機関」というあやふやな他国の情報を信じ、西日本に戦力を集中し始めるのである。

一方小泉は

そろそろ時期は近いかもしれないな・・・

やはり嘘ではなかったのか?すると幼馴染みの

黒井が話しかけてきて「また話聞いてない」僕たちは、同じサークルの部屋にいた。

「ワルイコトシタナー」と言うと、「おま一回面貸せ」ウワコワイナ、「悪かったよ・・・」

こうして日は沈んで行く。

丑三つ時

帰り道を急げば、誰かに見られている気がして後ろを見ると、「さすがは藤原先輩を殺した男」と強そうな男が言うので、「お誉め預り光栄だが、そんな大層なやつじゃないよ」

すると男は顔をしかめたので「皮肉がわからないかなぁ」「その言葉そっくりそのまま返してやるよ」

ヤバイ、雰囲気が、これは死ぬかも…

予測通りその男は圧縮砲を撃ってきた。

圧縮砲とは原始を電子で強制的に圧縮させたものを高速で発射し、その莫大なエネルギーをもって相手を物質から分解させるもの…

咄嗟に念のためとポッケに入れておいた砂糖水を巻く。砂糖水は電気を通さない非電解質だから物質を圧縮させているのをなくせば良い。

「チッ」と男が舌打ちをする。

僕は実は持っていたブラスターを取り出し、

「失せろ」といったが「黙れ」と男が右手を掲げると小型のブラックホールが完成する。

その怪しげな見た目もそうだが、明らかに危険なやつだろう。

僕は、そいつめがけて容赦なく三発ブラスターを発砲。しかし全弾弾かれてしまった。

仕方がないので敵が攻撃の準備をしている間に側面に向かって身を屈めながら走り抜き、もう一発 意表を突いた形で発砲。予想通り防御質量壁で塞がれるが手持ちのナイフで相手を物理攻撃する。右肺を貫いた刃は赤く染まっていた。

男は圧縮した空気を使って高速移動をしながら逃げていった。決して追う必要はない、それは警察庁特務公安課の仕事である。

警察庁特務公安課とは、対能力者用の部隊であり、古くは江戸時代におかれた払い侍方と呼ばれる組織が前身として存在した。この特務公安課はSATを越える精鋭揃いであり、対能力戦のエキスパート達であり、能力者の関わる事件を取り扱っている。

大潮市中央警察暑

「明治公園近くでテロ!?」署長が驚いた声をあげる、しかし報告をした男は話を続ける。

「テロ直後に国防軍が緊急出動して、我々は手を出せない状況です。」署長は憤りを隠せない表情で机を叩いた、「軍隊は正義の味方にでもなったつもりなのか!?警察権の侵害だぞ!」

しかし、報告した男は淡々と告げる。

「一方で、第六軍総司令部は我々と秘密裏の会合を望んでいます。」署長はタバコを吹かしながら「この街で何が起きようとしてるんだろうな・・・」、当時県警本部には、ここ数日連鎖的に発生する小規模なテロ事件の報告が相次ぎ、尋常ならざるものが起きるのではないか、という噂が蔓延していた。

しかし大潮市においては、今日の今日まで一度たりとも報告が無かったのである。

中央区第六軍総司令部地下室

「やぁ、派手にやるねぇ「菜の花」君」

菜の花と呼ばれた男に向かってブラスターを突きつける波崎「さぁ何で小泉君を殺そうとしたのかなぁ?」恐怖の笑顔である。







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