夢をつかむための始まりの夢
あるゲームがサービス終了した時に、自分の構成した物語を作ろうと思いました。初めてですがよろしくお願いします。
走る、走る。ただ走ることしかできなかった。
得体の知れない何かが僕を追いかける。それは黒いもやのようであり、しっかりとした質量をもつ。
そして無数の目のようなものが無数に張り付けられたような得体の知れない何かだ。
僕は光に向かって走る。そうしないとその何かに貪り食われてしまうとわかっているからだ。
こいつに食われてしまうと何か大切なものを失ってしまう…それが恐ろしくて、それでも何もできなくて逃げるしかないのだ。
(ハァ、ハァ。嘘だろ!?)
光がどんどん黒い何かで塞がっていく。
だめだ、間に合わない。それでも一縷の望みにすがって走るしかなかった。
(くっ、ダメだ!)
光は完全に塞がれた。目のようなものが四方八方から見つめている。
どこにも逃げ場なんてない絶望的な状況。
それでも諦めなかった。
諦め切れないのは僕の長所であり、悪い所だ。
希望は諦めない者に宿る…そんな誰かから継いだ言葉が今までずっと心地よく包み込んで、首を絞めていた。
目に映る景色は絶望的な状況。
諦めてしまうと心が軽くなると頭でわかってはいたが、諦めきれずに突破法を考えていたそんな時に
―上が炎に包まれた。
(何!?)
目の前にヒトがいた。
ぼさぼさしたくすんだ赤毛に服装には気にはとめないのが一発でわかる格好。
ただ、彼の大剣を背負った背中は何よりも頼りになり希望を背負う者であると印象づけていた。
彼は握った刀で周囲の物体を焼き尽くす。僕の近くで一歩も動かずに周囲の物体は全滅した。
(あ…あの!)
言葉を出そうとしたが、出せなかった。
彼は困惑する僕に刀を渡し、こう言った。
「今日から君のものだ。希望を忘れるなよ。」
意識が光に包まれる。あぁ、これは夢だったんだなと思った瞬間、意識が途切れた。