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第零話 僕の名前は

楽しんでいただけたら幸いです。

ガタゴト、ガタゴト。

馬車が揺れる、揺れる。

縦に横にそして真っ逆さまに。


「って、馬車が真っ逆さまに揺れるってどんな状況だよ!」


バサっと立ち上がった僕はそう叫んだ。

ちなみに揺れは現在進行形である。

立っている僕もどうかしている...かもしれない。


「主人!う、馬が言うことを聞きません!わああぁぁー。」


ゴトッ

鈍い音がして悲鳴はいつしか聞こえなくなっていた。

悲鳴の主は御者だ。

つまり、俺の乗る馬車は暴走中ということになる。


「キャーーー」

「逃げろーー!」

「騎士団はまだなのか!」


外は阿鼻叫喚だよね。

ここ真っ直ぐに進むと王城にたどり着くメインストリートだし。

自分が引き起こした?と言われればそうなのでこれはほっとくのはまずそうだ。


「一旦外出るか〜。」


俺はこの馬車が粉々になっても無傷で生き残れるので悠長にことを構えられるが…


「よいしょ」


窓から、外にはい出て周りを見ると100m離れた場所に少女が一人と子猫が一人。

いつしか馬車は大通りを右に向かって曲がっていて端にいる彼女にあったってしまいそうだ。

少女は子猫を抱いいる。

撫だられている子猫はとても気持ち良さそうだ。

動物は人の心を移す鏡と知り合いの科学者の言っていたし悪い子ではないのだろう。

最近王都では犯罪経歴のある子供が増えていると聞くから善良な子は一人でも救っておきたい。


ゴロン、

「ーーっと、危ない、あぶない。」


車輪が外れたのか馬車は一回転。

判断が遅かったら窓から首がスパッとだったよ。

もう一度ひょこっと窓から顔を出す。


「一仕事しますか。」


これでも一介の冒険者ですから。

残り50m。

40

30

20


ちなみに、馬は馬車が転んだ拍子に死んだ。

あっけなく。

これだけでも首が危なかったことが十分に分かる。

馬車は現在慣性で走行中です。


「慣性停止魔法構築開始」

チャリーン!ヒュルーーーー

空中から色とりどりのリボンが出てくて複雑な円を描き出す。

その円、魔法陣が二重に三重と幾重にも重なり、回転する。

チリリリリ、ッ


10m

9

8

7

6

5


猫の黒目が大きくなる。

パッと猫が少女の腕を抜け出す。

「ちょっと、猫さーー。」

猫さん、野生の勘が鈍ってますよ。

少女もだけど。

やっと自分へ猛スピードで近づく馬車の残骸に気づいたのか少女の顔が驚愕に染まる。

このとき残り2m。



「発動」


シューウッ

魔法陣が収束する。

ピタッ

「大丈夫ですか。お嬢さん。」

ピタッと止まった馬車の上で手を差し出している僕は彼女にはどう見えたのだろう。

痛いやつでないことを祈ろう。


ーーーーーーーー第零話 「僕の名前は」


「と、止めやがった。」

「誰?あの人強そう…」

「うん、それにイケメンだし。」

「でも、あんなことできるの人に?」

「魔族っていうのか、それはないだろ。第一あの人には尻尾もツノもないじゃないか。」

「でも見たこと無いわよね」

「もしかしてあれって、創作の魔術師じゃ無いか?」

「あの有名の?まさか。」


さっきまで騒がしかったはずの街道だが一瞬にして別の意味で騒がしくなってしまった。


あちゃー、やっぱりこうなったか。

新規の魔法なんて使ったらこうなるよね。

動力停止魔法改造しただけなんだけど。

魔力第一線を規則変化の方式にしたがってーー。


「あの...」

「うん?あ、ごめんごめん。思考にふけっちゃった。」


少女と再び対峙すると思ったよりも整った顔に心臓がドギマギしてしまう。

年は17ぐらいだろうか。僕と1、2歳しか離れていないように見える。

あのときはよく見ていなかったが、整えられた黒髪に引き込まれてしまうような瞳。

カワイイ…カワイイ…カワイイ…もっと近ーーーー。


「ハッ」

頭が突然冷える。他者の魔力に抵抗したらしい。

俺は今どうしてたんだ。

なんで突然思考がこの子一色に…。


バチン


「痛ってー」


顔に突然平手打ちをくらう。

その手はゴツゴツの一般市民の使い込まれた傷だらけの手だった。


「ごめんなさい。私ーー。」


喋ろうとする少女の口を塞ぐ。

僕はもう僕が陥った状態の原因に当たりをつけていた。

そして、それを今ここでいうとまずいことになる。


顔を近づけて耳に向かって小声で話す。

「君のは魅力の魔眼かな。それも天性の。」

少女は驚いたようだったが顔を

コクン。

として頷いた。

「よしだったら、僕は気にしてないからもう言わないで。」


顔を離すと顔を真っ赤にしてこっちを見ている少女がいた。

仲間から言われた言葉を思い出す。

「リベルは最近スキンシップがすぎるわよ!」

口を塞ぐ

顔を近づける

耳に小声で話す。


“セクハラ“

の4文字が頭に浮かぶ。


「ごめん」


再起動した彼女は

「あ、ありがとうございます。」

手を取って立ち上がった彼女はスカートについた埃を払ってそう言った。

井戸端会議はまだ続いている長すぎやしないか。

「お礼したいんですけど…」

「いいよ、僕の馬車が原因だしね。」

「ですけど…何かしないと気が済みません。」

「笑って」

「?」

「笑って見せて」


僕がそういうと彼女は表情筋を必死に動かして

「ど、どうですか?」

笑った。

「もう一回。」


「こう?」

少女が再び笑顔を覗かせる。

う〜ん。

まぁ、及第点。


「君、最初から思ってたんだけど笑ってた方が可愛いよ。」


最初から彼女はぎこちなかった。

笑ってなかった。

なんだか笑っていたんだけどなんだか気持ち悪かったんだよね。


「これからも笑う練習をすること。これでお礼ってことで。」


「せめて名前を」

僕の名は。


何も言わない少女を後に僕は立ち去った。

少女が何も言わなかったのかそれともーーーだったのか。

今は誰にも分からない。

後でも誰かにしかわからない。



ーー王城。

「やばっ!急げ急げ。」


僕は急いで服を着ていた。

あの後王城に高速魔法で移動したのだけれど、門番に止められ(当たり前)強行突破したら追いかけられ(当たり前)事情を説明してなんとかここにたどり着いた(なぜそれをしない。)

ポッケットに王権、王が権力を与えたものが持つカードがあったので助かった。

この部屋に案内されて、後5分で儀式が始まると言われて頭はパニックだ。

下着を身につけた僕は目の前にあるマットブラックの綺麗な服に魔法をかけた。

さっきのリボンが服に纏わり付き、服が消えたかと思えば上から魔法陣が降ってくる。

魔法陣が過ぎたところから服を着た体が現れる。


便利な着衣魔法だ。

今日のために仕立てた一張羅だけあって、満足のいく仕上がりになっている。

なのにこれを着るのは一回だけというのが惜しい。


余裕たっぷりにとって宿を出発したのに開始時刻まであと1分。

もちろん、事故のせいだ。

長いし過ぎてしまったらしい。

「謁見の間へご案内いたします。」


30秒後

「こちらの扉が間も無く開きますのでお進みください。」

案内の人に言われた僕は大きな扉の前に立っていた。

金の縁取りにうるさくない金の彫刻が施された扉にはいくつもの魔法障壁が貼られており魔法的にも美術的にも素晴らしい一品となっている。

「ここに立つのは3年ぶりか。」

前の扉が開かれる。


僕の名は、僕の名は

「冒険者リベル•アスタルト参りました」

リベル•アスタルト。


世界最高の創作魔導師だ。







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他にも恋愛小説があるので読んでみてください。

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