■初取引■8
発注電話をした3日後、加賀から初めての売買がスタートしたと電話があった。
加賀「お世話になります、加賀です。
ご指示があった最小価格率に達しましたので一回目の売買を実行しました。」
「この後、指示通り二回目・三回目の売買を実行した場合か、平均価格率に達した場合に
再度ご連絡致します。」
和美「はい、了解です。あたしも株価チェックしてたんで今日売買したかなって思ってました。」
「今回は勉強だと思って、ダメ元で最大価格率まで決済引っ張りたいと思うんで平均価格率での
連絡は要りません。」
加賀「了解しました。では二回目・三回目の仕掛けか、最大価格率に達した場合にご連絡致します。」
和美「はい、それでお願いします。ところで、あたしエクセル苦手なんで時間空いたときにでも
電機と半導体銘柄のナンバー1・2の日足5年分の最大価格率・最小価格率・平均価格率
データを用意して貰えませんか?」
「今回同様、最小価格率付近ならそれも同じ要領・同じ条件で売買したいので。」
加賀「了解しました。では3日程お時間ください。用意できましたらご連絡致します。」
和美「無理言ってすみませんけど、よろしくお願いします。」
和美はやっと初めての売買ができて、ずっと欲しかったバッグを手に入れたようにウキウキした。
ほどなくして、今度は一夫から電話がきた。
一夫「おー和美、売買できただろ!? 俺は二回目の売買連絡きたぞ。」
和美「あ、叔父さん、この間は色々ありがとね。さっき加賀さんから電話きたよ。
で、調子に乗って電機と半導体銘柄のデータ収集お願いしちゃったw」
一夫「そうか。一旦仕掛けたら決済はずっと先だし、その間別の業種でチャンス探るのはいいぞ。」
「市場には個別銘柄で売買するのもいれば、機関投資家みたいに業種別に資金を投入するのもいる
から、リスク分散する意味でも業種バラけておくのも大事だからな。」
和美「へー、業種別で売買する人たちもいるんだ~ 機関投資家ってどんな人たち?お金持ち?」
一夫「なんだ、そんなことも知らんのか。自分の売買相手かもしれないんだから調べとけよw」
「機関投資家ってのは、銀行や証券等企業資金、年金、生保損保、投資信託、PE、財団、HF
とか、他人から預かった大規模資金を運用する奴らのことだ。」
「そいつらは厳格なルールがあるから特定企業に肩入れすることを禁じられてる場合が多くて、
業種別のバスケット売買にならざるをえんことが多いんだ。」
「高くなった業種を売って、安くなった業種に乗り換えるとか、循環売買するところもあるから、
俺たちにとってのリスク分散にも一役買ってくれてるのもある。」
「それに、決まった期日に集金することが多いから、売買する日が決まってることも多いし、
そういうときに俺たちが仕掛けれたり、決済できたりすることも多いから調べておけよ。」
和美「へー、そんな金持ち運用者相手に売買してるんだ~なんか急に儲けれる自信なくなる・・・」
一夫「個別株をただ売ったり買ったりしてる奴らは、機関投資家の逆になったらひとたまりもないなw」
「でも俺らは同業種同士の鞘取りだから一斉に売買されてもどっちかが買われて、
どっちかが売られるから、個別株だけの奴らほどの影響は受けない。」
「その意味でもかなりリスクが軽減されるわけだ。」
和美「ふーん、叔父さんが鞘取り教えてくれたおかげで、あたしの売買は随分守られてるんだね!」
「機関投資家がいつ売買してるかなんて分かるもんなの?」
一夫「出来高が多くなるバスケット売買の多くは、毎月配当の影響がある月末四営業日前や
月末の三日前くらいから特に多くなるぞ。」
和美「へー、じゃ25日~月末は業種別の上下をチェックすることにするよ。」
「あと大事な日って決まってるのある?」
一夫「んー、5・10日といって、輸出企業の決済が集中する日は決済通貨の$が激しく上下する
ことがあるから自動車や電機等輸出ウエイトが大きい業種・銘柄は注意せんとな。」
「あとサプライズで第一週末のアメリカ雇用統計は一か月で一番大きく動く可能性があるし、
日米欧の金利等金融政策を決める中央銀行会合、日米の先物・OP決済が絡む第二・第三金曜
も特に重要だから注視しとけよ。」
和美「えー、一か月にそんなに予定あるんだ~ カレンダーに書いとかないと忘れそう・・・」
一夫「個人投資家は特に株価の上下、つまりチャートの縦軸ばかり気にするけど、指標や材料等日柄、
つまりチャートの横軸の方が株価を大きく動かすファクターだってことを忘れがちになる。」
「人は生まれてから時間の中で生きていくのもあるし、俺は投資も横軸の方が重要だと思うぞ。」
和美「ふーん。よく分かんないけど最初は叔父さんの真似するって決めたからあたしもそう考える
ことにするよ。でも、儲けたいんだから株価の上下が気になるのも分かる気がする・・・」
一夫「いいか、売買で儲けるには基本的に、高く売って安く買い戻すか、安く買って高く売る
もんだけど、日柄によっては安く買ったつもりでも儲かるとは限らんし、高く買っても損する
とは限らん。」
「所詮チャート分析は確率論、いつ買いがくるか売りがくるかは分からんが、大小の差はあれ
日柄では必ず一定規模の売買がある。それは間違いない。」
「どの仕事でもルールや要領が大事なように、投資にも多くのものがある。そのルールや予定を
早く身に付けることと、日柄への”慣れ”が成功への近道だぞ。」
この日の和美のノートには、業種別・機関投資家・日柄のことについて詳しく書かれた。




