第二話 密林の虎退治part2
斉藤と分かれてから、鉄兵は密林の中を30分くらい彷徨った。
ゲリラ兵や罠を巧みに避けて人質が捕らわれているはずの密林の虎のアジトを探す。
また目の前に巡回中らしいゲリラ兵が3人歩いている。
木の陰に隠れてやり過ごそうとしたときだった。
「パキっ」
落ちていた木の枝を踏んでしまい音が出てしまった。
ゲリラ兵は音に気づいたらしく何か仲間内でいいながら、銃を構えてこちらに向かってくる。
「馬鹿者だからあれほど気をつけろといったのに」
「パキっ」
「俺もやっちまった・・・」
斉藤もやってしまい見つかったらしい。こうなればいくしかない。
「なるべく銃を使わず、他の巡回しているゲリラ兵に気づかれないように殺せよ。」
「了解」
銃を使うのは最終手段のため、気を込めたパチンコ玉をポケットから取り出す。
普段より少し気を多めに込めて弾き飛ばせば殺傷能力を持つ。
これなら音はしない。
インカムの音を聞いていると斉藤はどうやらナイフで戦っているみたいだ。
相手に銃を撃たせる前に全て殺しているみたいだ。
あと5メートルというところまでゲリラ兵は迫ってきた。
鉄兵は立ち上がり続けざまに気を込めた3発のパチンコ玉をゲリラ兵の額に向けて飛ばした。
3発ともゲリラ兵が鉄兵に気づき、銃のトリガーを引く前に額を突き破って脳に達していた。
3人のゲリラ兵はその場に倒れた。
「バリッバリッバリッ」
インカムの向こうではマシンガンの音が聞こえてきている。
「思ったより敵の数が多くてどじっちまった。なるべく多くの敵を引き付けるからお前は人質を奪還しろ。」
「斉藤さんは大丈夫ですか?」
「人の心配をしている暇があったら任務の遂行しろ。」
「了解!」
斉藤のことだ恐らく大丈夫だろう。鉄兵はまた密林を歩き出した。
30分くらい歩き続け、ようやく密林の虎のアジトらしき建物を見つけた。
それほど大きくないところを見るとアジトの一つでしかないのであろう。
耳元では相変わらず派手に銃撃戦の音が聞こえる。
早く助けにいかないと斉藤の弾薬が切れてしまう勢いだった。
しかし、そのかいあってかアジトと思われる建物の周りには誰もいなかった。
建物の扉のところまで忍び足でいき、中の音を確かめるが何も音はしなかった。
扉のノブを回すと鍵はかかっておらず開いた。
「キィ〜」
古い扉で開けるときに音がしてしまったが、誰も出てくる気配はない。
建物に入るとまず左に風呂と洗面所、右にトイレがあり、更に奥に行くと
左右に扉のついた部屋が6つあった。
手前の扉から順々に中を調べていき、最後の部屋に入ったときようやく見つけた。
椅子に座らせられ体を紐で椅子と固定され、口には猿轡をされている女性。
岩田律子だ。
だいぶやせて、顔や衣服は薄汚れているがまだ生きていた。
そして俺に気づいたらしい。
「もう大丈夫だ助けにきたぞ。」
岩田律子を縛っている紐を解こうとしたときだった。
後ろに人の気配を感じたが遅かった。