第三話 ゴーストハントpart5
先ほどの戦いから数時間がたち、時間は深夜0時を少し回っていた。
まだあばらは傷むが痛み止めの注射のおかげで動けなくはなかった。
先ほどまで鳴いていた虫の声や吹いていた風が突然やんだ。
そして口では言い表せない黒くモワッとした感じがあたりを包みだした。
「おいでなすったぞ鉄兵!」
俺は丸山さんが作った特殊なゴーグルをセットする。
実体がないものでも熱や光などのエネルギーや、空気の動きなどから
形を作ってそこに存在するかのように見せてくれるというゴーグルだ。
庭に立ち剣を構えている俺と、やはり今回は剣を構えている神無月の目の前に
体長5メートルはありそうな大きな光の物体が現れた。
確かにその形はキツネにみえなくもない。
少しゴーグルを上にずらしてみるが肉眼では何もみえず、やはりゴーグルごしにしか
見えないようだった。
しかしそいつから伝わってくる殺気のようなものはゴーグルがなくても
ビンビンと伝わってくる。
「姿が見えれば怖くない。いくぞ!」
痛み止めを打った分、少しからだが麻痺した感じだが
俺はいつもと同じかそれ以上のスピードでそいつを剣で切り裂こうとしたが
体が大きいので動きが鈍いと思いきや予想に反して素早い動きで
簡単によけられてしまい鉄兵の剣はむなしく宙を切り裂いただけだった。
そして鋭い一撃が鉄兵の左わきからくるが間一髪のところでよける。
少し間合いを取りなおし鉄兵は剣を構えなおす。
「鉄兵、1分間だけそいつの相手を頼む。この呪文が完成すればやつは動けなくなる」
「了解!」
鉄兵は一度剣を左の腰の鞘に収めると、右の腰のホルスターにさしてあった銃を引き抜くと
そいうに向かって銃を立て続けに3発放った。
2発は完全に交わされたが1発だけそいつにかすり、かすった部分だけそいつの体が四散した。
しかしすぐにまた集結すると怒り狂ったように鉄兵に突進してくる。
ドカッ
鉄兵は避けきれずまともに体当たりをくらい宙高く放り上げられ地面にたたきつけられた。
倒れて動けない鉄兵に容赦なくそいつは襲い掛かってくる。
倒れながらも鉄兵は残りの銃弾をすべてそいつに向かって撃ち込んだ。
全ての銃弾が命中しそいつは跡形もなく消え去った。
「やったぜ!」
鉄兵がそう思った瞬間倒れていた鉄兵の地面が盛り上がりまたもや空高く吹き飛ばされた。
ドスッ
「ぐはっ」
鉄兵は地面にたたきつけられた衝撃で大量の血を吐いた。
「大ピーンチ・・・」
そいつはいつの間にか鉄兵の丁度真上あたりにおり、鉄兵めがけて
鷹が獲物を狙うかのごとく凄まじい勢いで突進してくる。
「待たせたな撤兵、後はまかせろ!」