私の認識が大きく変わった〜椎茸カツ〜
目の前にあるのは、こんがりきつね色に揚がった拳よりやや大きなカツだ。
ステンレスのバットと中に敷かれた網がしっかり油を切っている。バットの底はテラテラと光る油とカツから落ちたのであろう細かい衣が散らばっている。
隣に並ぶ一緒に揚げたヒレカツは実に美味そうだ。
だが目の前のコイツに対しては私は緊張感を抱くのみだ。何故なら中が肉ではないからである。
巨大椎茸、それがコイツの正体。
私はあまり椎茸は好きではない。嫌いというほどではないがあまり積極的には食べようとは思わない。
なら何故目の前にコイツがいるのかといえば家族の誰かが食べてみたいと言ったからだ。そしてカツが一番美味しい食べ方だと言われたから。
正直私は食指が動かない。
全員の目の前に一つづつ巨大椎茸カツを取り分ける。
ゴクリ、唾を飲む。
まずは何も付けず一口。
ゆっくりと巨大なカツを口へ運ぶ。
サクリと小気味良い音を立て衣が破り、肉厚で弾力のある椎茸の傘に歯が入る。
────っ!?
感じる強いうまみ。今まで感じたことのない濃いうまみ。そして充足感。
美味しい……。
これが椎茸?
思わず自分が一口齧ったカツを凝視する。
紛れもなく椎茸である。
焼き椎茸では味わえない味だ。おそらくは衣が椎茸の水分を、旨味を逃がさないのだろう。これはカツならではの味。
また、これは普通のサイズの椎茸ではきっと駄目だろう。きっとこの大きさでなければ充足感は得られない。
次は塩で食べてみようと岩塩を振ってみる。
齧る。
美味い! 塩味が椎茸の旨味をさらに引き立てている。
続いてソースをかけてみたが、ソースの濃い味は椎茸の繊細なうまみとは相性が悪いのかイマイチであった。
巨大椎茸カツは軸まで柔らかく美味しかった。丁寧に衣をつけてじっくり時間をかけて揚げたかいがあった。
巨大椎茸カツを食べ切ったあとの満足感、素晴らしい。それにキノコだからか胃に重くない。
素晴らしい出会いだった。
さて、それでは一緒に揚げたヒレカツも食べるかと口へ運んだ。
……アレ?
なんと、いうか、物……足りない?
いつもは感じる力強い、暴力的な肉の旨味が酷く淡白で味気ない。
……失敗した。先にヒレカツを食べるべきだった。
まさか椎茸に肉がここまで負けるなんてね。
私の認識は大きく変わった、肉の暴力的な旨味こそが至上だと思っていたが、それを上回る繊細な、でも力強いうまみがあるんだって。
家族関係の細かいところはいじってますが、巨大椎茸カツに対して書いたことは思ったことそのまんまです( *`ω´)キリッ!
椎茸のカツなんてもの初めて食べてめちゃくちゃ感動したので思わず書いてしまった私です。
食べたことのない人はぜひぜひ一度ご賞味ください。きっと驚きます(*´꒳`*)




