2―3 女王様のメイド
女王様の厳しくも清らかな政治がうまくいくにつれ、城内の謀略はますます激しくなっていきました。女王が確かな地位をかためる前に、邪魔しようというのです。そんな折、少女は女王様から突然の遠ざけられてしまいます。いつも通り迎えた朝に、とうとつに側近メイドを解任されてしまったのです。女王様に会えないまま、他の側近メイドにも城を去るよう冷たく言われてしまいます。結局、少女は雇用所へ頼み込んで、元の洗濯係へと戻してもらいました。少女は地位をはく奪された事よりも、女王様の仕打ちにひどく悲しくなりました。心を通わせあっていたのに、裏切られたと思ったのです。それは最初の失恋でした。
仕事を終えた少女が当てもなく城内をうろついていると、突然ナイトの一団に取り囲まれました。小手の紋章から、それが女王の直属軍だと分かりました。
「城内にはびこる不埒なスパイめ。貴様がとなりの亡国のナイトであったことは分かっている。この国で新たな権力を握るつもりか。どの輩にそそのかされての事か、すぐに吐けば楽に死なせてやる」
少女は女王様が自分を疑っていたのだと思い当たり、落胆しました。連行しようとする直属軍につい抵抗してしまい、気が付けば城内での激しい戦闘になってしまいました。少女は攻撃をかわしながら、通りすがりの女中が取り下げていたステーキナイフを拝借し、直属軍に身構えます。兵士たちはそれを見てあざけり、笑いものにします。それも一瞬の事でした。一人、また一人とすれ違いざまに血管を切り裂かれ、たちまち全員を動けなくしてしまいました。すでに周りは城の兵士たちで取り囲まれています。少女はステーキナイフを捨て、動けなくなった直属軍ひとりひとりに回復魔法をかけていきました。直属軍の団長が叫びます。
「なんと、これだけの剣技をもち、『聖法』まで使えるとは。我が国を思うなら、兵士として職を求めるのが当然だろう。それをメイドとして働き、女王様の直属にまで潜りこんだ。それがスパイである何よりの証拠だ」
少女は反論もせず、その場を走って去りました。何人かの兵士を跳ね飛ばし、捕まることなく城外へ消えていきました。




