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2―5 女王様のメイド
大きな城の奥まった場所に、女王様の寝室はありました。かつて少女がメイドを勤めた、あの美しい女王様です。女王様は疲れた表情で月を見ていました。その横顔をいつの間にか現れた少女が見つめています。女王様が少女に気付くと、驚いて後ずさりました。
「どうやってここに来たの」
女王様が驚くのを怖がるように、少女ははにかみながらうつむきます。しばらくどちらも話しません。動いたのは少女からでした。
「女王様、お願いです。何も言わず私を抱きしめて下さい」
女王様はためらったあと、少女の肩に手を載せました。少女はたまらず、女王様に抱きついてしまします。首筋や胸に頬を擦り付けて、甘えています。女王様はしばらくされるがままでしたが、一度大きく少女の髪の匂いをかぐと、腕を回して少女の髪や背中を何度も撫でてあげました。二人は何も話さず、ただ抱き合っています。はたから見ていると、まだ大人になり切れていないただの女の子たちに見えました。
どれくらいの時間が経ったでしょうか。少女は女王様から顔を離すと、背を向けて離れていきます。女王様は何かを言いかけて手を伸ばしました。それでも、二人は結局何も言わずに別れました。




