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大好きなの!

 今朝、義也からキス(おでこ)と告白を受けた薫子は、まだ全身がほてっているのを感じながら部屋に戻ると、義也に大事な事を言い忘れた事に気付いた。


 ”今日、お父様が日本に帰ってきて、たぶん明日の朝、お父様も彼と一緒に話をしたいと思うから、その事を今日、彼に言おうと思ってたのに……しまったわ。

 だけど、まさかあんな話になるとは思わなかったから……あー、どうしよう?”

 

 その時、薫子の携帯からメールの着信を知らせる音がした。

 新しいメルアドからだ。開いてみると、義也からの初メールだった。

 

〈郡山義也です。今日は、本当にごめん。

 よく考えたら君と僕の立場の違いも考えず、僕はかなり一方的だった。

 もし君の事情が都合悪いなら、今日の事は忘れてください〉

 

 ”エーーーッ!!! なんで、そうなるの?

 今日の事、忘れるなんてできるわけないじゃない!

 私だって、あなたの居ない世界なんて考えられないのに……

 すっごく、すっごく、すっごく嬉しくて、もういつ死んでもいいくらい嬉しかったんだから! そんな事言わないでよ!”

 

 と、薫子は義也の初メールに心の中で強いショックを受けて、あわてて返信した。

 

〈鈴木薫子です。今日の事、忘れるわけないでしょ!

 すっごく恥ずかしいけど本当の事をいうと、私はあなたのこと初めてあった日から、大好きなの!

 あと明日の朝、私のお父様も一緒にあなたとお話したいって言うから、よろしく!〉


        ☆

        ☆

        ☆


 薫子の父、鈴木昇造は薫子には義也の事を調べないといったが、極秘で部下に義也の事を調べさせていた。その結果、薫子の話と、義也についての調査票には一点の違いも無かった。

 ”どうやら嘘をつかない、誠実な青年のようだ” 

 と、昇造は安心した気持ちになった。

さらに義也の父親は、昇造が尊敬していた牧師で、過去に昇造が困っていた時に助けてくれた、非常に頭脳明晰な人物であった。彼の悲報を聞いたときには、昇造は人目もはばからず号泣してしまった程だ。


 ”彼の息子さんが、薫子の初恋の相手とは……

 神様のなさる事は、なんと不思議な事だろう!

 彼には本当にお世話になったのに、何のお礼も出来ないままだった。

 今回の事で、何か彼に恩返しが出来るといいが……”


  昇造はそう考えて、日本へ向かう飛行機に乗り込んだ。

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