ⅩⅥ あきらめたくないんだよ。
「相手は春哉くんなんでしょう?。」
「・・・うん。」
小さくうなづいた。
はぁ、とママは小さくタメ息をつくと、
「春哉くんのご両親はこのこと知ってるの?。」
といった。
「春哉には、まだ言ってない…。」
そう、小さな声で言うと、
「ダメじゃない!!。」
ママのどなり声が、部屋に響き渡った。
「ご、ごめんなさい。」
「ごめんなさい、で済む話じゃないわよ!。あんた、受験生でしょ??。何やってんのよ。」
今まで聞いたことのない、ママの声が響き渡る。
大粒の涙は私の頬を流れては落ちていく。
おろしたくない。
ただ、その一心で。
「未夢。朝よ。」
いつもとまったく同じ、ママの声。
でも、今日はおきたくない。
布団のなかに潜り込む。
「未夢。」
優しい声なのに。
「婦人科に行きましょう。」
私の毛布を優しくはがして言った。
「未夢。おろしたくないのは、良く分かるわ。でもね、あなたはまだ中学三年生なのよ?。」
そんなことわかってる。
でも。。。
春哉…大好きな春哉との子供なの。
そう簡単におろしたりしたくない。
「分かってる。出てってよ。」
つい反抗してしまう。
そばにいてほしいのに。私のこと、わかってほしいのに。
「未夢。未夢はどうしておろしたくないの?。」
ママは、私のベットの上に乗ると、静かに言った。
「・・・上手く…言えないんだけど…大好きな春哉との子供なわけだし、ここでおろしたら、なんていうんだろう。後悔すると思う。」
「それが、おろしたくない理由?。」
ママはそっと言った。
「パパにその理由で通じると思う?。」
パパは、厳しい。春哉と付き合ってるのがばれたときも、「付き合うのはまだ早い。やめておけ。」と何度も言われてきた。
「そんなに未夢の意思が固いなら、私たちを、パパを、納得させてからにしなさい。」
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。




