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すうぃーと or デッド  作者: 霜月夢人
空の使者と闇の化身
9/11

第七話

「ただいま」


玄関で母親へと声をかける。


「あれ?」


母親から返事が返ってこない。


いつもなら、おかえりと返事が来るものだが。


そのままリビングへと直行する。


やはり、母親の姿がない。


「買い物か?」


いや、まだ昼過ぎだ、こんな時間から買い物には行かない。


・・・一度着替えよう。


自室にはいると、部屋が綺麗に掃除されていた。


いつもは汚い机が整理され、紙が一枚置いてあった。


「何だ?」


手に取り、それを読む。


"親愛なる息子、遙樹へ



  ((「│※・ω・│」)!

 


   心優しい美人な母より"


斬新すぎる。


「と言うか、何も伝えれてねぇよ!」


母の茶目っ気には、笑いを通り越して殺意すら覚える。


仕方なく携帯を取りだし、母親に電話をかけた。


ぷるるるぷるるるぷるるる


『ヘロー!』


「ヘローじゃねぇよ、何処に行っているんだ?」


『ハワイ』


「はぁ?」


ハワイとはあの南国の島のことか?


『あんたもお父さんが旅行会社に勤めているのは知っているでしょ?』


「知ってる」


親父は大手旅行代理店に勤めている。


確か係長で、外国語大学を卒業しているおかげか語学も堪能だったな。


『お父さんね、ハワイに転勤になったのよ。だから、私は一緒についていったわけ。しばらくは帰れないし、遙樹は学校があるからそっちで暮らす方が良いかなって、思ったから今朝伝えようとしたのだけど』


「俺が聞かずに出ていった訳か・・・。それは良いけど、俺の生活はどうするんだ?」


『洗濯や掃除ぐらい自分で出来るでしょう?お金なら大丈夫よ、仕送りしてあげるから。でもあまり使いすぎないようにね。1ヶ月一万円だから』


いきなり黄金伝説!?


「無理に決まってんだろ!」


『冗談よ。きちんとした額を送るから、毎月の請求金額をメールで送りなさい』


「わかったよ」


『じゃあ決まりね!あと、電話はあまりしないように、通話料が高くなるから。シーユーネクスタイム!バーイ!』


ぶつ


ぷーぷーぷー


ものすごく日本訛りだが、大丈夫なのだろうか。


一応、親父にも連絡しておくか。


カチカチカチ


ピッ


ぷるるるぷるるる


『Hello!Who are you?』


さすがに流暢な英語だ。


「俺だよ、親父」


『Oh!Haruki!

Are you fine?』


「元気だよ。てか英語を外してくれ」


『おお、すまんすまん。で、どうした?』


「ハワイに転勤だって?」


『そうなんだよ。まぁでも会社側が住む家まで用意してくれたし、課長にも昇進したから文句は無いんだけどね』


「おめでとう」


『ありがとう。ところでそっちは大丈夫か?一人暮らしになるだろうに』


「大丈夫だよ、念願の一人暮らしを満喫するから。じゃあ仕事頑張って」


『Thank You! 

See you next time! Bye!』


ぷつ


携帯を置き、椅子に座る。


さて、どうしたものか。


母のおかげで騒がしい家も、こうなると何だか暗く感じるから不思議だ。


少し憂鬱な気分になっていると、リビングの時計が正午を告げる鐘が鳴った。


同時に俺の腹も鳴った。


飯でも食うか・・・。


椅子から立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。


「ソーセージぐらいはあるかな・・・」


扉を開けた。


ウィダーインゼリー ×100


ゆっくりと扉を閉める。


「ハハハ・・・、これなら朝寝坊しても大丈夫だな・・・」


折れそうになる心を必死で支える。


続けて野菜室を開けると―――


カロリーメイト ×300

(フルーツ、ココア、プレーン)


黄色に染まっていた。


バカな!?


なぜ簡易食ばかりなんだ!?


母の考えに戦慄しながらもため息をつき、財布を取りに部屋へ戻る。


さすがに十秒メシはきつい。


財布をポケットにねじ込み、玄関の扉を開けた。


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