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第三話
教室へ戻ると先程は気づかなかったが、確かに席が余っている。
しかも、二つ。
転入生って二人なのか?
そんな疑問を持ちながら、河鍋と席につく。
「おい!直ぐに席につけ!」
一喝し、ゴルバチョフが教室に入ってくる。
「今から大掃除や、皆担当の先生に従い、きちんと掃除するように!掃除の班分けをするのでよく聞きなさい。まずは第一班から――――」
ゴルバチョフが次々と班分けを発表する。
「おい、河鍋。転校生は俺らのクラスじゃないのか?」
「さぁ?でも席は空いてるだろ」
ヒソヒソ声で河鍋と話す。
「さぁ?ってお前がゴルバチョフが早く消えたからって―――!」
「そこ!うるさいわ!」
ゴルバチョフの怒号が飛ぶ。
「何話してんねや?言ってみろ」
二人で顔を見合わせた。
すると河鍋がおずおずと、手を挙げた。
「転入生が来るって本当ですか?」
河鍋の一言で教室にどよめきが走る。
皆このことは知らなかったらしい。
質問されたゴルバチョフは、肩をすくめた。
「知ってたんか、おもろないな」
教室の扉のほうへ向いた。
「入ってきなさい」
全員の視線が扉へと集まる。