ハーレム主人公がいる学校
初めて連載の小説を書きました。とても拙いと思いますが見てくれれば嬉しいです。
「はあ」と俺は呟いて足を止める。どんな奴だって心の中で悪態をつく今の俺を責めることはできないだろう。なぜなら、俺の目の前には数十人の女子生徒に囲まれている男子生徒がいるのだから。
一瞬で過ぎていった春休みが終わり、高校二年生として初めての登校日。そんな大事な日に、俺は妹に起こされていた。
「早く起きなよ、お兄ちゃん。登校時間、私より早いんでしょ」
俺の妹である藍沢結依はベットの上の俺の体を揺する
「…ああ?…ああ。そうだったな。ありがとな結依。…………ってなんでお前が部屋にいんだよ!」
俺は寝起きで固まっていた脳みそを回転させ、違和感に気づく。いつもの目覚まし時計がなく、代わりに結依がいるのだ。
「いやいや〜こういうのラブコメとかでよくあるでしょ。ヒロインが起こしに来るってやつ。それをやってみようって思って、どう?興奮した?」
ニヤニヤしながら結依が話し出す。これはいつものイタズラか
「はあ、するわけねぇだろ」
「はは〜そりゃそうか。まあ、お兄ちゃんの驚く顔が見れたし私は満足だよ〜すごい顔だったね」
「バカにしてんのか」
「いやいや、たとえ高校二年生で私の先輩なのに大事な始業式の日に寝坊して私より遅く起きるどうしようもない人でも私のお兄ちゃんだからね。すっごい尊敬してるよ〜」
「やっぱりバカにしてるだろ!」
「ほらほら!早く準備しないと遅れるよ」
結依は手を叩いて、話を切り替える。結依の掌の上なのは気に食わないが、寝坊した俺が全面的に悪いためそれを聞いた俺は急いで時間を確認する。
今の時間は7時ちょうど。登校時間までは一時間ほどしかなかった。余裕そうな結依が羨ましくなる。妹は俺と同じ高校に入学するのだが入学式よりも早く始業式があるせいで今日から数日間は俺だけが早く起きないといけないのだ。
「まずい!もう出るから朝食いらないって母さんに言っといて!」
「はーい」
急いで制服に着替える。一年前はブカブカだったのに今ではピッタリなサイズだ。こういうことに時の流れを感じるようになって、俺もおっさんみたいな感性になってきてるようで怖い。
そのままカバンを持った俺は二段飛ばしで階段を降りる。そして「行ってきます!」と後ろを向かずに言って玄関開けた。
俺の家から高校までは少し遠く、電車に乗らないといけない。そして、7時30分に出る電車までに乗らないと遅刻してしまうのだ。
なので1時間あるにも関わらず急いで準備したのだが、いつものように駅の端で電車に乗り込み、高校の最寄りの駅で降りることができた。
もうここまできたなら安心だな。と遅刻しないことを確信して安堵の息を吐く。
そういえばここを通るのも終業式ぶりか。落ち着くことができると、春休みは2週間もなかったというのに登校をするのがとても久しぶりな気がして、周りの景色を見てしまう。
そういうふうに懐古しながら登校していると、高校の方で騒がしいことに気づく。急いで見に行くと、校門の前で人だかりができていた。不思議な点はその人だかりが全員女子なことだ。……ん?女子?……まさか。
そう思った俺の勘は当たっていた、あの女子たちの中央にこの状況の原因である奴の顔が見える。それは男子生徒だった。神崎蓮という俺の元親友で、まるでハーレム主人公のような男だ。
蓮について説明しろと言われると俺は迷いなく『蓮は俺と同じ人間』何て言うことさえおこがましいほどのハイスペック人間だと言うだろう。少し特徴を挙げると、身長180cmより少し低いくらいの身長。細マッチョというやつに分類される体型で、下手なアイドルよりも顔がよく、運動神経抜群で頭脳も学年で10位以内しか取ったことがないほどいい。さらには、優しく紳士的で、困っている人がいると迷わず助けに行くような人物だ。大きな事件で言えば中学生の時、強姦されそうなクラスメイトを助けたりもしていた。
まあこういう風にケチのつけようもない人物な訳だが、蓮を説明するためにはこれだけでは足りない。蓮について1番重要な点は、とにかくモテることだ。『このスペックなんだから当然だろ』なんて思っているかもしれないが、そんなものではない。蓮はちょっとのことで惚れられるのだ。落とし物を届けただけで惚れられ、席が隣になっただけで惚れられ、ただ見られるだけでも惚れられるのだ。そんなことで今ではこの高校の全ての女子生徒は神崎蓮に惚れているなんてまことしやかに噂されている。まあ噂されているなんて言ったが、これは事実だろう。まず間違いなく全員が惚れている。これは俺だけが思っていることではなく、この高校の全男子生徒が思っている。その証拠にこの高校ではどれだけ可愛いくても女子を好きになってはいけないなんて男子たちの間で言われているのだ。多分この状況も春休みの間に蓮と会えなかった女子たちの暴走だろう。
だが、そのせいで蓮は男子たちに醜い嫉妬で嫌われてしまっている。もし蓮が悪いやつだったらいじめなんてことに発展していただろうと言うほどに。
長々と語ってしまったが、何が言いたいかというと俺は神崎蓮のことを嫌っているということだ。それも他の男子とは一線を画すほどに。まあ、その理由は他の男子と同じく嫉妬なのだが。そのため俺は蓮に関わりたくないし近づきたくもない。
「おーい浩介。何してんの?」
俺が蓮のことを見ていると後ろから声がかかってきた。
「そんな怖い顔してさ、……あーなるほど。神崎がいるのね」
「おはよう慎哉」
「おはよ」
「それで、そんなに顔に出てたか?」
「出てた出てた、浩介がやると誰か気絶するんじゃってくらいの顔が」
慎哉が自分の指で目元を引っ張って怖い顔を作りながら言う
そこまでじゃないと思うんだけどなあ。まあ慎哉が言うならそうなんだろうが
「立ち話もなんだしあそこのベンチで喋らない?どうせ神崎がいる間は校門通らないんでしょ」
「そうだな」
そんなことで俺たちは近くのベンチに座って話す。
いきなり出てきて、今は俺の隣に座っているこいつの説明をしておくと、森慎哉という俺の親友だ。あのハーレム主人公と違って特筆するべき特徴がないため詳細な説明は特にする必要はないだろうが、一応大雑把な説明をしておくと身長160cmくらいで明るい髪色をしているいい奴である。慎哉と俺は一年の時に席がたまたま同じだったということがきっかけで友達になって、いつのまにか親友と言ってもいいほど仲良くなっていた。
「てか、よく俺を見つけられたよな、数十人は男子が周りにいただろ」
「浩介は自分のことをもっと見たほうがいいと思うよ。そんなガタイしてる高二なんて浩介くらいなもんだから」
慎哉がいいなぁなんてこぼしながらそう答える
確かに周りを見てみれば約190cmな人は俺しかいない。なるほどと頷くと隣からすごい視線を感じはじめる。
「さっきからそうだけど、それはもう煽ってるよね。そんなことばっか言ってると俺からの好感度が下がっちゃうよ」
「それはやばいな。今度からは見てみるようにしてみるよ」
慎哉の前で手をぶらぶらと振りながら言う
「適当すぎでしょ!って女子たちはもう教室入ったみたいだよ」
慎哉が立ち上がって指をさす。確かにあんなにいた女子生徒は綺麗さっぱり消えている。それを見た俺たちはやっと校門をくぐり校舎の方へと行く。
「ああ、そういえばクラス替えあるよね。誰と一緒がいいとかあるの?」
ふらっと慎哉がそう言ってくる。この学校はよく小説であるような三年間ずっと同じクラスメイトと…なんてことはなく、クラスメイトが一年ごとに変わるのだ。ていうか普通はそうだろう。
「俺は蓮と一緒じゃなかったら誰とでもいいかな」
「ええ!悲しいこと言うね。俺は浩介と清水さんと一緒のクラスがいいのに」
頬を膨らませながら歩く慎哉が面白く少し吹き出してしまった。
「何笑ってるんだよー。本気でそう思ってるんだからな」
「いやいや。ていうかよくそんな台詞言えるよな恥ずかしくねえのか」
「俺たちは親友だからね!」
ドヤ顔で言ってくるがそれは理由になってないんじゃないか?そんなことを言おうか迷っていると新しいクラスとクラスメイトが書いてある看板が見えてくる。それは昨年のように下駄箱のすぐ近くに置いてあった。俺はすぐさまどこのクラスか確認する。
「えーと俺は2組だな。あ、慎哉と清水も一緒のクラスだぞ」
「なんだかんだ言って嬉しそうじゃん。…でももう少しちゃんと見たほうがいいんじゃない」
慎哉が2組の生徒の名前が書いてある場所に書いてある名前を指さす。
それは“神崎蓮”と書いていた。
「は?」
つい言葉が出てしまう。
どうやら俺の高校2年生として生活するこの一年はとても大変で、楽しさなんてものから程遠いものになりそうだ。そんなことを考えながらひとまずこの現実から目を逸らすために俺は上を向いた。




