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あゝ異世界転生、亜神成り  作者: 渡名喜橋もうれ


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守護者創生

 そんなこんなで始まった、未知から始める異世界大魔境生活。

 

 テトがこの場所を知らないっていうのは驚いたけど、この魔境以外のことは知ってるはずだからまぁ良しとしよう。こんな場所でも俺の能力があれば特に困ることは無さそうだしね。


「アイノ、これからどうする予定なのだ?」


 浮遊している喋るハロウィンの量産型オバケイラストっぽいテトがそう聞いてきた。改めて見ると「これぞオバケ!」感があって非常に可愛いが、驚くことなかれ、彼はジェムボーデンの元神なのである。


「とりあえず、テトの能力値を見てみようか」


 そう言って俺はテトに目線を向けて「グラスプ」っと念じる。決して中二のアレ的な理由でグラスプなどと念じている訳ではなく、行動というか現象に名称を付けておくと、わざわざイメージせずともその名称を念じるだけで発動するからとても便利なのだ。(解析鑑定よりグラスプの方がカッコいいから……というのは素直に認める)


 テトの能力を見た感じ、ウラノスが言っていた「融通できる」というのは本当だったようで、それなりに高い能力値なんだと思う。


「ウラノスの爺さんが融通するって言ってたんだけど、多分テトも結構強いと思うよ」


「おぉ、ウラノス様からお力をいただけるとは! 誠に光栄であるな!」


 テトは浮遊しながら喜び、天に向かって祈っている。


 改めてテトに関する情報をまとめてみる。



 <名前>

 テト(テティオス)


 <年齢>

 不明


 <身長>

 六十三センチ


 <種族>

 神霊族(元神)


 <能力・称号>

 神力の残滓、森羅万象、空間収納、不老不死



 ウラノスが言っていた「融通」ってのは恐らく「神力の残滓」ってやつだな。ってことは、ある程度の攻守能力はあるってことだな。元神なだけあってかなりハイスペックだった件。


「多分、ウラノスの爺さんから『神力の残滓』ってのを付与してもらってるよ」


「ウラノス様には感謝せねば……だが、これでそれなりにやっていけそうであるな」


 上機嫌なテトに種族名を伝えるのは気が引けるので、テトにもグラスプが使えるよう能力を付与しておいた。後ほど自分で確認してみてください。見た目と種族がマッチしております。




◇ ◇ ◇




 これからやらなければならないタスクは結構多い。今後のことを考えるとむしろ山盛りなのだよ。


 <水場探し>

 今後、必ず必要になってくる農業を行うためにも、まずは水場探しは必須である。さすがに家の水だけでは無理があるため、この項目の優先度は高く最初に着手したい。


 <生活排水問題>

 俺とテトだけが生活していくのであれば今のままで問題ないが、急に人手が増えたら困るので、こちらは早めに対応しておいた方がいい気がしている。下水の処理機構の開発が必要になる。


 <ライフライン(電気やガス相当)の開発>

 地球と同じように、電気やガスを再現するのは環境破壊の観点などから却下なんだけど、この世界に存在するものを使い、地球とは別の方法で再現可能かも知れないとテトが言っていた。世界発展のためには必要になってくるタスクである。


 <農業の開始>

 非常に優先度が高いタスク。家の備蓄が尽きたら詰んでしまうので、水場の整備が完了次第必ずやらなければいけないのだが、とにかく人出が必要なタスクである。


 <食料の安定供給>

 食料が尽きて毎日狩猟生活みたいなのは億劫。食料を保存する冷蔵庫や蔵のような物も必要になる。


 <各種醸造所の建造と醸造>

 味噌や醤油がない生活というのは、元日本人の田舎者にとっては結構辛い。多分だけど、この世界の調味料って塩くらいだと思われるし、酒類の発展も絶対に停滞しているだろう。こちらも人手が必要だ。


 正直、神力を使えばある程度は解決できそうではあるんだけど、ウラノスからジェムボーデンの文明発展をよろしくって依頼されてるから、ここはクリアしなければいけないタスクなんだよな。むしろ転生時に結構融通してもらってるから、この辺は対応していかないと地味に罪悪感があるんだよね。


「やること整理すると結構あるなぁ……」


「さすがに我ら二名でやるには限界がありそうよな」


「「……」」


 さてどうするかと、テトと二人で井戸端会議をしていると、俺は閃いた。閃いてしまった。テトを受肉した時のような方法を使えば人手増やせるのでは?っと。




◇ ◇ ◇




 地球で神主の勉強をしている時に読んだ本の中に、「神はどうやって人間を創ったのか」ということが書かれた物語があった。


『神は自分をかたどった土くれで人形を創り、それに命の息吹を吹き込んだ』


 そう書かれていた。日本でも有名なアダム&イブ的なあれ。


「土くれはアレをこうして……命の息吹は……あっ、いけるわ」


「アイノ、何か良い方法が見つかったのであるか?」 


 ぶつぶつ言いながら何かをやろうとしてる俺に、テトがそう聞いてきた。


「地球で読んだ本の中にさ、『神はどうやって人間を創ったのか』っていう物語があったんだよ。そこに土くれで人形を創ったって書いてあったんだけど……」


「なるほど! ゴーレムであるか! 確かにお主が創り出したゴーレムであれば労働力として優れているだろう! 野良のゴーレムだと単なる魔物に過ぎぬが、創造したゴーレムとなれば話は別であるな! そもそもゴーレムとは……」 


 そう話をしたのだが、遮るようにテトが割り込んできた。しかも饒舌かつ早口で捲し立てるように喋っているため、何を言っているのかよくわからない。テトのオタクスイッチを押してしまったようだ。


 なんかずっと喋ってるから放っておこう。


 さてと、閃いた方法で守護者でも創生(つく)ってみるかな。


 家の敷地内の土を使って土人形、この世界だとゴーレムと呼ばれるそれを創ること自体は、思ったよりも簡単だった。完成形を想像して念じると、土がモコモコと盛り上がっていき、あっという間に土人形ができた。ただ、俺が目指すのはここから先だ。ここからはまさしく神の領域だから必見だよ。


「よし、ひとまずゴーレムは創れた」


 とりあえず三体のゴーレムが完成。会心の出来だ! 想像創造がいい仕事をしてくれたに違いない!


「素晴らしい出来であるな! これだけ立派なゴーレムであればきっといい能力も高いのであろうな! 実に見事だ!」


 テトの前のめり感が逆に怖いのだが、テトよ、本番はここからなのだよ。ふふ。


 命の息吹がどういったものなのかは、読んだ物語には書かれていなかったため、自分なりの解釈でその『命の息吹』を再現した。その方法は、自分の血を体内から少し取り出して、ゴーレムと融合させるという方法だ。取り出すといっても数滴程度なので身体への影響はない。


 血を使用しているので、恐らくホムンクルス的な要素もある。ゴーレムとホムンクルスの融合体とでもいうべき存在ができそうだ。


「体内から血を取り出して……ゴーレムに垂らして……んで、念じれば……」

 

 ゴーレム達が煙に包まれていき、全身が包まれて数秒経った。




   ―――― ぽわんっ




 煙に包まれていた三体の人形が、煙の中から人間のような容姿になって表れた。うん、無事に命の息吹が吹き込まれたようだ。


「「「はじめまして我が君ッ!」」」


 そう挨拶をし、現れた三体の者達はアイノの前に跪いた。


「ッ!!!!!」


「あ、あぁあぁぁ、アイノ! こ、これは一体なんだ……」


 テトが驚き、震えながら俺に聞いてきた。驚き通り越してるけどね。


「新種族を創生(つく)った」


「創生を『つくった』と読むな!」


 ちゃんとツッコんでくれるテト。君は優秀です。


「お主、簡単にやっているが、これはもう創造神や天空神の領域であるぞ! なぜ地上の神である亜神のお主が生命体を創りだせるのだッ?! 万物創生があるとはいえ、さすがにこれは無理なはずである!!」


 驚愕と半ギレ状態でテトが俺に聞いてくる。 


「想像創造と異世界叡智の影響だと思うぞ。地球には似たような本や物語、伝承なんかが沢山あったからね。そういうのを想像創造が統合・調整して、万物創生で再現したんじゃない?」


「っというか、なんでこ奴等は人型で私が幽霊型なんだ! あと、さっき私の種族名確認したぞ! グラスプの付与はありがとう。種族が神霊族ではないか!いや、的を得ておるか! むしろヴァイスの目を欺くことができるから有難いのか! 助かるのである! っではなくてッ!」


 何かが壊れてしまったテトであるが、一周回ってまた考え事を始めてしまった。


「ふぅ……いや、しかし……これはもう……」


「テト、時代は二千年も過ぎたんだよ。理が変わっていても不思議じゃないんじゃないか」


 っと、テトに話かけるが、しばらくは何を言っても耳に入らなそうだな。理解も納得もできず混乱状態のテトを横目に、俺は新種族達と会話を始める。


「やぁ、初めまして。上手くいってよかった。やることだらけで大変だと思うけど、これからよろしくな」


「「「今この時より、我が君に誠心誠意お仕えさせていただきます」」」


 三人供ビシッと決まった挨拶をしていてカッコいい!戦国時代の武将と家臣みたいだ。


「あまり気を張らずにね。気楽にいこう。じゃぁ、まずは名前を付けようか」


 この新種族の種族名はゴーレムとホムンクルスを掛け合わせて『ゴレムクルス』とし、通称ゴレムと呼ぶことにした。


 三体の中で唯一の女性型ゴレムクルスは『マルメロ』と名付けた。女性型ではあるのだが色々とデカイ。身長は百八十五センチほどあり、髪色の一部が山吹色をしている。服装も、メイドっぽいようなゴスロリっぽいような……なんとも不思議な服装をしている。髪型もかなり印象的で、某映画の某アントワネットみたいな盛髪をしている。彼女にはメイドとして働いてもらいたかったので、特化型ではなく万能型にした。


 <メイドゴレム>

 名前:マルメロ

 種族:ゴレムクルス

 身長:百八十五センチ

 能力:アイノの眷属、アイノの守護者、変幻自在、異世界叡智、亜空間収納、グラスプ

 備考:万能型ゴレム、アイノのメイド



 次は男性型ゴレムクルスで『ファム吉』と名付けた。農業に特化した個体である。身長は百九十センチほどあり、筋骨隆々でダビデ像かってくらいガッチリしている。あと、恐らく異世界叡智の影響によるものだろうけど、オーバーオールにサイドが刈り上がったアフロみたいな髪型をしている。昔テレビで見た農業アイドル番組の出演者みたない服装だ。


 <ファームゴレム>

 名前:ファム吉

 種族:ゴレムクルス

 身長:百九十センチ

 能力:アイノの眷属、アイノの守護者、変幻自在、異世界叡智、亜空間収納、グラスプ

 備考:農業関係特化型ゴレム



 最後のゴレムクルスも男性型で『鳶郎』と名付けた。この個体は土木建築に特化したゴレムクルスで、ファム吉と同じく身長は筋骨隆々で身長は百九十センチほどある。鳶ゴレム達の服装もユニークで、たっつけ袴に法被を羽織、地下足袋というクラシック鳶スタイルである。ちなみに髪型はマンバンヘア。


 <鳶ゴレム>

 名前:鳶郎

 種族:ゴレムクルス

 身長:百九十センチ

 能力:アイノの眷属、アイノの守護者、変幻自在、異世界叡智、亜空間収納、グラスプ

 備考:土木建築関係特化型ゴレム



 俺の血を用いて創生ったので眷属になったようだ。能力についてはある程度設定しのだが、それとは別にゴレム達は『変幻自在』という謎の能力を獲得していた。グラスプで見たところ、俺の『万物創生』の下位互換みたいな能力だった。異世界叡智も、各々特化した知識と能力を多く所持している。


 創りはしたけど、彼らの性格や個性に関しては「運命」に委ねたのだが、思ったよりだいぶ奇抜な個性を獲得していて驚いている。


「よし、名前決まったね。これから忙しくなると思うけど、よろしくな」


「ありがき幸せでございます。その名に恥じぬよう誠心誠意お仕えいたします」


 マルメロは「これぞメイド!」みたいな性格をしていて妙に頼りがいがある感じ。見た目と性格がマッチしまくっている。


「おらも我が君のため、この地のため、頑張って働くべ」


 うん。ファム吉は素朴な感じがして良い!田舎出身の俺的には非常に親しみやすい性格である。


「アイの旦那!あっしも皆と一緒に頑張りまさぁ!」


 なんだお前の喋り方は。鳶郎だけ江戸っ子みたいになってしまった。けどまぁ、田舎にもこんな剽軽ジジイいたよ。


 三人共、若干だけど俺の記憶にある何かに影響を受けてるんだよね……別に害があるわけじゃないからいいか。楽しく賑やかに緩くやっていこうと思う。


 ちなみに、この三人を無事に創生できたので、追加でそれぞれの分野ごとにゴレムクルスを創生った。


 メイドゴレムは、アプル、フィグ、オリンジ、プラムの四人を追加で創生した。なお、それに伴いマルメロをメイド長に任命した。彼女たちもマルメロ同様に盛髪で色々とデカく、髪色は一部色づいている。「アプル:赤と緑、フィグ:紫、オリンジ:橙色、プラム:ダークパープル」となっている。


 男性ゴレム達は二体ずつ創生した。


 ファームゴレムは、ファム蔵、ファム太を創生し、ファム吉をファーマーに任命。ファームゴレム達のリーダーみたいな感じかな。


 鳶ゴレムは、鳶二郎、鳶三郎を創生した。鳶郎を親方に任命。


 ちなみに、新たに創生したゴレムクルス達は、先に創生した者たちと似たような容姿をしている。髪型や服装が若干違う程度だ。ただ、やはり鳶ゴレムは全員喋り方が江戸っ子みたいになってしまった。まぁいいか。


 これで合計「十一名」の眷属が誕生した。この拠点の住人も一気に増えたし、これからが楽しみでワクワクが止まらないよね。タスク多くて面倒くさいなと思ってたけど、仲間ができたら俄然やる気が出てきた。


「じゃぁ、皆で手分けして作業しようか」


「「「「「「「「「「「はっ、御身のままにッ!」」」」」」」」」」」


 皆で一致団結し、えいえいおー!の感じだったのに、例の神霊族が盛り上がりに水を差してきた。


「えいえいおー! っじゃないんだよッ!」


「どうしたのよテト。今いい感じだったじゃん」


「どうしたも、こうしたもないわッ! 好き勝手に新種族を創るでないッ! 世界の理が乱れるかもしれぬではないか! しかもこ奴等からかなりの神力を感じるぞ!」


「でも、この子達がいれば開拓作業も捗るし、世界の文明発展に取り掛かる時間も早まるよ? しかも、こーゆーのってダラダラやるとタスクが後回しになって良くないと思うぞ。俺とテトでちんたら開拓やってたらそれだけジェムボーデンの不幸が長引くってことだよ?」


 スローライフを送りたいとは思っているものの、ウラノスの爺さんと約束した異世界救済・復興みたいな部分についてはさっさと完了させたいタスクなのだよ。そのためには新種族創生だってやるよ俺は。


 そう考えていると、マルメロが俺に質問してきた。


「アイノ様、こちらの騒がしい下級霊はどなたでしょうか?」


「だ、誰が下級霊であるかぁッ!」


 顔をピタッと勢いよくマルメロにくっつけてツッコむテトだが、マルメロは一切動じない。それどころか意にも介していない。それ一応は元神なんだよな……。


「一応、この世界の元神なんだよ、テトは」


「なるほど。っで、今は一介の下級霊ということですね」


「ま、まぁ似たようなものだね」


 マルメロの圧が強い。さっそくメイド長としての自覚があって頼もしい。必死に抵抗するテトを宥めて、とりあえず明日のタスクを皆で相談しようじゃないか。


 新しい仲間も増え、明日はどんな作業をしようかなと考えていたのだが、鳶ゴレム達は収納されていた木材でゴレムハウスを建築。地球から持ってきた家とその自分達の家とを渡り廊下で繋いでいた。


 亜空間収納って眷属なら共有されるシステムなのね。っと思ったが、実は亜空間収納の中はコモンエリアとプライベートエリアに分かれているらしい。初めて知ったよ。

 

 恐ろしい速さで建築し、四時間弱で家と渡り廊下が完成したよ。うちの子達どうなってんの……?


 マルメロ達はその家や俺の家などを整理している。


 ファームゴレム達には水場整備後の活躍に期待したいのだが、今日はやることがないため、さっと森に入っていき、すっと牛みたいな生物を抱えて帰ってきた。


 牛にしてはデカイし、そもそもこんな魔境にいるってことは……うん、魔物でしたぁッ! 


 グラスプで確認すると可食魔物だったので、それをメイドゴレム達が調理してくれた。


 今日は皆で火を囲み、星空の下で謎の牛型魔物を食べたのだが、これが予想に反してかなり美味かった。テトもそれとなく正気に戻っているので一安心だ。転生初日に星空の下でバーベキューができるなんて異世界最高です! テトも元気になってくれてよかったよ。


 さぁ、この調子で魔境開拓を進めていこう!

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