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あゝ異世界転生、亜神成り  作者: 渡名喜橋もうれ


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1/8

進化的分岐点

「お主には地球とは違う世界、いわゆる異世界に転生してもらいたい。そして、その世界を神と成って救済してくれんかの」


 突如目の前に現れた、薄っすら発光している半浮遊状態の老人から告げられた、あまりにも現実離れした頼みごと。


 ほんのさっきまで俺は一人で神社の本殿にいたはずなのに……突然目の前に謎の微発光浮遊老人が現れた。名を「ウラノス」と言うらしい。あれ、でもなんかどっかで聞いたことがあるような……あっ、ひょっとして……。


「爺さん、もしかしてうちの御祭神か?」


 それとなく浮遊老人に質問してみる。


「ほっほっほっ、勘がいいのう。ここでは浦乃杜命(うらのずのみこと)じゃが、本来はウラノスという名前で全世界の創造神じゃ。今は隠居してここに居付いておるがの」


 浮遊老人は、よく分かったなと言わんばかりに笑っている。やっぱりうちの御祭神だった。


 オジイから御祭神について詳しく聞いたことないけど、うちの御祭神って全世界の創造神だったのか。ってか、創造神が地球の山奥で隠居してるってのはよくわからないが、それはひとまず置いておこう。


 ちなみに我が家は山奥の田舎にひっそりと佇む、浦乃杜命をご祭神とする神社で、俺はそこで祖父である神前喜久治(かみまえ きくじ)と二人で神主をやっていたのだ。


 オジイは神主でありながら神職っぽくなかった。どちらかといえば武道の師範代のような見た目で筋骨隆々だったのだが、その見た目通りオジイは武術の達人だ。まぁその影響で、俺は物心ついた頃からありとあらゆる武術を嗜んできた。今じゃ俺も達人の域に到達している。


 田舎にある神社ということもあり、今思うと神社というより暇を持て余した田舎の老人たちの憩いの場のような存在であった。氏子さんたちは御祭神に参拝するというより、オジイとおしゃべりする為に神社にきているという感じだったので、特に神事があるわけではなく、神主だけど実は御祭神についてはよく知らない。オジイ曰く「御祭神は宇宙の神らしい」とのことで、それ以外のことは不明だった。だが、そんなあやふやな神社にも関わらず、氏子さんたちは頻繁に来てくれていたし可愛がってもくれた。何より、田舎特有の地域全員家族感みたいな雰囲気はとても居心地がよかった。


 しかし、そんな氏子さん達は全員天寿を全うし旅立っているため、もう周辺地域には誰もいない。子供たちはみな都会に働きに出ている限界集落だ。さらにオジイも先月亡くなったばかり。そういった理由もあって色々と忙しなくしていたが、今はやっと落ち着いてきたところだった……んだけど。

 

 そんな田舎の神社で24歳から15年間神主をやっていた俺も39歳。もはやおじさんだし、このまま年取ってジジイになっていくのかな……と思った矢先の神様出現というとんでも大珍事。軽くパニックだが、いくら考えても理解できない超常現象に直面しているので逆に冷静になった。


「爺さん、なんで俺が異世界に行くことになったんだ?こういうのって、テンプレ的には猫助けて車に轢かれるとか、ブラック企業で働きすぎて過労死したら転生してました。とかだろ?『あなたは今から異世界にいきます』みたいな事前通達ってありなの?」


 そんな軽いパニック状態から、一気に冷静になった俺の矢継ぎ早な質問に、突如目の前に現れた自称創造神を名乗る微発光浮遊老人は話を続ける。


「ほっほっほっ。まぁ転生にも色々あるんじゃよ。ただ、今回はちと特殊での。転生してもらいたいといった世界の神が『神の座』から失墜してしまったんじゃ。その者は最後の力を使って地球に逃れてきたんじゃが、その際に『輪廻の螺旋』に自身の力を移したのじゃ。そしてその力を受け継いで生まれてきたのが愛命(あいの)、お主なんじゃよ」


 とんでもないことを淡々と伝えてくる自称創造神の微発光浮遊老人。


「え、じゃぁもしかしてその呪いのせいで俺は背が伸びなかったのか?」


「それは単なる成長過程での問題じゃな。あと呪いじゃないし172cmなら普通くらいじゃろ」


 淡々とツッコむ自称神の微発光浮遊老人に俺は質問を続ける。


「爺さんがもし全世界の創造神なら、その世界の問題をなんとかできるんじゃないのか? わざわざ田舎暮らしの一般人である俺が異世界に行っても何もできなくないか?」


「それがの、神には神の掟があるのじゃ」


「神の掟?」


「そうじゃ。まず、神は大まかに分けると二通りあっての、一つはワシのような天界に住まう『天空神(てんくうしん)』、もう一つは地上に住まう『亜神(あじん)』じゃ。そして掟というのはの、天界の神は地上への過干渉ができないようになっておるのじゃ。反対に地上の亜神は天界に過干渉ができないことになっておる」


 さらに、基本的に神は不死なのだが、例外として神と神が争えば存在を消滅させることができるとウラノスは説明していた。

 神の世界も色々あるんだなと思ったけども、あんた地球で隠居しとるやないか。っと心の中でツッコんでおいたが、自称創造神の微発光浮遊老人ウラノスは説明を続けた。


「ここからが厄介なんじゃがの、彼の世界を統治しておった神から『神の座』を奪った男神が、無責任にも神の職務を放棄してしまったんじゃ。それによって彼の世界は文明発展が停滞しての、今や崩壊寸前になっておるのじゃよ……」


 なんか、連絡もなしに突然会社辞めるモンスター社員みたいな奴だなその男神。神って清廉潔白だと思ってたけど、めちゃくちゃ人間味あって逆に親近感湧くよ。そういえば海外の神話だと駄神って結構いるし、実際はこんな感じだったんだろうか……。


 まぁそれはそれとして。


「でも神が神の座を奪ったってことは、それって天界での話だよね?だったらなおさら天界の神である爺さんでなんとかできるんじゃないか?」


 首をかしげ項垂れるように自称創造神の微発光浮遊老人ウラノスはため息交じりに答えた。


「天界での出来事ならワシ等でなんとかできたんじゃがの、その男神は神に成り、あれこれやったものの上手くいかず職務を放棄してな、終いには邪神に堕ちて地上に降りてしまったんじゃ。だからもうワシ等が干渉することができなくなってしまったんじゃよ。しかも勝手に前神を恨んで邪神に堕ちるという無能っぷりでの。思い出すと腹が立つわい!」


 ギリギリと歯ぎしりをする自称創造神の微発光浮遊老人ウラノスだが、一般人の神職である俺からすれば「神マジかよ……。もし、そんな神だとは知らずに崇めてたら洒落にならないな……」って感じだよ。


「それとの、地球に逃れてきた神が弱り果てていたのも原因じゃな。現に自身の力を輪廻の螺旋に移しておるしの」


「……」


「まぁあとあれじゃ……あの世界は崩壊寸前じゃしの。お主が行かなくてもあと数百年程度でなくなるだろーなーみたいな。なんとういかお主を亜神にして転生させたところで……みたいなことじゃよ!」


 冷静になった自称創造神の微発光浮遊老人ウラノスが、見事に生えそろった長い髭を触りながらそう付け加えた。ただ、若干悲壮感漂ってるし、最後の早口は気になるけどね。


「……なるほど。だからその神の力を受け継いだ俺に白羽の矢が立ったってわけか。……ん?その理屈だと俺が異世界で『亜神に成る』ことになるんじゃないか?」


「ザッツライトじゃ!」


 顔がウザイ。自称創造神の微発光浮遊老人がするテヘペロほどウザイものはない!


「あと、さっきから気になっておったが、そのちょいちょい出てくる『自称創造神の微発光浮遊老人』ってのやめてくれる?そもそもお主が頭の中で考えていることはある程度わかるからの。どんだけ自称創造神の微発光浮遊老人を連呼するんじゃ、まったく」


 あっ、それ気になってたのね。だって自称神を名乗る知らない老人がさ、若干発光してる上にちょっと浮いてるんだもん。そりゃそうなるでしょ。まぁ気にしてるならこれからはちゃんと爺さんと呼ぶようにしたいと思う。


「なるほど亜神かぁ……。じゃぁ爺さん。今日はもう遅いから気を付けて帰ってくれよな。あっ、これ裏山で採れた柿だよ。よかったら持って帰って。じゃぁ、気を付けてな」


「ううぉおいッ! 急に痛い老人扱いして帰そうとするんじゃないわっ! 現実じゃ現実!」


 キレッキレのツッコミを決めるウラノスが真面目に話を続けた。


「今まで人間として生きてきたお主にとって、急に種族が変わるのは受け入れ難いかもしれんが、神から力を受け継いだからには力を貸して欲しいのじゃ。こちらの身勝手な頼みごとなのは重々承知じゃ。大変申し訳なく思うが異世界行き、考えてくれんかの……」


 さっきまでのテヘペロどうしたんだよ。っと思いつつも少し考え返答する。


「恐らく亜神と成って異世界に転生するってことは、現状のままってわけじゃないんだよね?なんか能力みたいなのって付与されるのか?このまま転生ってのは厳しすぎるよ」


 さすがに、着の身着のまま異世界に放り出されるのは不安しかない。何があるのか、何がいるのかも全くわからないあまりにも未知の世界だ。当然の思考だと思う。


「ん~、そうじゃのぉ~。それは彼の世界で神だった者に聞いてみるとしようかの」


 ウラノスがそう言った瞬間、強い光が差し込んだ。

 そしてその光が消え、目を開けると……目の前にはモヤモヤとした煙に包まれた光の玉が現れた。


本作がまったくの処女作になります。

誤字脱字や、おかしい言い回し等があるかとは思いますが、どうかよしなにお願いいたします。

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