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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
10章 アトラ

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第98話 出立の潮音

アトラの朝。

海底都市の広場に、光る海藻の帳が揺れていた。

一行は荷をまとめ、ついに出立の時を迎えていた。


ブチは最後まで名残惜しそうにタロと遊び、泡の輪をいくつも作っては笑わせていた。

「また遊びに来いよ! 僕は戦わないけど、遊ぶのは大歓迎だからな!」

タロは笑顔で大きく手を振る。

「絶対に戻ってくるよ! 次はもっとすごい技を見せてね!」


オルガは腕を組み、やれやれと肩をすくめながらも、どこか嬉しげに言った。

「ブチと遊んでくれて感謝する。……だが忘れるな、海は常に見ているぞ」


イヴはその言葉に頷きながら、海底を仰いだ。

「……いつか、月を見上げながら今日のことを思い出したい」

ミロが横に立ち、柔らかい声を添える。

「大丈夫よ。夢も記憶も、こうして仲間と歩めば消えないわ」


その時、海王ジークがゆるやかに近づき、その巨大な影が皆を包み込んだ。

「お前たちの誓いは、確かに海が受け取った。

 次に進むべきは“エアー”。龍の信仰を抱く地だ」


ノラは義手を握りしめ、深く息を吸う。

「……シロの死、その真実を確かめる。俺はもう迷わない」

クロも静かに続ける。

「法を守るためじゃない……平和を築くために、俺は進む」


ジークは大きく尾を振り、波のような光を広場に広げた。

「行け、若き者たちよ。潮音はお前たちの歩みを見守ろう」


海底都市アトラがゆるやかに遠ざかっていく。

胸に残る潮の音は、これからの旅を支える灯火となるだろう。


そして一行は――空族の住まう新たな地、「エアー」へ向けて旅立った。

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