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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
2章 統一政府(1)

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29/201

第29話 ノラの誓い

深夜の中央都市。

高台から見渡す街の灯は、無数の星のように瞬き、遠くまで広がる文明の息吹を照らしていた。


ノラは一人、屋上に立ち尽くしていた。

冷たい風が毛並みを揺らし、義手の金属が月光を反射する。


(……シロ。お前の死の答えを、必ず見つける)


胸の奥で、燃えるような誓いが脈打っていた。


ノラは天涯孤独だった。

家族の記憶はなく、唯一の居場所は仲間たちと過ごした日々。

シロとクロ――犬族と猫族。そして血は繋がらずとも、かけがえのない兄弟だった。


「……けど、俺はもう一人じゃない」


呟きは夜空に溶けた。

孤独に押し潰されそうな時でも、必ず隣に誰かがいた。

シロが。クロが。

そして、これから出会う仲間たちが、自分の歩む道を照らすのだ。


ノラは義手を握り締め、静かに瞳を閉じた。

その指先から、確かに力が迸る感覚があった。

普通の猫族では感じられぬ、古い血が脈打つような感覚――。


(俺は、この力を“守るため”に使う)


再び目を開く。

視線の先に聳えるのは、統一政府の塔。

そこに集う各族の政治の闇も、過去の罪も、そしてトヒの真実も

すべてを暴き、この世界の在り方を変える。


「俺が背負う。シロの想いも、クロの誇りも、トヒの声も……全部」


月光に照らされたその姿は、孤独でありながらも、確かに未来へと歩む戦士のものだった。

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