― あとがき ―
この物語は、ひとつの“喪失”から始まりました。
名を奪われた者たち。居場所を失った者たち。
そして、自分という存在を
信じられなくなった者たち。
僕もそうでした。
ある日、ずっと頭の中にあった構想を
紙を広げボールペンを握りしめて、
ひたすら物語を書き上げました。
それが、本作品です。
不貞腐れず、未来を諦めませんでした。
作中の彼らも、どんな困難も諦めませんでした。
争いの中で、憎しみの中で、時に絶望の中で
それでも「誰かのために」
生きることを選び続けたのです。
ノラという名の猫族の戦士は、
強くも不器用な魂を持っていました。
彼は“何も持たない者”として生まれ、
“繋がることで全てを得た者”として終わります。
この世界「ナナシ」は、
“名を持たない”という意味を超えて、
“誰もが名を得ることができる”
という希望の象徴になりました。
それは、現代を生きる僕たちへの
祈りでもあります。
この世界で、名もなく生きている誰かへ――。
この物語が、あなたの中の
“ノラ”に火を灯すことを願っています。
そして、ラストに名づけた新たな世界「ミロク」。
それは“弥勒”
未来に訪れるとされる救いの象徴。
3（創造）、6（維持）、9（破壊）。
その循環の中で生まれる、命への祝福の名です。
完全でもなく、清らかでもなく、
それでも歩み続ける生命たちへの賛歌。
それが「ミロク」の意味です。
この物語をここまで読んでくれたあなたへ。
本当に有難うございました。
僕は、
“有る事が難しい”=有難い=有難う
と言うことを大切にしてます。
そして、この作品を通して僕は
「会者定離」があるからこそ、
「一期一会」を大切にしてこう！
と改めて思いました。
物語は終わりましたが、
彼らの息吹はこの作品の中で生き続けます。
僕は絵心が足りないので、漫画として
この世界を伝えられなかったのが心残りです。
いつか、漫画やアニメとして「ナナシのトヒ」を
ナナシの世界へ、そしてノラたちに
新しい命を吹き込んでくれる仲間と
出会えることを願っています。
彼らが築いた“ミロク”という未来が、
あなたの現実にも
ほんの少しでも重なりますように。
――また、いつか。
再び作品を通して会える日を。
どんなアートも、死ぬことはない!!!!
作者より。
