第194話 命の灯火
光が消え、広場には静けさが戻る。
オロチの身体は淡く光りながらも動かない。
ノラたちは息を呑み、希望と不安の狭間に立ち尽くす。
「……オロチ……聞こえるか?」
「頼む、もう一度……笑ってくれ……!」
ノラとクロはオロチに語りかける。
オロチの胸の中心がかすかに光り、鼓動の音が一度だけ響く。
龍が天を仰ぎ、呟く。
「“命”とは、与えられるものではない。繋がれるものだ。そして、最後に必要な力はタロとイヴがもつ。」
「……タロとイヴの夢の力……!」
一同はタロとイヴを見つめる。
「さよう。彼が守った命が、彼を呼び戻すのだ。」
「僕とイヴを守ってくれたオロチ。君と話したいことが、まだたくさんあるんだ!」
「私も、オロチに生きてほしい……!!」
タロ、イヴの願いは光となり明かりを灯し始める。
光は一層強まり、オロチの体を包み込む。
やがて、淡い息遣いが聞こえた。
「……い、今……息を……!」「本当に……心臓の鼓動が戻りました!!」
ミロとティカは声を上げる。
ゆっくりと、オロチの瞳が開く。
その目は以前よりも柔らかく、光を宿していた。
オロチが微笑みながら、かすれた声で言う。
「……生きてるの……?俺……?」
「バカ野郎……!どれだけ心配させんだよ!」
「もう二度と、勝手に背負うな……仲間だろ!」
ノラとクロは涙を浮かべた。
ティカが泣き笑いしながらオロチの頬に手を当てる。
タロとイヴは飛びついて泣きじゃくる。
「うわあああん!よかったぁぁ!」
「もう死んじゃやだよぉ!」
オロチは弱々しく笑う。
「……ありがとう。俺……この世界の先を見たかったんだ。」
龍が静かに頷き、天を見上げる。
「願いは果たされた。彼はもう、ルーン石に縛られぬ存在だ。」
「“命”とは祈りの結晶。その証が今、ここにある。」
光が晴れ、戦場だった地の空に虹がかかる。
ナチュラビストたちは歓声を上げ、誰もが涙を流した。
ノラが立ち上がり、オロチに手を差し出す。
「行こうぜ、オロチ。お前の夢が待ってる。」
「……うん。今度こそ、ベルとの約束を守ってみせる。平和なレプタを……!」
「我は力を貸したまで。新たな時代はそなた等で始めるのだ。」
龍は目を閉じ呟いた。
「龍、タロ、イヴそしてみんな……。本当にありがとうございます。感謝します。」
オロチは礼を言った。
空の彼方では龍が微笑むようにゆっくりと姿を消しながら、風に溶けていく――。
静かに新しい朝が訪れる。




