第187話 ナナシの猛者達
荒野を越え、砂塵の向こうに統一政府の高壁が見え始めた頃。
道中、ノラたちは恐竜たちに襲われていた。
黒い翼をもつ恐竜、地を割る巨体の恐竜、素早い恐竜
三匹の恐竜がノラ達に向かってきた。
それでも七人の足は止まらなかった。
「ミロ、左足を狙ってくれ!」
クロの声に応え、ミロは槍を振るう。
「わかりました!──貫け!」
三叉の刃が閃光を放ち、イザナミが恐竜の左足を貫き恐竜の巨体はバランスを崩した。
ティカは素早い動きを観察しカゼキリを構え動きを読む。
カゼキリをしならせ、恐竜の動きを捕らえ身体を切り裂く。
オロチのカイジャは弧を描き
ベルの形見を受け継いだ刃は唸りを上げ、恐竜は翼を切り落とされ地に落ちる。
「ノラ!クロ!」
タロとイヴは、息を合わせて叫ぶ。
そして、この世界を平和にするための力が欲しいと強く望むタロとイヴの夢の力がノラとクロに宿る。
ノラは頷くと、腰のヒトフリを抜いた。
「クロ!終わらせるぞ……!」
「任せろ!」
ノラの白光を纏った一閃が巨体を両断し
クロの二つの刃による連撃が
地に落ちた翼を失った恐竜と
身動きの取れなくなった恐竜を裂き、討伐した。
荒い息を吐きながら、ミロが空を仰ぐ。
「……みんな、強くなったね。」
ティカが笑う。
「当然。ヤマトでの鍛錬が実を結んでる証拠。」
クロが肩を回しながら言った。
「これで、次、兄さんに合う時はもっと驚かせれそうだ。」
オロチがヒトフリを見つめるノラに問いかけた。
「ノラさん……世界を、本当に救えるかな?」
ノラは一瞬だけ目を閉じ、静かに答えた。
「その為に力を合わせるんだ。みんなでなら出来るさ」
警戒しながら七人は歩みを急がせ
ようやく高い城壁にノラ達は到着した。
白銀の壁面に刻まれた紋章
──それは、“平和”の象徴とされている統一政府の印。
今は、太古の覇者である恐竜たちにより平和が脅かされている…。
そして、七人は衛兵に門を通され
統一政府市街中央に辿り着き、自然と歩を止めた。
「……懐かしい顔が、揃ってるな。」
クロが呟いた先には、慰霊碑前に並ぶ数多の猛者たち。
リーフラ族四天王──パオ、ブレッド、メイル、タンタン。
そして空族のスワロとナイト。
ヤマトの破邪衆《六破》──レオン、ビャク、タマモ、ポンタ。
「無事で何よりだ。信じて待ってたぞ」
レオンが低く笑い、タマモが微笑む。
「各族の強き者がこんなに集まるなんて最初で最後かもな……。」
スワロが翼を広げ、風を巻き起こした。
「久しいな、ノラ。まさか、こんな事になるとは。今こそ、種を超え力を合わせよう」
ノラは肩を竦めて笑う。
「俺も同じ気持ちだ。そして、また会えて嬉しいよ。」
ミロが感慨深げに言った。
「みんな……同じ空を見てたんだね。」
オロチも頷く。
「やっと……ここまで来れた。」
その瞬間、地鳴りが響いた。
空族たちの羽がざわめき、レオンが鋭く目を細める。
「来やがったか……!」
門の前、黒煙の中から再び姿を現す巨大な恐竜たち。
色々な鱗を纏い、様々な恐竜たちが、群れを成して迫る。
壁の上から警報が鳴り響き、統一政府の兵たちが動き出した。
ノラはヒトフリを抜き、仲間たちを振り返る。
「もう逃げ場はねぇ。ここが、決戦の始まりだ。」
クロが狼牙を交差させ、ティカがカゼキリを握る。
そして、ミロ、オロチ、イヴ、タロ。
──七人が一斉に構えた。
吹き荒れる風が砂を巻き上げる。
夜明け前の空に、光と影がぶつかり合う。
そして、ノラの声が響いた。
「ナナシの未来を……ここで、掴み取るぞ!!」
――次なる戦いの幕が、静かに上がった。




