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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
15章 統一政府(2)

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186/201

第186話 戦いの幕開け

ヤマトを旅立ち、大陸中央の統一政府に向かう荒野の途中。

地鳴りが走る。

黒鱗を纏う2頭の恐竜が現れた。

ノラたちは即座に陣形を取る。


「ビャクさんとの鍛錬の成果……!」

ミロは冷静に槍を構える。その先端は三つに分かれていて、雷のように唸る。

ヤマトの職人がミロに作り上げた槍「イザナミ」を握り締める。

「もうあの頃とは違います!」

三叉の刃が光を帯びミロが踏み込み、一閃。

地を貫いた光が一頭の脚を貫通した。


ティカは身を翻し、腰から鞭を解いた。

「カゼキリ…。」

しなやかな鞭が風を巻き起こし、テールの刃が閃光を描く。

「無理矢理復活させられたその命……もう一度眠りにつく時です」

彼女の言葉と同時に、鞭は獣の眼を裂いた。悲鳴が森を震わせる。


オロチは静かに大鎌カイジャを持ち上げる。

「ベル……見てて。」

刃が青白く輝き、鎌の先から蛇の幻影が走る。

「父様が目覚めさせた失態。ケジメをつけるのが俺の役目!」


振り下ろした瞬間、恐竜の尾は切断され恐竜はバランスを崩した。


クロはその隙を見逃さない。

「ヤマト無双流-牙連-」

クロは両手に握り締めた狼牙で連撃を与え恐竜は倒した。


ノラは仲間の動きを見届け、深く息を吸った。


「いいぞ……だが、こいつはまだ終わらねぇ。」

残る大型の一頭が咆哮を響かせる。

ノラの瞳が赤く染まり、体毛が逆立った。


「下がれ! ここからは俺の領域だ!」


骨が軋む音。皮膚の下で筋繊維が膨張し、牙が伸びる。

古代種——剣歯虎と猫の血が混ざる、ノラの本当の姿。

ヒトフリを構え、獣の咆哮とともに地を蹴る。


その速さは音をも置き去りにした。

「……喰らえッ!」

振り抜かれた一閃が炎を断ち、恐竜の巨体を縦に裂いた。

黒煙が舞い、ノラの息遣いだけが残る。


ティカが苦笑いして呟いた。

「ノラ……強すぎ……」



「ノラその姿カッコ良すぎるよ!!!」とタロは興奮気味になる。


 「へへっ。これが俺の“古代種”の力。」

 ノラはヒトフリを地に突き、ニヤリと笑う。

「……だが、力だけじゃ何も守れねぇ。だから、《みんなで》が大切だ。」


「そうだよね!恐竜は怖いけど、みんなで力を合わせる事それが一番大切…!!」

とイヴは笑顔を見せる。


イヴの笑顔を見てミロも笑った。

「もちろん!私たちも同じ気持ちです。ねっ?クロ、ティカ、オロチ?」

ティカがうなずき、オロチは無邪気な笑みを溢して鎌を肩に担ぐ。


七人は中央の道へと急ぎ走った。

 

そして、遠くで警報が鳴り響く。

まだ遠くに聳える統一政府の防壁の姿が見えてきた。

ナナシの世界の中央。

かつて種族間の争いを起こさない為に設立された場所…。

彼らが求める真実がある。


「……行くぞ。ナナシの平和を、そして未来を守るんだ。」


ノラの声に七人がうなずいた。

風が彼らの衣をはためかせる。

ヒトフリ、狼牙、イザナミ、カゼキリ、カイジャ

五つの武器が光を放ちながら……。

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