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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
14章 レプタ(2)

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185/201

第185話 団結の誓い

夜明け前、議事堂の前庭に七つの影が並んでいた。

薄紅に染まり始めた空の下、ノラたちは静かに立ち尽くす。

冷たい風が頬を撫でるたび、それぞれの胸に決意の炎が揺れた。


「いよいよ、統一政府へ向かうんですね……。」

ミロが小さく呟いた。

その声には、不安よりも強い覚悟が宿っていた。


「恐竜が北上してる。のんびりしてる暇はない。」

クロが腕を組み、唇の端を僅かに上げる。

「だが──今の俺たちなら大丈夫だ。たとえ相手が恐竜でもな。」


タロが頷きながら笑った。

「うん。だって僕らは“自分のため”に戦うんじゃない。

 “みんなの世界”を守るために戦うんだ。」


ティカは腰の鞭を撫でながら、静かに言葉を継いだ。

「……レプタの空を見た時、悍ましさに身が震えた。

 でも、あれを放っておけるほど私は弱くない。」


イヴが柔らかく微笑む。

「悲しみを背負うのはもう終わりにしよう。

 ベルも、みんなの願いも──この手で繋いでいくために。」


オロチは少しうつむきながら、拳を胸に当てた。

「俺には、父様の血が流れてます。

 それでも……信じてくれるなら、僕は命を懸けます。

 ベルのように、誰かを救う側に立ちたい。」


ノラはしばらく空を見上げ、ゆっくりと仲間たちを見回した。

まだ薄暗い空の向こうに、東の光が少しずつ差し込み始める。


「……俺たちは、それぞれ違う種族だ。

 生まれも、力も、考え方も違う。

 だが──“守りたいもの”は、同じだろう。」


クロが鼻で笑う。

「ふん、そんなクサい台詞、似合わないぞ、ノラ。」


「そうか?」

ノラが微笑む。

「でも、本気だ。」


その言葉に、ミロが優しく頷いた。

「うん……私たち、もうバラバラじゃない。

 “七つの心”で一つの願いを抱く時だね。」


タロが手を差し出した。

「じゃあ、誓おう。ナナシの世界を、守り抜くって!」


イヴがその手を掴み、クロ、ミロが重ね、ティカ、オロチが続く。

最後にノラが静かに手を置いた。


「どんな結果が訪れても、恐れるな。

 この手は、仲間を離さない。

 俺たちは──“七つの誓い”で結ばれた仲間だ。」


朝日が地平線を染めた瞬間、七人の想いの灯火は一つに重なりまるで虹のように輝きをみせる。

その光の中に、確かな未来が見えた気がした。


ノラは振り返らずに歩き出す。

「行くぞ。統一政府が待ってる。」


彼らの足音が、まだ眠る街に響く。

その音は、ナナシの世界に希望を告げる新たな鼓動となった。

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