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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
13章 ヤマト(2)

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170/201

第170話 失踪と怒り

六人とヤマト無双流道場で共に汗を流す日々。

信頼が育ち、戦いに備える強さと絆が深まっていった。


タロとイヴも、毎日隅っこでノラたちを見守りながら、龍の言葉を思い返していた。

「夢の力とは何ぞや。その望みの強さに比例する。強く願い、夢を見る者ほど、その想いは大きな力となる。」


互いに夢を語り合いながら、自分たちの想いを確かめ合う二人。

日々の修練の中で、夢は力となり、仲間との絆を支えていた。


しかし、ある朝、いつも通りの修練を終えた道場で異変が起こる。

昼を過ぎても、タロとイヴが現れなかったのだ。


「おかしいわね……いつもならもう来てるのに」

ミロが杖を握りしめ、辺りを見回す。


クロも眉を寄せ、周囲の気配を探る。

「何かあったのか……?」


その時、血相を変えた猫王の側近、グイの従者が道場へ駆け込んできた。

「皆さん、緊急です……!」


従者の声に、道場の空気が一瞬で張り詰める。

「何があったんだ?」

ノラが駆け寄り、問い詰めるように訊く。


従者の話によると、タロとイヴと護衛の役目を務めていたグイが、何者かに襲われ血を流して倒れていたという。

幸い命は助かったものの、意識は戻らず、寝たきりの状態だという。

そして、タロとイヴの姿も見当たらない。


ノラたちは顔を見合わせ、言葉を失う。

「タロとイヴ……どこに……!」


クロの声には、怒りと焦燥が混じっていた。

ミロも唇を噛み、短く息を吐く。

「私たちが守らなければいけないのに……!」


ほどなく、ヤマトの衛兵が関所で発見された手紙を持って現れる。

ノラがそれを開くと、赤黒いインクで書かれた文字が視界に飛び込む。


そこにはナーガの部下からと思わしきがあった。

内容は、ノラたちが持つ「力」「優しさ」「命のルーン石3つ」と「共鳴の月の石」の要求で人質であるタロとイヴと交換せよ。

というものだった。


「……ふざけるな!」

ノラの拳が固く握られる。


「許さない……絶対に救い出します!」

ミロの声には、怒りと決意が滲む。


ティカも鞭を握りしめ、鋭い眼差しを光らせる。

「タロ、イヴ……私たちが必ず…!」


四人の胸に、共通の決意が燃え上がった。


ノラは手紙を握りしめながら、冷静に状況を分析する。

「手紙が関所に落ちていたということは……俺等を挑発するための罠かもしれない。ナーガはただ脅してくるだけではない気がする…」


クロも頷き

「だが、油断はできない。今こそ連携が試される時だ。」


ミロは静かに息を整え、杖を軽く振って目線を上げる。

「私たちがここで迷うと、タロとイヴが危険になる。」


ティカも鞭を体の前で回し、鋭い声で言った。

「逃げるわけにはいかない。」


四人の間に、無言の連帯感が流れる。

怒り、焦り、悲しみ……すべてが力となり、決意を加速させる。


その日の道場は、静かだが張り詰めた空気に包まれた。

仲間を救うための戦いが、すでに心の中で始まっていた。


竹林を揺らす風が、まるで未来への行動を促すように二人の決意をさらい、太陽がゆっくりと道場を照らす。

夕暮れまでには、行動を起こすための策と作戦を練り上げ、ノラたちは次の一歩へと歩み出す準備を整えていた。


仲間を取り戻すための戦い

――その先には、まだ見ぬ苦難と試練が待ち受けている。

だが、四人は誰一人として迷うことはなかった。


守るべきもののために、立ち上がる。

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