第156話 龍の加護
ノラは仲間たちを見回し、深く息を吐いた。
「みんなに話さなきゃならないことがあるんだ。俺の父は……剣歯虎……。サーベルタイガーという虎の血を引くナチュラビストだった。そして母は猫のナチュラビスト。だから俺は、古代種の血を受け継いでる。太古に滅んだはずの古き虎の力が、俺の中に眠ってるんだ」
一同は静かに耳を傾けた。クロは腕を組み、ティカは驚きに目を丸くしている。
ノラは言葉を続けた。
「俺は、この力をどう扱えばいいのかまだ分からない。けど……分かったことがある。レプタで『知のルーン石』を手に入れるとき、できる限り平和的に交渉して受け取りたい。無用な争いで血を流したくはないからな」
イヴが頷き、穏やかな笑みを浮かべる。
「ノラならできるよ。私たちはずっと一緒だから」
ノラは少し笑みを返し、続けた。
「でも……もしそれが叶わなかったら、そのときは力が必要になる。だから一度ヤマトへ戻って、破邪衆《六破》の二人に指南を受けたい。血筋は違えど同じ古代種の血を持つ彼らなら、俺に必要なことを教えてくれるはずなんだ」
クロが真剣な眼差しでノラを見つめた。
「なるほどな。古代種の血……その意味を力に変えるためか。そういえば犬王チャピ様の側近タマモさんとポンタさんは古代種と聞いたことがある…彼らなら同じ六破としてノラに協力してくれるはずだ」
ミロも柔らかな声で加える。
「確かに今のままでは、力の本質を制御できないでしょう。六破の導きは理に適っていますね」
その時、ティカが一歩前に出た。
「ノラ、皆……。お願いがあるの。私も一緒に行かせてほしい。ルーン石の行く末を見届けたいの。それに……あなたたちと過ごすうちに、この旅が私にとっても大切なものになったから」
その瞳は真っ直ぐで揺るぎなかった。
タロが満面の笑みを浮かべ、思わず声を弾ませる。
「もちろんだよ! ティカが仲間になってくれたら百人力だ!」
クロも頷き、イヴは優しく微笑む。
「ティカ、ようこそ。私たちはもう家族みたいなものだよ」
ノラは静かにティカへ歩み寄り、真剣に言葉を紡いだ。
「ありがとう、ティカ。共に歩んでくれるなら心強い。仲間として、これからよろしく頼む」
ティカの瞳に喜びの光が宿り、強く頷いた。
湖畔に柔らかな風が吹き抜けた。
白銀の龍はその様子を見守りながら言葉を落とす。
「仲間と共に進め。絆こそが、そなたを守る加護となろう」
湖王マナスも頷き、深い声を響かせる。
「未来はあなたたちの選択で形を変える。恐れず進んでくださいね」
シロは弟クロを見つめ、短く笑った。
「また、クロが北東湖にきたら、手合わせだ!もっと狼牙大切にしてね?チロにも宜しく伝えてねっ」
ノラは皆の言葉を胸に刻み、力強く答えた。
「ああ、必ず。次はシバたちも連れて遊びに来るよ」
こうして、一行は北東湖を後にする決意を固めた。
湖面には柔らかな光が揺れ、仲間たちの笑顔を映していた。
それはまるで、次なる旅路を祝福するかのように。




