表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
12章 北東湖

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

152/201

第152話 夢の強さ

白銀の龍の声は湖面に静かに降り注いだ。


「夢の力とは何ぞや。その望みの強さに比例する。強く願い、夢を見る者ほど、その想いは大きな力となる。だが、その力を地上の者が扱うには一つの条件がある。――信頼だ」


ノラは短く笑った。

「信頼、か……俺たちにはもうあるだろ!」


クロが頷き、穏やかに言う。

「互いを疑ったことなんてないよね。ここまで来られたのも、皆を信じてきたからだ」


ミロは柔らかな声で続ける。

「そうですね。私たちの絆はすでに固く結ばれています。だからイヴちゃんの夢も、皆で背負えるはずです」


龍は静かに目を細める。

「その通りだ。トヒの夢は種子の如し。奪えば儚く、分かち合えば永く続く。汝らの魂はすでに結ばれておる。ならばこそ、夢は形を得る」


タロが両手を握りしめて笑う。

「やっぱりそうなんだね! 僕たちはもうずっと仲間だ。だから僕、もっと強くなってみんなを守るよ!」


イヴは俯き、小さな声で微笑む。

「……私の夢を、皆が一緒に叶えてくれるの?」


ノラが真っ直ぐに答えた。

「当然だ。イヴ一人の夢じゃない。俺たち全員の夢だ」


ティカも静かに頷く。

「その証を、ここで形にしましょう。龍の教えを正しく受け継ぐために」


イヴは仲間たちを見回し、胸に手を当てて強く言った。

「……私も、ずっと皆を信じてた。そしてこれからも変わらない! だから皆、一緒に私の夢を叶えてください…。そして月の石を持ち帰ろう!」


龍は儀式の手順を示した。

――トヒの心を澄ませる。

――ナチュラビストは誓いを立て、呼吸を合わせ、視線を交わす。

――互いの弱さも強さも受け入れ、夢を「願いの光」として心に汲み取る。


「強制は禁忌。夢は尊きもの。奪えば毒となり、双方を蝕む……よく心得よ」


ミロは深く頭を垂れた。

「私たちはその教えに従います。イヴちゃんの夢を共に叶え、必ず月の石を持ち帰ります」


イヴは震えながらも一歩前へ進み、目を閉じた。

ティカが優しく手を添え、ミロが呼吸を合わせるよう導く。


次の瞬間――イヴの胸から淡い光が溢れ、仲間たちを包み込んだ。

ノラの義手が温もりを帯び、クロの瞳に光が差し、タロの胸に小さな鼓動が宿る。


「……来た!」タロが歓声を上げる。

クロは感極まり、静かに呟いた。

「たくさん共に乗り越えてきた絆は、本物だ……」

ノラも目を閉じ、胸の奥で確かな力の芽生えを感じていた。


龍は満足げに頷く。

「よかろう。イヴよ、そなたは月へ行き、月の石を求めよ。そなたの夢は月へ向いておる」


イヴは震える声で誓った。

「はい……行きます。皆と共に。ずっと憧れた月へ」


ノラが拳を握りしめる。

「決まりだな。イヴの夢は、俺たち全員で支える!」


龍はさらに告げる。

「信頼が深ければ、夢の力は長く強く作用する。汝らはすでに模範となっている。その絆を絶やすな」


ミロは静かに誓う。

「力は人を守るために。必ず正しく伝えます」


「ならば四つのルーン石を共鳴させる特別な月の石を求めよ。果たせば命の石を授けよう」


湖王マナスが祈るように告げる。

「無事に帰られることを願っています」


仲間たちは深く頷き、湖に響く誓いを胸に刻んだ。

月への道は遠い。だが、すでに固められた絆と夢の光は、彼らを確かに導いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ