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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
11章 エアー

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134/201

第134話 守られし夢の力

空王イーガの広間にて、五人は静かに並び立っていた。

天井の光が差し込む中、タロは胸を弾ませ、イヴは静かにタロの隣で見守る。

ノラ、クロ、ミロも緊張を隠せないまま、空王の言葉を待った。


「貴公らが知らねばならぬのは、この世界における夢と命の価値だ」

イーガの声は低く響き、広間に重厚な威圧感を落とす。

「お前たち――タロとイヴであってるか?

二人の存在は、この地、そしてこの世界において極めて特別である」


タロは小さく息を飲む。

「僕……何か特別なんですか?」

イヴも穏やかにうなずき、冷静に答えを待つ。「私……?」


「保護種、そして希少なレア種――お前たちはその存在に該当する」

イーガは翼を広げ、力強く言葉を紡ぐ。

「保護種は言葉を理解できる者、レア種は言葉を理解し、夢を描き、実現する力を持つ。お前たちの夢は、信頼度に応じて我らナチュラビストに力として現れる」


ノラは目を見開く。

「つまり……タロとイヴの夢の力、思いの力が、あの時も影響を与えていたのか」

クロも静かに頷く。

南西湖での戦いの中、二人の夢の片鱗を感じ取った経験が蘇る。


「この存在を詳しく知る者は、リーフラ王と四天王、そして我と娘ティカのみである。秘密を守るのは、力の誤用を避けるためだ」

イーガの視線はタロとイヴに注がれる。

「レア種を捕食した場合、その夢の力は一時的に弱めて具現化される。信頼度に基づく自然な力の方が、はるかに強力だ」


タロは眉をひそめる。

「食べられたら、ナチュラビストたちは夢の力を使えるんですか?」

「そうだ。しかし過去、統一戦争の際に空族の戦士がレア種を捕食し、暴走した過去がある。捕食した者は同族に危険視され、その場で処刑された」

イーガの声に、五人の胸が締め付けられる。

夢を守るための秘密が、過去の悲劇と直結していたのだ。


イヴは静かに口を開く。

「だから、私たちの存在は秘密にされているのですね」

「正確には、生かされるために守られているのだ」イーガは頷く。

「お前たちの夢は、この世界に希望と力をもたらす。しかし、その扱いを誤れば危険になる。だからこそ力を理解し、責任を持って歩む必要がある」


タロは拳を軽く握り、笑みを浮かべた。

「僕たち、夢の力を正しく使うために、これからも仲間と一緒に頑張ります!」

イヴも静かに頷き、優しく微笑む。

「ええ、共に歩み、夢を信じましょう」


空王イーガは満足げに翼を閉じる。

「ならば、その夢の力を胸に、未来を切り開くが良い。貴公らに期待している」

夜の広間に、戦いの余韻と新たな覚悟が満ち、タロとイヴは自らの力と責任を再認識した。

五人は未来への一歩を、静かに踏み出すのであった。

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