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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
11章 エアー

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129/201

第129話 空の姫

模擬戦を終えスワロとナイトに先導され、エアー中央の広間へと進む。

クロは汗をぬぐいながら、静かに心の中で「これで…空王にお会いできる」と呟いた。

タロは期待と緊張が入り混じった表情を見せ、イヴも少し緊張した面持ちで周囲を見渡す。


広間に入ると、静かな空気が漂う。

スワロとナイトも立ち止まり、先に進む足を止めた。


広間の奥から、長い銀色の髪を風になびかせた少女が姿を現す。

冷たくも鋭い瞳が五人を見据えていた。


ノラはその姿を見て思わず膝をつき、激しい頭痛に襲われた。

タロとイヴは広間の端で、そっと彼を支える。


その間、クロは静かに見守りながら、仲間の安否を気遣った。

「ノラ、大丈夫か…」心の中で呟き、目の端で二人を見守る。


少女が静かに歩み寄り、声を発した。

「初めまして。私、ティカと申します。リーフラ族のミロ様も一緒にお越しいただいていると伺いました。手合わせをお願いしたい」

その声は低く澄んでおり、空間を満たす威厳に誰もが圧倒される。

これが、空族の次期女王と噂されるクマタカのナチュラビスト、ティカなのだ。


ミロは深呼吸し、ゆっくりと杖に手をかけた。

心の中で、ビャクとシバから教わった「力だけでなく、心と覚悟を持つこと」を思い返す。

「承知しました。よろしくお願いします、ティカ様」

静かに身構え、戦いに備える姿勢を取る。


ティカは鞭を手に取り、軽やかに振るう。周囲の空気を切り裂く音が響き、広間は一瞬で緊張に包まれる。

「覚悟を持って、ミロ様」

その声には忠義を重んじる武士のような厳格さと、冷徹な決意が込められていた。


ミロは杖を握り、呼吸を整えながら慎重に間合いを計る。

力任せではなく、相手の動きに合わせ心を働かせる――四天王に稽古を受けた時の感覚が蘇る。

鞭と杖の距離を見極め、互いの呼吸を読み合う。

「恐れず、今できる全てを信じるんだ…」

心の中で自分に言い聞かせ、ミロは一歩ずつティカに近づいた。


広間の端でノラは膝をついたまま、タロとイヴに支えられながらも、仲間の戦いを見守る。

クロはその様子を見て、心の中で強く励ましの言葉を送った。

「ミロ、今まで学んだことを信じろ。心と覚悟を忘れるな…!」


夜の広間に、二人の気迫が静かに、しかし確かに響き渡った。

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