第119話 門前の挑戦
エアー中央、第2の門。
白い石造りの巨大な門の前に、二つの影が静かに立っていた。
一人は鋭い双眸を持つ青年――イーガの腹心、スワロ。
もう一人は重厚な体躯に黒いマントを纏った男――ナイト。
その姿を見た瞬間、ノラたち五人は足を止めた。
「……待ち構えていやがったな」
ノラが肩を竦めると、クロは前に出て表情を引き締める。
スワロが口を開いた。
「ヤマトからの訪問が立て続けにあったこと、イーガ様は不審に思われている。お前たちがただの旅人でないことも承知の上だ」
ナイトが低い声で続ける。
「謁見を望むならば、我らと手合わせ願いたい。スワロはノラ殿、私はクロ殿。勝利すれば、イーガ様にお会いできると約束しよう」
ノラは苦笑を浮かべて頭をかく。
「やれやれ、王に会うのも楽じゃねえな……。けど、正面から試されるのは嫌いじゃないぜ」
クロは静かに頷いた。
「俺たちの覚悟を示す機会なら、受けて立つべきだ」
背後でタロが拳を握り、声を張る。
「ノラ!クロ!俺たちも応援してるからな!」
イヴも不安げに手を胸に当てる。
「気をつけてください。二人とも無茶だけはしないでね」
ミロは真剣な瞳で二人を見据えた。
「勝つことも大事だけど……ここで得るものを忘れないで。きっと次に繋がるはずだから」
ノラは仲間の顔を一人ひとり見やり、にっと笑った。
「心配すんな。俺はこう見えても、結構しぶといんだ」
クロは短く答える。
「大丈夫だ。俺たちが必ず突破する」
その言葉に、スワロがわずかに口角を上げた。
「では始めようか、ノラ」
ナイトもゆっくりと剣を抜き放つ。
「クロ、己の力を示せ」
白い門の前に、緊張が走った。
ノラとスワロ、クロとナイト
二つの模擬戦が今、幕を開けようとしていた。




