表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
11章 エアー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/201

第118話 別れと再会の約束

朝靄の残る空気の中、ノラたち五人は支度を終え、宿の前でビャクとシバに向き合っていた。

別れの時が近い。胸の奥に、言葉にできない名残惜しさが広がっていた。


「……名残惜しいけれど、私たちはここまでね」

ビャクは蜻蛉切を静かに背負い直し、穏やかな眼差しで五人を見渡す。


「次に会う時までに、もっと強くなっていなさい。約束よ」

シバは柔らかく微笑みながらも、その声には揺るぎない芯があった。


タロが拳を握りしめる。

「もちろんです! 次に会う時、胸を張れる自分でいたいから」


イヴも力強く頷く。

「必ず……また会いましょう。私たちは仲間ですから」


最後にミロが口を開いた。

「……必ず、強くなります。だから、今度は私も胸を張って再会できるように」


その言葉に、ビャクとシバは目を細めた。


別れ際、二人はふと声を落とす。

「五人とも、覚えておいて。空族の大半の秘密は――イーガの娘、次期空族女王ティカが握っているかもしれないの」

「本当なら会いたかったのだけれど……彼女は今不在。会うのは次の機会になるわ」


胸に重みを残す言葉。

五人はその名を心に刻み、静かに頷いた。


ノラとクロの先導で、一行は街道を抜け、エアー中央の第2の門を目指して歩み出す。

振り返れば、ビャクとシバの姿が小さくなり、やがて朝霧に溶けて見えなくなった。


「……必ず、また会おう」

ノラの呟きに、誰もが頷き、背筋を伸ばした。


風が頬を撫で、遠くから鳥の声が響く。

それはまるで、二人の六破が託した思いを背中で押しているようだった。


タロは歩きながら、拳を固める。

「ティカ……か。どんな相手だろうな」


イヴは心配そうにミロの顔を覗き込む。

「ミロ、大丈夫? なんだか顔が険しいよ」


「……大丈夫。だけど、胸の奥がざわつくんだ」

ミロは自分でも説明できない感覚に眉をひそめた。


クロは静かに空を仰ぐ。

「次に待つのは試練かもしれん。だが、逃げる道は無い」


ノラは仲間たちを見渡し、前を向く。

「進もう。俺たちの旅は、まだ始まったばかりだ」


その声に導かれるように、一行の足取りは確かに強くなっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ