第117話 タロ、イヴ、ミロの学び
それにしても
ノラには慣れてしまって忘れていたが
ヤマトの国の破邪衆の三席が揃うと
、リーフラ四天王よりも遥かに強いのではないか?
とミロは感じながら、同じ杖術を使うビャクに尊敬の眼差しを向ける。
タロとイヴとミロの三人は背筋を伸ばし、
自然と緊張と期待が入り混じった空気が漂う。
ミロが小さく息を整えて口を開く。
「えっと…色々、教えてもらえますか?」
ビャクは軽く笑みを浮かべ、妖艶に頭を傾ける。
「もちろん。戦う者として、そして仲間として大切なこと、いくつか伝えておくわね」
シバは落ち着いた声で続ける。
「あなたたちが強くなるために必要なのは、技だけではない。心の持ち方、仲間との信頼、そして己を律すること…それを理解するのが、まず第一歩だ」
イヴが目を輝かせる。
「心…ですか。技だけじゃダメなんですね」
ビャクが頷き、少し挑発的に微笑む。
「そうよ。どれだけ技を磨いても、心が伴わなければ戦いは長く続かない。若いうちにそれを知るのは、大きな財産になるわ。技心体の3つね。」
ミロは少し黙って二人を見つめる。
「…私、強くなりたいです。護身術の技だけではなく、力を‥。1人でも力に対抗出来る強さを得て仲間を守り何が正しいか判断出来る心も」
シバは柔らかく微笑みながらミロに視線を向ける。
「その気持ちがあるなら、必ず伸びる。模擬戦や修練は、結果だけを見ないこと。失敗も経験のうちだ」
タロは少し照れたように口を開く。
「なるほど…。僕もただの力じゃなくて、考え方や気持ちが大事なんだ!」
ビャクは軽く杯を手に取り、微笑む。
「覚えておきなさい。力は道具、心はその使い方。そして技が光るわ。
どんなに強くても、技術があっても心が伴わなければ意味はない。戦いの中で仲間を守るのも、己を守るのも、全てはそのバランスにかかっているのよ」
三人は静かに頷き、六破の女性二人の言葉を胸に刻む。
彼女たちの背中には、過去の戦いや絆、そして無言の信頼が刻まれており、それが若き者たちの目に強さとして映る。
外では夜風が街道を吹き抜け、窓越しに柔らかい月光が部屋を照らす。
束の間の団欒は終わった。それぞれ部屋に戻り、若き者たちは六破の女性たちから教えを受け、次に立ちはだかるであろうまだ見ぬ試練に向けて、少しだけ背筋を伸ばし
各々眠りについた。




