第103話 試練開始
紹介所の大広間に並ぶ依頼票の中、ノラ達はひときわ異彩を放つ「謁見の特別依頼(試験)」と書かれた札を見つめていた。
受付の女性空族が静かに説明する。
「この試練は、知識の試練…紹介所内にて図書室がありますので、そちらにて古文書や空族の歴史を読み解き、真実を導き出して下さい。
力の試練…空族の闘技場にて機械式の闘士と闘って頂きます。
勝利して頂けたら完了です。
優しさの試練…こちらで用意する
3つの依頼を解決して下さい。
貴方達は3人いるので
1つずつ挑んでもらえれば大丈夫です。
知識と力と優しさを持つ者だけが、空族の王に会える手段になります。
尚、同行しているトヒの2匹に関しては、特別依頼には同行不可になりますので
こちらの依頼所にて待機して頂きます。
勿論エアー内ですが
こちらは紹介所なので
悪いようにはしませんのでご安心下さい。」
クロは拳を軽く握る。
「よし……俺の力で突破してみせる」
ミロがクロの肩に軽く触れ、励ます。
「あなたならできる。私とノラもそれぞれ頑張って突破してくるから信じていてね。」
ノラはタロとイヴに
「すぐ、終わらせてくるから待っててな。」
と笑い掛けながら声を掛けた。
タロとイヴは紹介所の控室で待機することになったので
ノラ、クロ、ミロ3人を応援する事を胸に誓った。
「3人とも必ず大丈夫だから信じて待ってる!」
とタロとイヴは声を掛け
待機室に案内されていった。
そして、3人も別々の各空族に
案内され一行は一旦別れた。
クロを案内したのは
イーガの腹心である
シマフクロウのナチュラビスト
ナイトという名の空族だった。
何故か目を閉じたままで無言だが
クロはナイトから、ただならぬ気配を感じていた。
知識の試練は場所が紹介所内なので、すぐ案内され図書室へと足を踏み入れる。壁一面の棚には、空族が代々集めてきた書物や古文書が所狭しと並んでいた。
図書室には目を閉じて
立ったまま寝ている様なナイトと
ナイトの部下の司書が1人。
広い図書室に3人だけで
静寂に包まれた空間であるが、
逆にクロの集中力を高めた。
これまでの旅やナーガとの
遭遇で得た記憶が、脳裏をよぎる。
各土地で出会ったナチュラビスト達トヒたちの存在が思い浮かんだところで
司書の空族が
「それでは始めて下さい」
とクロに資料を渡してきた。




