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反撃


 カシャ カシャ カシャ


 静まりかえったトイパレスにプラスチックの足音が鳴りひびく。

 3体のギョロが、ヒロムたちをさがしているのだ。

「もういや!」

 とつぜん、プラモコーナーのかどからサトミとエイルがあらわれた。

「わたし、もうこんなのえられない! ここから出ていく!」

「サ、サトミちゃん、ひとりで勝手に行っちゃだめだよー」

 なんともわざとらしいエイルの声を聞いて、ギョロがライフルをかまえる。

「う、うわー、ギョロだー。サトミちゃん、プラモコーナーにもどろうよー」

 いそいでプラモコーナーへもどるふたり。それをギョロが追いかける。

 ふたりを追って、ギョロがスポンジおもちゃコーナーをとおりすぎたとき、

「いまだ!」

 たなかくれていたヒロム、セイジ、ヤマトが通路に飛び出した。

 その手にはプラモデルのレーザーガンが握られてある。

「撃てぇー!」

 3人はいっせいに引き金を引いた。

 緑色のレーザーがギョロの背中をつらぬく。

 その瞬間、3体のギョロは光の粒子になって消滅。

 たたかいは一瞬でおわった。


「作戦成功だ。サトミ、エイル、出てきていいぞ」

 セイジの合図で、サトミとエイルが棚の角からあらわれた。

「サトミ、ナイス演技」

 ヤマトにほめられて、サトミが照れ笑いをうかべた。

「エイルも……うん、味のある演技だったぜ」

「ムリにほめなくていいよ。演技の才能がないの自分でもわかってるから」

 エイルが悲しそうに笑った。

 サトミとエイルがおとりになってギョロの気を引き、ヒロムたちが背後から奇襲きしゅうをかける。

 それがエイルの考えた『ギョロせんめつ作戦』だった。

「しかし、こうもうまく作戦がいくとはな」

 セイジがレーザーガンを肩にかついだ。

 12センチのフィギュアが持つにはすこし大きめのサイズだが、素材がプラスチックなので、重さはまったく感じられない。

「ギョロのプラモはこしをまわすことができないんだ。あいつらが奇襲に反応できなかったのは、すぐにうしろを向くことができなかったからだよ」

 エイルの説明に、みんなが「なるほど」とうなずいた。


 そのあと、5人はプラモコーナーにもどった。

 プラモコーナーの床には、エイルがつくった武器がたくさん置かれている。

 小型ビームピストル、ショットガン、プラズマバズーカ砲、二連装ガトリング。

 さすがは最強武器セット。最強をうたうだけあって、武器の多さがハンパない。

「できればヤスリがけをしたかったんだけどなぁ」

 自作の武器を見て、エイルがまゆをひそめた。

 どの武器もよくできているように見えるけど、つくった本人はどうも気にいらないらしい。

「でも、作戦が成功して本当によかったです」

 サトミが小型ビームピストルを取った。

「もし失敗したら、わたし、これを使わなくちゃいけなかったんですよね」

「ほんと、作戦が成功してよかったよ。アイドルにじゅうは似合わないもんな」

 ヤマトがそういった直後に、

「ゲーム開始10分経過。ソルジャーを追加するよ」

 ふたたびスピーカーからジョーイの声が聞こえた。


 ブゥゥゥゥゥン


 とつじょ頭上で聞こえたモーター音に、5人は顔をあげた。

 4つのプロペラを回転させて宙に浮いていたのはミニサイズのドローンだった。

 ドローンは、ボディについたマシンガンの銃口を下に向けると、


 ダダダダダ!


 5人めがけて銃弾を発射した。

「ヒロム、セイジ、撃ちまくれ」

 3人は夢中になってドローンにレーザーを撃ちまくった。

 けどドローンの動きがすばやくて、レーザーがあたらない。

「こいつ!」

 ヤマトが狙いをすましてレーザーを発射。

 それをボディに受けたドローンは光の粒子になって消滅した。

「へっ、空を飛べるからって、たった1機でおれたちに勝てると思うなよ」

 ヤマトが勝ちほこってみせたときだ。


 ブゥゥゥゥゥン


「ん?」


 ブゥゥゥゥゥン ブゥゥゥゥゥン ブゥゥゥゥゥン


 棚の向こうから、つぎつぎとドローンがあらわれて、5人の頭上に集合した。

「……あんなこというんじゃなかった」

 ドローンはぜんぶで8機。

 そのすべてが地上の5人に銃口を向けている。

「みんな、逃げ――」

 その言葉がおわらないうちに、マシンガンの雨が5人に襲いかかった。

「散れ! 二手にわかれるんだ!」

 セイジがさけんだ。

「ヒロム! おまえはサトミを連れて逃げろ!」

「わかった。(たから)()さん、こっちだ」

 ヒロムはサトミの手首をつかむと、セイジたちと逆の方向へ走った。

 それを4機のドローンが追いかける。


 ダダダダダ!


 マシンガンの弾が床をえぐり、飛び散った弾の破片はへんがヒロムの足首にあたった。

「くっ……」

 ずきりとした痛みを感じた瞬間、バランスをくずしてヒロムはたおれてしまった。

「ヒロムくん!」

(たから)()さん、逃げて!」

 たおれたまま、ヒロムはさけんだ。

「おれのことはいいから早く――」

 その瞬間、ヒロムのすぐ近くで銃声じゅうせいが鳴りひびいた。


(つづく)



更新は毎日おこなう予定です。

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