対決
「ギイィィィィ!」
とつぜん、お菓子棚の角から、青い覆面をかぶったもうひとりの戦闘員があらわれた。
「気をつけろ、うしろにこどもがいるぞ!」
まんまるショコラを投げすてて、黒覆面の戦闘員が立ちあがる。
その戦闘員にヤマトのタックルが炸裂!
ふたりのからだが通路にたおれこみ、食べかけのまんまるショコラがヒロムのほうに転がってきた。
一方、セイジは青覆面の戦闘員とたたかっていた。
「ギイィィ」
戦闘員が振るったナイフをセイジが間一髪で避ける。
空を切ったナイフがお菓子のふくろを切り裂いた。
見た目はおもちゃ。けど、その切れ味は本物だ!
「セイジ!」
気がつけば、ヒロムはセイジを助けるために駆け出していた。
どうする、どうする、どうする、ヒロム。
何も考えずに飛び出したけど、ナイフを持った相手と素手でたたかえるはずがない。
かといってナイフに対抗できる武器はない。
いや、待てよ……。
あるぞ。武器なら足もとに落ちてあるじゃないか。
しかも遠くから攻撃できる強力な武器が!
「いっけえぇぇ!」
ヒロムは青い戦闘員めがけて、食べかけのまんまるショコラを蹴り飛ばした。
サッカープレイヤーのヒロムにとって、ボールなら、たとえチョコでも蹴り慣れた強力な武器なのだ。
弾丸のような勢いで飛んでいくまんまるショコラ。
それが青い戦闘員の頭に命中!
「ギ、ギイィィ……」
青い戦闘員が白目をむいて、その場にたおれた。
「セイジ、大丈夫か?」
ヒロムはセイジのもとへ駆け寄った。
「…………」
「セイジ?」
「ああ、大丈夫だ」
セイジが立ちあがる。
「助けてくれて、ありがとな」
うつむきながら、セイジが礼をいった。
「おれだって勝ちたいんだよ」
ヒロムはセイジに向かってこぶしを突き出した。
それをふしぎがるセイジに、
「『勝負に勝ちたいなら、自分の力で道を切り開け』だろ?」
「だな」
おたがいのこぶしを当てて、ふたりは笑いあった。
「いいキックだったぜ、ヒロム。練習、がんばってるみたいだな」
「え? お、おう。まあな」
練習をがんばってきたのはウソじゃない。
けど、流した汗とチームメイトのことを思うと胸が痛んだ。
そのとき、
「お~い、ふたりとも~」
棚のほうから、ヤマトの声が聞こえてきた。
「チョコに埋まって動けないんだ。わるいけど、ここから出してくれよ~」
見ると、チョコ菓子の山からヤマトが手だけを出していた。
おそらく黒覆面の戦闘員とはげしい格闘をしたのだろう。
棚のチョコ菓子がぐちゃぐちゃに散らばっている。
「早く助けてくれ~、このままじゃチョコに潰されて死んじまうよ~」
「待ってて。いま助けるから」
棚によじのぼると、ヒロムとセイジはチョコの山を崩しはじめた。
「ヤマトくん、もうちょっとだよ」
ゴロゴロサンダーというチョコバーをのけたとき、
「ギイイィィ!」
とつぜん、チョコの山のなかから戦闘員があらわれた。
「うわあああ!」
「あはは、ドッキリ大成功。おれだよ、ヤマトだよ」
戦闘員が笑って、シャツと一体化したボディを指でたたく。
なるほど。たしかに頭は戦闘員だけど、ボディはヤマトのものだ。
「ゴロゴロサンダーでぶん殴ったら、戦闘員の頭が取れちまってよ。それで頭を入れ替えるドッキリを思いついたんだ」
ヤマトはチョコのうしろから自分の頭を取り出して、ふたりに見せた。
「頭を殴られるのはすっげえ痛いんだけど、こうやってはずしたり取りつけたりするのは、ぜんぜん痛くないんだ。フィギュアってふしぎだよな」
そんなことをいいながら、ヤマトは戦闘員の頭をはずして、自分の頭と取り換えた。
「戦闘員のやつ、頭がはずれて、ちょっとしたら、からだのほうは消えちまったんだ。ほら、ヒロムがたおしたやつも、もう消えてるだろ」
見ると、さっきまで床にたおれていた青い戦闘員がいなくなっていた。
棚からおりると、サトミとエイルがこっちにやってきた。
「3人ともケガはありませんか?」
「ちょっと頭を殴られただけさ。ほぼノーダメでソルジャー2体撃破だから、なかなかのもんだろ?」
ヤマトがVサインをしてみせる。
「ねえ、ここから、はなれたほうがいいんじゃないかな?」
エイルが店の奥をしめした。
「けっこう大きな音たてたから、ほかのソルジャーが気づいて、こっちにきてるかも」
「そうだな。みんな、一旦ここから、はなれようぜ」
5人は店の奥へ移動することにした。
「なあ、セイジ」
ヒロムはわざとヤマトたちから距離を取ると、セイジのそばに寄った。
「みんなには、あのこと話したのか?」
セイジの脚を見ながら、たずねる。
「いや、まだだ。自己紹介で名前だけは教えたけど、それ以外は何も話せてない」
「じゃあ、みんな、おまえが――」
そのとき店内のスピーカーから、ジョーイの声が聞こえてきた。
「ゲーム開始から5分経過。あらたなソルジャーを追加するよ」
みんなが足をとめて、スピーカーをあおぎ見る。
「追加されるソルジャーは3体。さあて、どのエリアに投入されるかな」
その言葉の直後に、通路にひとつ目のロボットのおもちゃが出現した。
「ギョロだ!」
自分たちと同じサイズのロボットを見て、エイルがさけんだ。
(つづく)
更新は毎日おこなう予定です。




