ファイナル・ラウンド開始!
「きみたちがファイナル・ラウンドでおこなうゲームは『GO! GO! ゴーカートショッピング』。ショッピングモールをゴーカートで駆けぬけるレースゲームだ」
おきまりの指パッチンとともに、光の中からおもちゃのゴーカートがあらわれた。
「スタート地点は、いまきみたちがいるイベントホール。そしてゴールは北出口だ。コース上には矢印のついた標識をいくつも立てているから、それを目印にしてゴールを目指すといいよ」
「ゲームの制限時間は?」
セイジがたずねる。
「ない。そのかわり、きみたちがスタートしたあとに、南入口からゲームエリアを破壊する煙を建物内に流しこむ。それに飲みこまれたらゲームオーバーだ」
「あいかわらず、手のこんだ嫌がらせをするな」
「そういわないでくれよ。いくらおもしろい動画を撮るためだからって、せっかくつくりこんだゲームエリアを自分の手で破壊するんだよ。ちょっとぐらい同情してくれてもいいんじゃないかな?」
「おまえに同情なんかするわけないだろ」
「いいね。いまのセリフで2000人ぐらいファンが増えたはずだよ。ゲーム開始の前に運転の練習をさせてあげよう。ロクに運転もできないようじゃ、たのしいゲームが台なしだからね」
そのあとすぐにヒロムたちは運転の練習をはじめた。
カートの運転は思ったよりもかんたんだった。
アクセルペダルを踏んでスピードをあげたら、あとは行きたい方向へハンドルを切るだけ。
とまるときだって、ブレーキペダルを踏めばいいだけなので、すぐに4人ともカートを乗りこなせるようになった。
「カートには集音性にすぐれた小型マイクとスピーカーをつけてあるから、運転中もフツーに仲間と会話することができるよ。そうそう、カートといっても、しょせんはおもちゃだからね。あんまり乱暴な運転すると動かなくなっちゃうよ」
「こわれやすいなら、シートベルトぐらいつけとけよ」
セイジが愚痴をこぼした。カートにはシートベルトがついていないのだ。
練習のあとに地図データでコースを確認して、そのあと、いよいよゲーム開始となった。
「いまからファイナル・ラウンドを開始するよ」
「ジョーイ、おまえのことだ。何か説明のし忘れでもあるんじゃないか」
「失礼な。いくらぼくでも大事なファイナル・ラウンドでゲームの説明のし忘れなんて――あった」
ジョーイがポンと手をたたく。
「セイジくん、思い出させてくれてありがとう。このゲームにはデータ破壊の煙以外に、もうひとつエネミードライバーっていう厄介な敵がいるんだ」
モニター画面に黒ずくめのドライバーのシルエットが映った。
「エネミードライバーはその名のとおり、きみたちにとって敵となるドライバーだ。彼らの目的はレースに勝つことじゃくて、きみたちをゴールさせないようにすること。敵の妨害に負けずにゴールを目指すのが、このゲームの醍醐味ってわけさ」
「で、その敵はどこにいるんだ?」
セイジがうしろをふりかえる。
4人の後方にはモールの南出口があるだけで、ほかのカートは一台もない。
「エネミードライバーは、べつの場所からスタートすることになってるんだ。大丈夫、運転してたら、そのうち会えるよ」
「できれば会いたくなんかないけどな」
「おっと、もうスタートの時間だ。泣いても笑っても怒ってもこれが最後。思う存分、ゲームをエンジョーーーイしてね」
モニター画面が黒ずくめのドライバーから信号機に変わり、レース開始をつげるカウントダウンがはじまった。
3……2……1……。
「ゲームスタート!」
カウントダウンが0になり、信号機が青に変わる。
ついに地球の運命をかけた最後のゲームがはじまった。
(つづく)
更新は毎日おこなう予定です。




