金色の希望
見えない壁は爆発でもこわすことができなかった。
「そんな……」
絶望が声となってこぼれる。
「こんなのって……こんなのってあんまりだよ!」
ヤマトの命をかけた行動はムダにおわった。
くやしさのあまり、ヒロムは床をたたこうとして、こぶしをふりあげた。
そのとき、目のふちに金色の光が映りこんだ。
爆発で銀色の壁の一部がこわれて、人ひとりが通れるぐらいの穴が開いている。
金色の光はその穴から漏れていた。
いそいで穴に近づくと、中は通路になっていた。
床も壁もすべてが金色のブロックでできた通路の奥には金色のドアもある。
まちがいない。あのドアが迷宮のゴールだ。
ヤマトの行動はムダじゃなかった。
彼は命をかけて、ヒロムにゴールへの道を教えてくれたのだ。
(ヤマトくん、ありがとう)
ヒロムはゴールに向かって走り出した。
360……330……300……270……。
金色のブロックを踏むたびに歩数が30ずつ減っていく。
けど、いまは歩数なんてどうでもいい。
1秒でも早くゴールしないと、ヤマトだけじゃなく、ほかの仲間までうしなうことになってしまう。
ゴールまであとすこし。そして歩数はあと90。
(間にあってくれ!)
ドアノブをまわすと、ヒロムは転がるようにしてドアの内側に駆けこんだ。
★ ★ ★ ★ ★ ★
ドアの内側は、光のないまっくらな場所だった。
肌にまといつくような空気の感触は、今朝みた悪夢で感じたのとそっくりだ。
「よくきたね、ヒロムくん」
暗闇の中でジョーイの声が聞こえた。
けど、すがたはどこにも見えない。
「まさかあんな方法でゴールのドアを見つけるとは思わなかったよ。ま、おかげで、たくさんのコメントをもらえたけどね」
「そんなこと、どうでもいい! ジョーイさん、早くみんなを助けて!」
「んー、ざんねんだけど、それはできないね」
「どうして!? おれ、ちゃんとゴールしたじゃないですか」
「たしかにきみは金色のドアをくぐってゴールした。でも、ゴールとクリアはちがうよ。みんなを助けたかったら、ゲームをクリアしないと」
その直後に、目の前に5つのおもちゃのドアがあらわれた。
赤、青、黄、緑、ピンク。
色以外は大きさもかたちもすべてが同じものだ。
「この中にひとつだけ正解のドアがある。それを開かないと、ゲームをクリアしたことにはならないんだ。ちなみにまちがえた場合はスタート地点にもどるから気をつけてね」
すべてが理不尽だけど、いまは迷ってる場合じゃない。
歩数的にも時間的にも、やり直しはできない。
みんなを助けるには、この一回で正解のドアを開くしかないのだ。
「決めた。これにします」
ヒロムは選んだドアの前に立つと、深呼吸した。
(たのむ、正解であってくれ)
ドアを開けた瞬間――。
ヒロムの視界は金色の光に覆われた。
(つづく)
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