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ストリートピアノ 草競馬

作者: 村松希美

夕方のとある街のショッピングモール。


30代くらいの母親と5才くらいの男の子の親子。


(かける)「買って!、買ってよ!お馬さんの本!」


 と、駈は、駄々をこねて、お母さんに取りすがる。


お母さん「だめよ、今日はこんなに荷物があるから、あんな大きな図鑑持って帰れないわ。今度にしましょう」


お母さんは、大きく膨らんだレジ袋を両手に持って、駈を何とかなだめようとそう言った。


それでも、駈は、「買って!、買って!」と連呼した。お母さんは、今日は無理だと思い、自分が歩いたら駈もついてくるだろうとスタスタ歩いた。


 いつもの通り道のストリートピアノをおいている広場まできた。まだ、駈が馬の図鑑を買って!と連呼していたので、


お母さんは、駈を促し、誰も弾いていないストリートピアノの前まで来た。


「図鑑は今日は買えないけど、聴いてて」


駈は、?顔でピアノのイスに座るお母さんを見ていた。


ストリートピアノの蓋を開けると、お母さんは弾き出した。


曲は、フォスターの草競馬。


タタタラ、タタター、タター、タター♪

タタタラ、タタター、タータタター♪

……………………………………………………♪


お母さんが草競馬を夢中になって、弾き終えると、いつの間にか集まった、主婦や会社帰りの人たちや学生など、お母さんの周囲に集まった人たちから、盛大な拍手が上がった。


その様子を駈は、目をキラキラさせて、


ぼくのお母さんはすごいや。


と、とても嬉しくなった。


「お母さん、お馬さんが見えたよ♪」


周囲の人たちがいなくなって、駈がお母さんにそういうと、お母さんは、


「まあ、駈って、詩人ね」


と、駈にニッコリ微笑んだ。


「しじん?」

駈は、何のこと?と思ったが、お母さんがレジ袋を持って歩き出したので、追いかけた。




 ー☆ー



それから、間もなく、駈のお母さんは、急な病で天国に旅立った。



 ー☆ー



あれから、10年。


(かける)は、高校生になった。


駈は、今日も、あのショッピングモールで、1人、フォスターのメロディーをストリートピアノで奏でている。


 お母さん、僕は、あれから、ビアノを練習して、こんなに弾けるようになったよ。


駈は、フォスターの故郷の人々を弾きながら、心の中で、天国のお母さんに話しかける。


駈の脳裏に、お母さんの笑顔が浮かんだような気がした。



 ー☆ー



駈のストリートピアノを聴いている周囲の大勢の中のピアノ教室の高校生の女子たち。


天音(あまね)、今日のフォスター君は、故郷の人々だね。」


「うん」


天音と呼ばれた女子は、うっすらと、頬を染めた。



これから、どんなストーリーが始まるのでしょう。


駈は、お母さんに、嬉しい報告ができるのでしょうか?




        ー了ー








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