シナリオ(最低5,000文字以上、1万文字未満で作品のストーリー) ※小説というより、ストーリーのシナリオベースで記載しています
少子化が進んだ未来の世界。
各国は足りない労働力を移民や難民の受け入れによって解決しようとしたが、文化の違いなどもあり上手く行かなかった。
その結果として人類が辿り着いたのは、AIの発展と、人型ロボット、ヒューマノイドの実用化だった。
AIによるサポートも必要だが、物理的にサポートしてもらう、という観点でヒューマノイドの普及は必須だった
今では人々は一人に一台はヒューマノイドとペアになり、暮らすのが当たり前となっている。
ヒューマノイドが人間を支えるのが当たり前な世界観
もちろん仕事をするのも一緒。
そしてヒューマノイドの普及率に伴い、それを使った犯罪も増えていく。
アイサとイブは、そんな犯罪者を捕まえるのを生業としている賞金稼ぎ。
今日も今日とて賞金首を追い、夜の待ちを駆けずり回るが、いかんせんお金がない。
イブのメンテナンス費用が高いのと、イブが馬鹿力で色んなものを壊すため、稼ぎと出費がトントンになる
周りの賞金稼ぎたちからは、そんなお古はもう捨てちまえと言われながらも、アイサはイブを変える気はない。
その理由は、昔イブのヒューマノイドの命を助けられた事に由来する。
アイサが幼少期の頃、事故にあいそうになったのを、イブが身代わりとなって助けてくれた
その時修理に出したのだが、それ以降イブが馬鹿力になってしまう
どれだけチェックをしてもイブのAIに以上はなく、イブが馬鹿力な理由が掴めない
賞金首を引き渡し、そこから賠償金を引いて雀の涙のようなお金を家に持って帰るアイサ。
扉を開けると、料理を作ろうとしたイブが家具などを壊している所だった。
何やってんだと怒りながら、これじゃどっちがサポートしているのかわからないとぼやくアイサ。
悲しそうな表情を浮かべるイブ
そんなある日、この町に有名な怪盗ザマンが現れたという情報が入る。
このザマンが盗めなかったものはなく、盗みに失敗したこともない。
だが、ある特徴があった。
それは、何故だかヒューマノイドに関するものだけを盗み出すのだという。
今までも、大勢の金持ちや美術館が被害にあっており、多額の賞金がかけられていた。
警察も動いているが、一向に捕まる気配がない。
アイサは、この貧乏生活から抜け出すため、イブと共にザマンを捕まえる依頼を受ける。
自分たちのメンツに賭けてザマンを捕まえたい警察や、嫌味を言ってくる他の賞金稼ぎたちをさしおいて、アイサたちは最初にザマンを見つけることに成功する。
事前に聞いていた生体反応のパターンが一致している
アイサは喜びながらも、ザマンに違和感を感じる。
しかしイブが飛び出していったのを見て、アイサもいつも賞金首を相手にしている通り、イブと共にザマンに立ち向かう。
イブは相変わらず無茶苦茶で、建物の窓ガラスを割ったり、壁を破壊したり、水道管を破裂させたりとやりたい放題。
しかしアイサは、ザマンを捕まえればその賠償金を払ったとしても十分な金が手に入るからと、もっとやれやれ、と逆にけしかける。
だがそこで、追っているはずのザマンが、イブに異常に興味を示すようになる。
「もしや、君が私の探し求めていた花嫁か?」
アイサもイブも、何言ってんだコイツ、という感じだが、そこでアイサは先程感じた違和感に気がついた。
ザマンが、ヒューマノイドを連れていないのだ。
しかし、ヒューマノイドであるイブの攻撃を躱せているという事は、ザマンは何らかのサポートをヒューマノイドから受けている事になる。
一体どういう事だ? とアイサが悩んでいる間に、イブがザマンに一撃与える事に成功する。
吹き飛ばされ、建物の壁にぶつかるザマン。
アイサたちは捕まえたぞ、と近づいていく
死んでないよね?みたいな会話も
砂煙が止み、起き上がったザマンの姿を見て、アイサもイブも驚愕の表情を浮かべる。
なんとザマンの体は、機械で出来ていた。
つまり、ザマン自身がヒューマノイドだったのだ。
でもそれはおかしい、とアイサ。
何故ならザマンからは、生体反応が出ているのだ。
一体何故? となっている間に、ザマンは立ち去ってしまう。
ようやく花嫁を見つけた、いずれお迎えに上がる、という捨て台詞を残して。
意味がわからないながらも、ザマンを逃してしまった事を嘆くアイサ。
今回はイブが壊しまくったので、タダ働きどころか大幅なマイナス
また、近隣の住民がザマンがイブの事を花嫁と言っていたのを聞いており、イブは警察に収容されてしまう。
アイサは抗議をするが受け入れられず、ザマンを逃したことで借金を背負う。
途方に暮れるアイサは、他の賞金稼ぎの紹介でとある研究所の警備の仕事をする事になる。
◇◇◇
一方イブは、警察署内の留置所に入れられていた。
手錠をはめようが電源を落とそうとしようが、馬鹿力で抵抗されるので、とりあえず署内にいればいいという判断がなされたのだ。
このまま抜け出すとアイサに迷惑がかかると、とりあえず大人しく過ごすことにしたイブ。
だが真夜中になり、横になった所で、何か声が聞こえてきた。
その声は人間には聞こえない周波数で発せられており、イブは興味を持つ。
署内にいればいいと言われたので、イブはその音の聞こえる方角へと留置所を抜け出すことにした。
辿り着いたのは、自分のように警察に収容された物体の保管庫
そしてその音を発していたのは、脳だけ押収されたアンドロイドだった
イブは脳だけとなったアンドロイド、リリートゥに、何故こんな状態になっているのか問いかける。
そこでリリートゥは、自分がとある研究所から押収されたものだと、イブに告げる。
その研究所は、アイサが警備の仕事を請け負った、あの研究所だった。
◇◇◇
イブがその話を聞いているのと同時刻、アイサはくしゃみをする。
誰か自分の噂話でもしているのか?
とりあえず、真面目に働こうと考えるアイサ。
ここで給料がもらえないと、いよいよ本格的にヤバい
アイサは夜間警備をしているが、研究所のある棟だけは見回りは不要なので近づくな、と言われている。
言われた通りにしようと思うが、棟の鍵が開けられているのを見てしまう。
無線で他の警備員に連絡するが、アイサは棟の中でザマンの姿を目撃。
ザマンを捕まえてイブと無関係な事を証明しようと、アイサは近づくなと言われた棟の中に入っていく。
ザマンに賭けられた賞金も欲しい
中に入ってアイサが見たのは、バラバラに解体された人達の姿だった。
驚きながらも、流石に人間ではなくヒューマノイド達だろうと思うアイサ。
しかし、その見た目はあまりにも生々しく、人間のものにしか見えない。
あまりのおぞましさに、後ろに下がるアイサ。
そこで背後に積まれた段ボールにぶつかる。
驚いて振り返り、その段ボールに刻まれた会社の名前を見て、更にアイサは驚いた。
そこに書かれていた会社の名前は、以前アイサの身代わりとなり壊れてしまったイブを修理に頼んだ会社だったのだ。
◇◇◇
一方イブは、リリートゥから、研究所で行われているおぞましい研究の全容を聞いている。
そこではより人間に近いヒューマノイドを作るために、人間を使って人体実験が行われていたのだ。
イブは、何故そんな無駄なことを、と憤慨する。
ヒューマノイドは元々、人間の人口減少によって研究開発が進められており、いわば足りなくなった人を補うために作られたもの。
そのヒューマノイドの研究に人間を犠牲にするなんて、本末転倒過ぎる。
だがそこでリリートゥは、イブに衝撃的な内容を告げる。
それはその研究所で行われている研究が、人と子を成せるヒューマノイドの研究だったからだ。
何故そんな事を知っているのかという話になり、リリートゥはその研究の過程で生まれた失敗作なのだとイブに告げる。
リリートゥを作った研究員が、研究に使った人間の残り滓を処理しようとしている所で警察に見つかり、一緒に押収されたのだという。
衝撃を受けるイブ。
だが、そこでイブは疑問を保つ。
何故リリートゥは、自分をここまで呼んだのか? そして、そんな話を聞かせたのか?
リリートゥは、その疑問に簡潔に答える。
それはイブが、正確にはイブのボディが、研究所で作られた成功例、人間を産める体を持ったヒューマノイドだからだ、と。
◇◇◇
一方その頃アイサは、遭遇したザマンに襲われていた。
イブの居場所を聞かれるが、お前なんかに教えてたまるか、とアイサ。
むしろイブのためにお前を捕まえてやる、という感じ
アイサの話を聞き、ザマンは憤慨する。
何故運命に導かれた二人を引き離そうとするのか?
イブと自分は、この世でたった二人、この世の絶望を分かち合える相手だというのに
わけわかんない事言ってんじゃないわよ、とアイサは取り合わない。
そこにようやく、研究所から応援が駆けつける。
アイサはそこでドヤ顔。
これでもう逃げ場はない
大人しく捕まれ
しかしやって来た相手は、ザマンもろともアイサを撃ち始める。
驚きながら、アイサはザマンと一緒に隠れる。
どうして自分まで狙われるのか? と疑問を口にするが、それに答えたのはザマンだった。
この棟で行われている事を見たからだろう
そこでアイサはザマンから、この棟で行われている人体実験について詳細を聞かされる。
人間を使って、人と子を成せるヒューマノイドを作り出そうとしていると聞き、反吐がでそうになるアイサ。
でも何故ザマンはそんな事を知っているのか? という話になる。
ザマンがヒューマノイドだという事と何か関係があるのか? と更に問い詰める
ザマンはアイサに正解だ、と答える。
ザマンは、人口精子を生成出来る存在で、人間の女性との間に子を成せる存在。
同じ様に人口卵子を生成出来るボディが作られている所で、意識を覚醒させた。
このままでは、まだ人ともヒューマノイドとも呼べないその体が、尊厳を侵されていしまうと、研究員が目を離している隙にボディを入れ替えた。
入れ替えられたのが、かつてイブを修理に出した会社のボディ
ザマンは、本当は子を産めるボディも一緒に研究所を逃げ出したかったが、入れ替えるのが精一杯だった。
そこでアイサは、今までの違和感に納得する。
イブが馬鹿力になったのは、ボディを変えられたから
ザマンがヒューマノイドに関するものだけ盗んでいたのは、自分が入れ替えたボディを探すため
そしてザマンから生体反応が出たのは、人との間に子を成せる存在だったから
ザマンから改めて、イブが何処にいるのか問われるアイサ。
ザマンはイブと一緒に逃げることを望んでいるが、無理に一緒にいようとして彼女が不幸せになる事は望んでいない
むしろ自分がボディを入れ替えてしまったがために、重荷を背負わせてしまった事を後悔している
アイサはザマンの必死さに、イブが警察署に捕らわれている事を教える。
それを知ったザマンは慌てる。
警察署には、本当は子を産めるボディの脳に入るはずだった脳みそ、リリートゥが保管されている。
奴はザマンとは考えが違い、どんどん子供を生んで人類の母になろうと画策している。
そのため、必ずイブの体を乗っ取ろうとするはず。
◇◇◇
そのイブはというと、ザマンの懸念通りの状況が発生していた。
リリートゥは、イブに語りかけたように、署内に保管されている物品にも話かけていた。
イブの体を手に入れることが出来たら、ここから出してやる
ものとして一生この場に留まることを嫌がった押収されたヒューマノイドや旧世代の大型ロボットが、次々にイブに襲いかかる。
だがリリートゥからすると、イブの体は自分の体になるので、傷つけそうな攻撃をした奴にはブチギレる
「それは私の体になるボディだぞ!」
相手が手加減をしてくれるので、なんとか今は逃げ切れるイブ。
そこに異変に気付いた警官と彼らが連れる警備用のヒューマノイド達がやってくる。
助かった、と思っていると、警察の警備ロボやヒューマノイドたちがぶっ飛ばされる。
リリートゥの命令を受けて、地下に保管していた多脚式戦車が地上に出てきたのだ。
逃げられてしまうぐらいなら、手の一本や二本なくなっても構わないとリリートゥから命令され、多脚式戦車がイブに襲いかかる。
◇◇◇
イブがピンチの状況で、アイサはザマンと共にこの場を脱出する事にする。
相手のヒューマノイド達の猛攻を受けながらも、なんとか研究所を脱出する事に成功するアイサ。
だがザマンは負傷してしまう。
ザマンは自分を見捨てて先にいけというが、アイサは肩を貸して警察署へと向かう。
理由を聞かれ、アイサは答える。
お前がボディを変えたせいで、イブのポンコツっぷりに散々振り回されてきた
散々苦労をかけられたけど、それでもイブと一緒にいる時間は楽しく、唯一無二のものだった
お前がいなかったのなら、あの時間はあり得ないものだったので、そういう意味では恩人でもある
あいつのイブとして、恩を仇で返すような真似は出来ない
だが追手に見つかり、強引にザマンから一人で警察署に向かわせられるアイサ。
後で必ず追いつくという言葉を信じて、アイサは一人警察署に向かう。
その警察署は散々な有り様で、イブは無傷ではない。
リリートゥは、お腹だけ無事なら後で修理すればいいわ、というモードになっている。
リリートゥに指示されたヒューマノイドとロボットたちに追い詰められ、イブは絶達絶命。
そこでアイサが到着し、イブを助ける。
リリートゥを銃で撃つが、防がれる
アイサはイブと合流。
リリートゥをどうにかすべきという結論に達し、イブが多脚式戦車の対応をしている間に、アイサがリリートゥを狙う作戦に出る
アイサも逃げ回ったり、イブは馬鹿力で抵抗するが、中々隙が出来ない。
逆に追い込まれ、リリートゥから、もう終わりよ、私の体を返して頂戴、と言われる。
腹が無事ならいいので、アイサもろともイブの脳も撃たそうとする
そこにザマンが現れ、二人の代わりに撃たれる。
その隙をついてイブが多脚式戦車を押し戻し、アイサがリリートゥを狙い撃つ
アイサとイブは、ザマンを看取る。
研究所の悪事に関するデータを受け取り、世界に公表して断罪する
イブのボディの事は秘密にしておく
アイサはイブに、体を普通のものに入れ替えるか確認するが、このままでいいと言われる。
この体で、今までアイサと一緒にいたため
イブがそれでいいのならそれでいいと、アイサはイブと共に新しい賞金首を捕まえるため、夜の町へと向かっていく。