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お嬢様、リトライ(泣)

更新です。



 さて、僕の視界ではリリィお嬢様を断罪する巫山戯た裁判が行われている。


 このゲームの主人公に嫌がらせをしたとかそんな理由でだ。

 確かにお嬢様は嫌がらせはしたが、内容としては正直くだらないレベルだ。


「お弁当を隠しただけで生き死に掛かる裁判とかヤベーな……」


 そう、リリィお嬢様はたった一回お弁当を隠しただけだ。

 それだけでこの仕打ちはハッキリ言って狂ってる。

 確かにお嬢様は悪い事をした。それは間違いない。


 ただ運が悪い事に、相手が乙女ゲームの主人公であるシンシアにやってしまったのが運の尽きだった。


 僕もお嬢様の行動に目を光らせてはいたけど、僕が偶々お手洗いに行ったタイミングで犯行に及んだらしく、どうする事も出来なかった。


 あとは他の貴族達がやってたマジのイジメ迄、お嬢様の責任となって返ってきたのだから笑えない。


 まぁ、簡単な経緯で言えばこの裁判の真相はこんな感じだ。


 言うなればウチのお嬢様は致命的な迄に運が無い。しかも、ドシッ娘なのだから尚救い様が無い。

 正直、何度も見捨てたいと思ったが、僕には見捨てられない理由がある。


「レイジ、私を助けなさい」


 おっと、"気"で身体強化した聴覚に、お嬢様のお助け信号が届いたみたいだ。


 つまり仕事の時間、という訳ですね。僕は意識をお仕事モードに切り替えるとお嬢様の下に馳せ参じる事にした。


「お嬢様の御心のままに……」


 お嬢様が居る広間へと肉体強化し、瞬歩で窓ガラスを突き破ってダイナミックに侵入する。


 バリィィィィン!!!


 僕はお嬢様を護る為、アホ達からお嬢様を隠す様に身を晒すと、それが当たり前の様にお嬢様は語り出す。


「皆様にご紹介させて頂きますわ。私の戦闘執事(バトラー)、レイジよ」


 お嬢様はドヤ顔で僕を紹介してくれた。


「ご紹介にあずかりました。私はお嬢様の戦闘執事(バトラー)をやらせて頂いております、レイジ、と申します。以後お見知りおきを……」


 紹介してくれた以上、名乗らないのはお嬢様のメンツを潰す事になる為、ヤらないと言う選択肢は無い。


「貴様の様な弱小バトラーが此処で何が出来る!」


 うん、貴方の言うことは概ね正しい。

 しかし、それは僕以外ならって話しだけど……。


 何故なら僕は強い。

 ハッキリ言ってメチャクチャ強い。

 この世界の最高戦力である十二騎士に選ばれてもおかしくない位強い。


 まぁ、これも訳あって実力を隠してたから、相手が勘違いしてもしょうがない事ではあるけどね。


 ではでは、お嬢様の次の指示を待つとしますか。


「私の邪魔をする者を排除しなさい」


 そんな事を考えていると直ぐに次の命令は下った。


「承知いたしました」


 僕は自分の武器である鋼糸に"気"を込め操糸術で糸を縦横無尽に振い、声がデカいオッサン達を細切れの肉塊へと変貌させた。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」」」


 色んな所で断末魔や絶望の声が聞こえる。


 さて、邪魔者は居なくなったしお嬢様を安全な場所につれていかないと……。


「お嬢様、騒がしい輩は始末致しました。それでは参りましょう……」


 お嬢様に恥をかかせない為、臣下の礼をとると、エスコートする為に手を差し出した。


「よくやりましたレイジ、それでは行きましょう。──それでは御機嫌様、皆様の今後の活躍をお祈り致しますわ」


 お嬢様は淑女らしくスカートを持ち上げ挨拶をして、この場を去ろうとしたが、


「──行かせるものか! 騎士達よこの者達を逃すでない!」


 当然そうなりますよね?

 でも、僕の戦闘力を見て良く言ったね、素直に凄いと思うよ。


 僕の強化された耳は既に出口に集まり始める騎士達を誰よりも早く捉えている。


 そして騎士団が僕達を捕える為、退路を塞いだ。


「道を通して頂けませんか? 私こんな所から早く帰りたいのですが……」


 自分を殺そうとしてくる奴の所に残りたい奴は、そりゃ居ないよね。


「罪人リリィよ! 大人しく刑を受けよ!」

「刑を受けるつもりなら、私は最初からこんな事してませんよ?」


 ご尤もで御座いますお嬢様。


「レイジ……やりなさい」


 次の命令が下りました。


「御心のままに」


 任務を遂行する為、先程同様に糸を振るうと、邪魔者を総て殲滅した。


「それでは改めて御機嫌」


 今回のお嬢様は完璧だ!


 そう、僕は此処で完全に油断した。


 その結果、


「ピギャァ!!」


 お嬢様は華麗に階段を踏み外した。


 ドタン!


 バタン!


 ゴキッ!?


 改めて言おう……お嬢様は運が致命的に悪く、かつドジっ娘だ。


「……えぇ、またっすか……」


 僕は首がありえない方向に曲がってるお嬢様をみてそんな感想しか出なかった。


「今回は此処まで、か」


 お嬢様が完全に息を引き取ったのと同時、僕の世界は歪む。



 揺らいだ世界が和らぐと其処は、


「よしよし、レイジ君〜! ママですよぉ〜!」


 僕は赤ん坊になっている。


 そう、これこそがお嬢様を見捨てられない最大の理由の一つだった。

見て頂き有難うございます。

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