レイジ君、ありし日の夢を見る(?)
更新です。
某リリ○クに嵌ってしまい更新が遅れました。
申し訳ありませぬ。
何ループぶりかの天元との戦闘の所為か、僕は夢を観た。
「お前がいるから俺はっ!」
そう言った兄は愛用の双剣で僕を殺しに来る。
「何で兄さんが僕を殺そうとするんです!」
「うるさいっ!! お前の所為で俺が如何に惨めだったか分かるかっ?!」
兄は天元の戦闘執事を実力で勝ち取った筈なのに、僕に憎悪の火を燃やしている。
この状況の原因を正直に言えば、少なからず僕に悪い部分があった。
その悪い部分とは……男なら誰もが憧れる夢、俺Tueeeeeをやった結果だ。
僕はループで培ってきた実力を幼少期から遺憾無く発揮し、優秀な兄のプライドを壊した。
数々の挫折を味合わせてしまっただろう……それでも折れずに天元の戦闘執事になれたのだから、やはり兄は天才だと思う。
「俺は努力したっ、どんなにお前と比較されようが実力でこの地位まで登り詰めた! それなのに、それなのに……またお前が俺をぉぉぉぉ!!!」
後の聞いた事だが、どうやら兄が戦闘執事として活躍している家、ストラウス家が僕を引き入れようとしていたとの事だ。
勿論、僕はお嬢様を優先した。
その結果、兄の居るストラウス家と兄の両方の面子を潰してしまったのだろう。
その責任の追求先に僕の身内である兄がストラウスの家長に詰められた……と言う訳だ。
幼少の頃からのストレスから始まり、理不尽な理由で天元の家長からも叱責される。
僕に対して積もり積もった恨みが此処で爆発した。
僕を殺す理由としてはそれで充分だ。
勿論、僕も簡単に殺される訳にはいかないので、抵抗し……兄を撃退した。
唯一勝利した天元との戦いで僕は瀕死の状態となって気絶した。
気絶から目を覚まし、事の顛末を聞いてる間に、どうやらループ条件の一つを踏んでしまって、このループでの冒険は幕を閉じたのだった。
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「まさか、あの時の夢を見るなんて……」
暫くボーっとしていた僕は、寝覚めが最悪なまま仕事の準備を済ませると幸せそうな顔で寝ているお嬢様を起こした。
「……おはようございます。レイジ兄様……」
「おはよう御座いますお嬢様。まだ朝食には時間は御座います。先にお顔を洗ってきた方が宜しいかと存じます」
「は〜い……」
まだお嬢様の意識は夢の中にいる様だ。
「お嬢様。お召し物はこちらにご用意させて頂きますね」
僕は洗面所で顔を洗っているお嬢様に声をかけると「ありがとう」との返事が返ってきた為、そのまま服を置いてこの場を離れた。
何故男である僕が女性の……お嬢様の着る服まで用意しないといけないかと言うと、単純に相手が貴族様だからだ。
この世界のお嬢様方は執事相手にいちいち羞恥心を見せない。まぁ、中にはそんな娘もいるだろうがそれも最初だけであり、慣れれば問題無くなる。
もしも、何かの間違いがあって執事がお嬢様に手を出そうものなら、家の戦闘執事総出でその輩を排除するだろうし、運良く逃れても職を失い路頭に迷う事になる。
つまり、これが貴族と執事社会の常識って奴だ。
コンコンッ。
「はい、ただいま参ります」
部屋のドアを叩く音に僕は返事を返す。
時間的に朝食が運ばれて来たのだろう。
在学中は貴族の学院だけあって食事は用意してくれるのだ。
勿論、毒の混入を疑い、執事が作る家も少なからず有るが、この学院に限って云えばそんな心配は無用だ。
貴族の子を害する事件は学院の古件に関わる為、学院側でも毒味係や厳重な管理の元食事を用意してる位だ、その辺の抜かりは無い。
「お待たせしました」
僕はノックされたドアをそっと開けると、其処には会いたく無い人物が居た。
「おはようございますレイジさん」
朝からナナリーとエンカウントする。
「……何でナナリー様が此処に?」
「あら、ご学友の部屋に訪れるのに理由は必要でしょうか?」
必要だと僕は思う……ましてや朝食より前に来るのはどうかと思いますよ?
「安心して下さい、朝食はちゃんとご用意させて頂いてますわ」
朝から面倒な事になりそうだ。
何時も見て頂きありがとうございます。