第6話 どんな時でも流されるんだな
寝起きは突然だった。
ザ―――
急に体温が奪われる感覚、そして、静寂だった場所に聞こえる音。
「なんだ・・・寒いな」
目を開けると真っ暗だった。
かすかに近くのものが見える程度だ。
月や星の明かりで案外暗闇でも明るく感じるっていうのは漫画やアニメで見たことがある。
しかし、今周りをいくら見渡しても真っ暗だ。
そして何より、上からすごい量の水滴が落ちてきているのだけわかる。
「おい! まじかよ!!」
今すごい量の雨が降っているのだ。
声を出すもほぼ雨の音でかき消される。
そして何より、足元が川になったみたいに水が流れている。
水位は手を地面につけたら水に手がつかる程度か。
しかし、見る見るうちに水位が上がってくる。
水位が上がるにつれ水の流れが激しくなる、まるで川みたいだ。
滝のような雨が俺の命を取りにかかってくる。
「ちょっとまって・・・マジでまって!」
考える余裕を与えさせてくれない。
俺はすかさずもたれかかっていた木にしがみついた。
(この木に登るしかない!)
思ってすぐ行動に出た。
今まで木登りなどしたことないが、躊躇してる暇はない。
流れにのまれないように、木につかまってるのが精一杯になってきたからだ。
高い位置に手を付け登ろうとした瞬間、濡れた木に手が滑り木から手を放してしまった。
「あっ」
(終わった・・・)
もう川といってもいいぐらいの水の高さで流れも激しいので、俺はそのまま流されてしまった。
必死に何かにつかまろうと手を振り回すが、滑って何もつかめない。
そして、体に衝撃があり、意識が途絶える。
普段こんな経験などすることはない。
学校に通う毎日、同じ繰り返し。それらと違う出来事を、短時間でたくさん経験することとなった。
この夢を見始めて悪いことばかり起こっているが、明らかに主人公の心に刺激となる。
(自然にまでいじめられるのか俺は・・・)
いや、むしろ今までいじめられていた時より、今回の事は比べ物にならないほどの恐怖を感じる。
人を簡単に殺せる力で襲ってくるのだから。