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ZEROミッシングリンクⅢ【3】ZERO MISSING LINK 3  作者: タイニ
第十七章 フォーラム前夜
4/105

3 小さな四阿で

全面改装しているので、前回分もかなり直しました、すみません!



日曜の昼。


サルガスは、ミラのヴェネレ教礼拝堂の前に来た。


ロディア父が南海に通っているので、それを避けているロディアはミラの方に行っていると聞いたからだ。信徒が非常に多い仏教や正堂教、そしてそれよりは少ないユラス教に比べると、ベガスのヴェネレ教は本当に小さい。ビルの小さなテナントを借り、受付と合わせた談話室、奥に祈りの間の他、祭祀に必要な小部屋があるだけである。


婚活おじさんに、礼拝は12時に終わり、それから少し交流などして20分もしたら出てくると聞いたので、そのくらいの時間にビルの外で待っていた。


少しすると、何人かの若い男女と家族が出てくる。その中にロディアもいた。


「ロディアさん。」

サルガスが声を掛けると、始めは状況を理解できず、止まっている。

「サルガスさん?!」

そして目の前にいる人物を把握すると、真っ赤になった。

「お久しぶりです。」

「え?え?え?なんで?」

「ちょっとお話がしたいのですが…。」

「話?」

「この前の続きを…。」

というところで、ロディアが止める。


「ま、待ってください!続きはありません!!あれで終わりです!」

「話の全部をすり合わせていくと…」

「全部?」

「お付き合いしてもいいと?」

「はあー??!」


驚くロディアに、様子を見ながら手を振って離れていくヴェネレ人たち。彼らにサルガスは礼をしておく。


「そんな話じゃなかったはずです!」

「そういう話をしようとしたところで、終わってしまったので…。」

「その、あの、言った通りです。サルガスさんは無理です。典型的な昔からのヴェネレ人は、親の紹介で純潔のまま結婚します。無理です!」

「それは、俺が童貞でないからダメとか言う事…?」

こんな道端で、何を言っているのかと気が気でないロディアである。

「なっ、ちょ。えっと…。はっ、あの!」

「そこんところは、敬虔な皆様に申し訳ないです。」

ロディアは周りを見渡しかなり焦っている。

「ダメでしょうか?」

「違います!価値観が違いすぎます!!彼女をあっちこっち選んで、変えるとか無理です!」

変えてはいない。ユンシーリとしか付き合っていないうえに逃げられたという以外にないのに、なぜかロディアの中ではそう言う話になっている。


「ロディアさんはフォーチュンズ一家なので、俺は相応でないと思ったけれど、まあ、タウとベイドがおじさんがいいって言うならいいんではないかという話になって…。」

「人に話したんですか?!」

ショック過ぎる。

「あ、ごめん。あの2人だけだから、話は漏れないよ。」

心で全部終結させようと思ったのに、この人たちの行動力に追いつかない。誰かに話す思いすらなかった。


「そもそも、パイさんにもあのキレイな子の間にも入るつもりもありません!」

「キレイな子…?誰だろ?エアさん?」

自分の勘違いを思い出して、またしてもロディアは固まってしまう。サルガスの中で陽烏(ようう)はカウントにも入っていないようだ。

「私はああいう人たちみたいにはなれないので…。」

「……」

「すごくきれいで…。胸もあって………。」

口に出すのも恥ずかしい、あの引き締まったヒップ。長い脚…。どれも自分にはないし、若さも負ける。

ロディアが何を言いたいのか分からず考えながら思い出す。

「…ああ!普段はメイクしてるだろ。あの辺の大房の子は。メイクだよ。メイク。上手な子がメイクしたらみんなきれいになるよ。」

「…?!」

メイク?と思いきや、ロディアは元の素材が違うと潔く現実に戻る。


「あんな人が周りにいたら浮気すると思います。向こうから迫ってくるらしいし…。」

「………ロディアさん、そんなこと考えるんだ…。」

「っ!普段は考えません!でも、サルガスさんモテるじゃないですか!」

サルガスはこの前の騒動を思い出し、ちょっとめんどい顔をする。

「大丈夫。一時的なものだよ。運気が動いてるから、いろいろあるとかエリスさんが言ってたし。」

「…………」

「…ロディアさん。こんな歩道で何だから、ご飯でも食べに行こうよ。」

「いいです!無理です!」

そんなところをパイにでも見られたら恐ろしい。あの渦中は絶対に無理だ。ロディアとしては、遠くからサルガスの無事を見学しているだけでいいのだ。



仕方ないので、ロディアを説得して昼食をテイクアウトし、人気(ひとけ)の少ない四阿(あずまや)で広げる。

「ヴェネレ人って少ないんですね。」

「仕事は通いの人も多いし、住んでいるのは南海も合わせて20人もいません。」

「………」

「…………」


「あの、サルガスさん。先も言いましたが、私は結婚を前提としたお付き合いしかできません。なので無理です。」

「……付き合うならそのつもりだけど。」

「本気で言っているんですか?」

頭が回らない。


「俺はずっとそのつもりだけど。」

サルガスはユンシーリともそのつもりだったのだ。

「あの困った人を父にするんですよ?」

あの困った婚活おじさんである。

「後戻りとかできませんよ?」


正直、そこはロディアとは考えが違う。中途半端な付き合いは許さないだろうが、努力して駄目なものはロディア父はそこまで押さないだろう。会社を率いて来ただけあって、娘には弱くても思った以上に理論的な人だ。でも、そこはきちんと今の自分の思いを伝えておく。


「家庭観が合う人がいいんです。夫婦はずっと一緒で、多少の事があっても一緒に考えて一緒に生きていける人が。元の彼女もそのつもりだったけれど、場所が変わったら新しい恋人を作ってしまって。自分にはそういう考えはないし。

元の彼女にも、家庭観を確認した訳じゃなかったから、自分はそういうものだと勝手に思っていて。そういう意味では信仰深いっていいよね。もう天と約束したものだから、どこかに同じ信条や生き方であるわけで……。」

「…………」

なんと言っていいのか分からない。


「でも、自分が住む小さな世界で、やっと友達もできたのに、関係がうまくいかなくて南海で気まずくなるのは嫌です…。結婚まで努力するにしても、ここに関わらない人がいい…。」

イータやシア、響たちを思い出し、下を向いてしまう。


「……まあ、そういう時は、今ベガスも大きくなってるから俺がどこかに引っ越すので。そうすればほとんど会わなくなるし、それに、何かあってもイータたちもあれこれ言わないよ。」

「………」


「……今、他に誰か思う人がいるわけじゃないよね?」

「まさか!…いません。………でも、私なら私を選ばないから………」

「選ばない?」

「……私ならパイさんや陽烏さんや他の女性を選びます。」

考えて分からなくなるサルガスである。先のところまで話が戻ってしまった。

「………?なんで?」

「キレイだし、積極的だし、健康だし、陽烏さんは牧師家庭なので、家庭観はしっかりしてそうです。」

「陽烏?………ああ、エリスさんの娘ね。…まだ大学生だよ。あの子。23、24くらいだったはず…。忘れた……」

「私は30ですよ!!」

思わずツッコむ。前にも似た話をしたがロディアとしては年齢は気になる。

「俺も若すぎる子はパスだけど…。女性の方が健康で長生するって言うし、調度いいんじゃない?お互い社会人で話も合うし…ロディアさんが安心する。」


ロディアはさらに顔が赤くなって、言うセリフもなくなる。


「なら、お見合いだと思っていろいろ話そうよ。」

「……」

「まず、ロディアさんは障害があるわけだし、出来ること出来ないこと。そういうのはお互い知っておいた方がいいよね。お見合いと思ってさ。」

「………。」

「例えば…子供を作るには身体的には問題ないって聞いたけれど。」

「……へ?誰が言ったんですか?!!」

「おじさんしかいないっしょ。」

「~~~!!!」


「信じられない!…信じられない!でも、だからって簡単なことじゃないでしょ!足もこんな風だと!」

「…あのさ、ロディアさん。病気なんてさ、今分かんなくてもみんな何かしら持ってることが多いよ。見た目分からなくても、内臓や神経の病気や奇形だってあるわけだし。今は遺伝子情報を提出するから昔よりは分かるけれど、突然変異もあるし、加齢や妊娠したい段階になって分かることもあるし。」

「……」

ロディアは少し涙目だ。



「ならさ、取り敢えずお付き合いすること少し考えておいてほしいな。俺も他は考えないから、俺でいいと思ったらまた声を掛けてよ。そしたらもっといろいろ話そう。」

「……。」

「足の事もあるし、俺の家の事もあるだろ。ロディアさん家みたいに仲良くなくて驚くよ。うち、超淡泊だから。」

「……」


「もう帰るだけ?」

ロディアが頷く。

「なら、南海まで一緒に行こう。」

「バイクは?」

「ヴァーゴに乗せてきてもらったから。タクシーで帰ろ。」

「………」


赤いままのロディアと、言葉少な気に二人は南海に向かった。




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