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ZEROミッシングリンクⅢ【3】ZERO MISSING LINK 3  作者: タイニ
第二十五章 夢は朝焼けに覚める
105/105

104 青緑の、そして鮮やかなあの紫

※追記

この小説はこの後、小説『ZEROミッシングリンクⅣ』に続きます!

https://ncode.syosetu.com/n0646ho/


この部分の後は、お手数おかけしますが次の新小説に移動をお願します。



「…襲撃ですね。」


運転のレオニスが言ったとたん、エンジンフードに乗った男性型ニューロスが、フロントガラスを割ってレオニスに襲い掛かろうとする。


ガン!!


一度では割れないが視界は見えない。レオニスはなナビを頼りにスピードを弱めながらもすごい速度で少しカーブさせながら停車姿勢に入り、100メートル近くかけてダーン!と路肩で止まる。前方のニューロスは振り落とされるが、すぐに体勢を変えて襲って来た。


ワズンは既に銅と足に強化プロテクターを付け、揺れる車内で常備してある銃器を準備していた。


「後方車は?!」

チコが叫んだ。客人は傭兵といえど民間人が2人も乗っている。


後方車はタイヤを撃たれたのか、片輪を軸に回転してこちらも数十メートル先の路肩にぶつかった。浮遊できる車両ではない。

「ファクト!」


その間に異常を察知したアジア公安によって瞬時にこの道路は閉鎖され、デジタル標識が一気に変わっていく。



「ファクト?!お客さん?!」

カウスが心配するが、ぶつかる身構えをし、エアバッグも膨らんでいたので衝撃だけで済んでいた。少し動けなくなっているファクトにおじさんはなぜそんなことを知っているのか、エアバックをしぼませると車内常備のプロテクターを付け、ファクトにも簡易の物を付けさせる。一緒に乗っている兵士たちが少し戸惑っている。

「こんな車にもエアバッグがあるのか…。」

ファクトが襲撃に驚いているのに、逆にエアバックで驚いているおじさん。


しかしそんなことを言っている場合ではない。ニューロスが1、2体どころではない。20機以上いた。人の形を成していないロボットもいる。



でも、この一行に襲撃したのは間違いであった。


なにせメンテ後のチコにその元師匠ワズン。超ガタイのいいクラズたち。ロボやニューロスを壊しまくって毎回叱られているカウスまでいる。そもそも今の事故で1人も負傷していないのがおかしい。車がいいからか?そう、車も頑丈だが運転手の腕が良すぎる。


と、思う間もなく戦闘が始まった。



狙いはチコか。博士の息子ファクトか。

暗殺か、拉致か、脅しか。



ただ、やはり敵はタイミングが悪かった。


ファクトが動いたことで危険にさらされた上に、シェダルの件が落ち着いたらチコは門限をなしにしてもらおうと思っていたのに、このあり様。やはり夜は危険という事になってしまう。

チコは指揮の部分は冷静でも、別の部分でかなり怒ってしまった。


「…門限撤廃が……」

ダン!と、まだ襲い掛かってこないニューロスにも早速攻撃を仕掛けるチコ。


門限撤廃が遠のいた可能性にかなりご立腹であった。



おじさんがファクトに尋ねる。

「襲撃の狙いは、あの金髪のボスか?」

「…多分。」

いくらファクトが心星でもただ殺してしまっては何のメリットもない。とくに未来を期待されている神童でもないし、そんなファクトに手を出したら、無意味にSR社の博士を揺るがせ世界を怒らせるだけだ。おそらくチコであろう。それに、強い機体はチコたちの方に集中していた。


チコは襲撃者をもう3機もぶち壊し、強化プロテクターを着けたカウスも同じくこっちに来る機体を全壊させていた。1機いくらするのか知らないけれど、こんなにお金を掛けて襲撃した相手に同情してしまう。ワズンも1機、手でぶち抜いていた。遠目で見ながら、ワズンも絶対に義体だと確信するファクトである。

名前も知らないし、顔も見えない他の兵士も異様に強い。



そのうちの1機がチコに掴みかかり話しかけた。

「話がある。」

チコは手でサインしてこっちに攻撃するなと味方に指示する。


「チコ・ミルク、選択ができる。」

「は?」

「私たちの方に来れば、地位をやる。いい扱いをされていないだろ。」

「……。」

地位なんて欲しいわけがない。ただでさえ手放したいのに。でも、そう思っているなら、おそらくユラス側の民間の事情しか知らない者たちだ。

「ギュグニーか?」


そしてそのニューロスはチコの顔を眺め、返事を待つチコに横蹴りを入れた。ダン!と体が叩きつけられるが腕でガードして直で入ってはいない。

「顔さえそのままなら半死でも何でもいいと言われた。お前の目が、その目が輝く顔が欲しいいらしい。」

「っ!…変態か?」

「さあ、それは私の関与するところではない。」

「最悪な趣味だな。変態だとそう伝えろ。」


「チコ?!」

会話は聴こえないが、戦闘機能もあり対話ができるほどのニューロス。

ワズンは、何か話し掛けているそのニューロスの顔を後ろから掴むと、一気に地面に叩きつける。


「チコ、高性能ニューロスが数体いる!」

「Sか?」

Sが付いているニューロスは他のニューロスサイボーグとは一線を画す、スペシャルクラスである。頭脳、動き、パワー、耐時間性、耐久性、連動性、所属、人間性などに特定以上のS機能が認定された場合で、シリウスは現行機で最もSが多い。さらにそこからクラスを分けて、シリウスがSSS級。スピカたちはSS級である。全ての項目に1つでもSが付いている場合もS1級になる。



ファクトの方を見るが、カウスやフェクダたちが付いているので、おそらく大丈夫であろう。ただ、S級以上はカウスもかなり手こずる。


ファクトは、カーフやガジェを思い出す。襲って来たニューロスに、おじさんを庇うようにサイコスを思いっきり放った。青白い閃光が煌めき、ザン!と機体が叩きつけられる。おじさんはファクトから離れないようにしているので、目の前で光った電気に感激している。

「ほー。鳩はすごいんだな。でも、ガス漏れの時は危ないな。電気だろ?」

そんなこと言う余裕があるのか。


その時、カウスに壊された1機がドン!と爆発した。

「後処理か?!」

技術や情報、機体を利用されないように自己爆発するのだ。


機体が少なくなった相手側は、チコたちの方に標的を定めた。

「2人を頼む!」

カウスはそう言うと、チコの方に向かった。フェクダたちは何かの機械で未爆発ニューロスの自己爆発設定を解除をしていた。A級以上のニューロスはかなり頑丈に作られているので、内部爆破というのはそれなりの威力だ。


「鳩、あっちにいる高性能ニューロスは多分4体だ。加勢に行く。そこの軍人にくっ付いてろ。」

おじさんはフェクダに何か話し、チコたちの方に動きだした。

「待って!俺も行く!」

「おい!ファクト!」

フェクダに止められファクトは動けない。まだ襲撃の加勢も考えられたが援軍も来ているので、おじさんは後方車メンバーにファクトを預けた。



チコたちはとりあえずS級1機を制していた。


まだ3機もいる。高性能ニューロスを最低でも4機、捨てるつもりで投入できるなんてどうかしている。購入費だけで1機50億はくだらないだろう。


情報を少しでも残したいチコは、あの南海広場のコマちゃんの時のように、倒れたS機種に何か光を送り込んでいた。これも自己爆発を防ぐための電気コントロールだ。自分たちんお被害を防ぐためだけでなく、情報を取ってしまいたい。なお、電気コントロールは普通にやったら重罪である。



そこに光る、やはり紫とピンクの鮮やかな光。チコが霊性やサイコスの力を放つ時に出る光。



「………。」

おじさんも色まで見えているのか分からないが何かを感じ取っているらしく、そんなチコの方を見入ってた。


が、レオニスとカウスたちの包囲網を切り抜けた1機がチコの方に向かう。


チコは戦闘体勢に切り替えるが、その近くにいたS級以下が爆発した。威力が大きく一瞬ひるむチコ。

ワズンも1機相手にしている。


クソ!一発食らうか?とチコが思ったそのほんの瞬間。



ズダン!と、ものすごい回し蹴りがそのニューロスに入った。

「?!」

考える隙もなく、その蹴りを与えた男。


そう、あのとぼけたおじさん。


彼は全くの無表情でもう一発蹴りを入れてから上に乗りかかり、持っていた軽量ライフルの銃口を片手でニューロスの首の関節部分に数回叩きこみ、そのまま数発撃ち込む。そして、なんとピストル型ランチャーを腰から外し両手で構えると、ニューロスの弱い部分にそのまま放った。ドゴ!バン!と、至近距離過ぎておじさんの体も弾かれ少しぶつが、その機体は動かなくなった。


最初の蹴りは破壊ではなく、動きを制するためのものだ。おじさんの足では敵わない。彼は、瞬時の有効な戦い方を理解していた。



…………高性能ニューロスのせいか、敵のニューロスまで唖然と見ている。

呆気に取られてしまうチコと、遠目で状況把握ができないファクト。


その隙にカウスとワズンたちは、それぞれ襲撃機たちに打撃を与える。


まだ動けるその2機は逃げようとするが、既に援護に来た東アジア軍とユラスに囲まれていた。

この状況を把握し、逃げるという選択を取ったという事は、やはりS級以上だ。


1機は自己爆発。1機はその前にワズンに拘束され、ユラスの電気コントロールを受けて自己爆発の動作解除をされた。



「…やっぱ歳だな…。最後受け身ができなかった…。」

おじさんが残念そうに言うが、普通の人ならどこかに叩きつけられていただろう。というか、至近距離で小型でもランチャーなんかぶっぱなったら自分も大怪我だ。




周りは落ち着いたようであった。




「………。」

というかなんというのか、まさか自分のユラスからの行動1つでここまで大事になってしまい、言葉が無くなるファクト。


血を流している人もいるが、おそらく死者や重傷者が出なかったと言われたことに何よりホッとする。ただ謹慎はまぬかれないし、もしかして退学?逮捕なんじゃないだろうかとも思った。父さん、母さん、二人の顔に泥を塗るような騒ぎを起こしてごめんなさいと、気持ちはもう下がりに下がっていた。



勝手にユラス軍のランチャーを使った上に、それを眺めているおじさん。

「………。」

「アジアのか?ユラスのよりいいな、これ。」


「あ…あなたは…。」

チコが言葉にならないような顔でどうにか口を開く。


ニューロスを、補助は付けているだろうが素手で叩きのめす男。義体かサイボーグ。そうでなければ、カウス級の強さになる。そんな人そうそうそういない。というか、いない。世界最強の軍隊であるユラス軍ですら、片手もいない。片手分いるだけでもすごいが。

それに、ニューロスをへこませる威力のあるランチャーを腰につけたまま、回し蹴りをするとか無理である。


そしてプロテクターの付け方を知っていた上に照合完了された。強化プロテクターは登録者以外使えないはず。なぜ。



チコがワズンを見ると、ワズンは困った顔をして笑った。傭兵だとは聞いていたが、ここまで強いとは知らなかった。強化プロテクターは、装着法は知っていそうだったのでカウスが解除したのだ。ただ、細かい機能まで使いこなしていないが。


カウスやレオニスも、呆気に取られていた。

援護に来たばかりのアセンブルスたちも、訳が分からずどこかのおじさんと会話するチコの方を見た。

ウチの武器を使っている。普通なら速攻拘束だが、とりあえず見守る。



「あの………」


チコがさらに問いかけようとすると、そのおじさんは、「あ、ちょっと待って。」と言い、片目のコンタクトを外した。


「初めまして。お嬢さん。」




そう言ってチコに笑いかけ、握手のために手を出した男の瞳は、


深い青緑に囲まれた鮮やかな紫だった。




『ZEROミッシングリンクⅢ』

一旦ここで終わります。次回、『ZEROミッシングリンクⅣ』に続きます。

まだ準備前ですので、新作小説として立ち上げますのでよろしくお願いいたします!


すぐスタートするか、修正後にスタートするか分かりませんが、早めにがんばります!


※追記

この小説は『ZEROミッシングリンクⅣ』に続きます!

https://ncode.syosetu.com/n0646ho/



誤字脱字の多い、小説を読んでくださり、本当にありがとうございます。感謝です(´;ω;`)

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