第八話
二人で歩いていた。
平原。風に緑の草がなびいていた。
まだまだ、洞窟までは遠い。
それに、いつ村の奴らが来るかも分からない。
急ぐにこしたことは無かった。
「しっかしな、もうそろそろ奴らと遭遇してもおかしくないはず」
そう、お告げが出てから二日目。
もうそろそろ村の奴らが出てきてもおかしくない。
うちの村はお告げを第一に重視する。
他の仕事も放って、こちらへ来ることも十分にありえる。
今までにも、何回か生け贄を捧げることはあった。
生け贄に選ばれた者は『村のために死ぬのなら本望』と言って自ら身を差し出す者もいたが、ほとんどが村から逃げ出した。
しかし、その中で生き残った者は一人もいない。
それほどに、うちの村のお告げは重視されている。
となれば、生け贄の脱走を手伝っている俺は殺されてもおかしくないわけだ。
ただ、もしかしたら、その心配は全くないかも知れない。
何しろ俺らが村から出たのを見たのは多分大将だけ。
あいつはカエデがお告げに出てくる少女だとは気づいて無かったらしいから、大人に知れ渡る可能性はあまりないのかもしれない。
『レナード、聞こえるかい?』
声が、聞こえた。
婆ちゃんの声だ。
『よく、聞いてほしい。言い伝えの少女が村の外にいる、という噂が流れ出した。そちらへ行くのも時間の問題だ』
やはり、気づかれてしまっていたらしい。
『お前は、武器をそろえなさい。村の大人たちは完全な武装をして彼女を捕まえるつもりだ』
『彼女の脱走を手伝っているお前は、間違いなく命を狙われる。いくら読心術が使えるからと言って、武器や鎧が無ければやはり危ないだろう』
そして、頭に情報が流れ込んでくる。
最初のルートから少し、ずれたところに大きな街がある。
どうやら、そこで武器をそろえろということらしい。
『そこで武具を買うには、ちゃんとした資格が必要なんだ』
『その街の騎士団の試験に合格すること。それが条件だ』
『攻撃、回避、防御がどの程度のレベルでできるか調べ、そのレベルに合わせて買える武具が変わるらしい』
『頑張りなさい』
そこで、声が消えた。
カエデが俺のことを見ている。
『どうして立ち止まっているの?』
どうやら、ずっと止まっていたらしい。
俺は歩き出した。
歩きながら考えた。
『回避、防御』については多分大丈夫だと思う。
読心術のおかげで、瞬発力には結構な自信があった。
しかし、『攻撃』についてはあまり自信が無い。
実際、俺は力で勝負すれば大将に負ける。
いつも勝つのは作戦勝ちである。
ただ、力だけで勝負するのは苦手だった。
「ま、行ってみるか」
とりあえず、行ってから考えることにした。
考えるのを止めると、急に腹が減ってきた。
街に行くのが待ち遠しくなっている自分がいた。
〜プロフィール〜
カエデ
ニホンという国からやってきた少女。
レナード曰く、良いとこ育ちのお嬢様。
ただ、本当のことは分からない。
レナードのことを『お兄ちゃん』と慕う。
ニホンに帰るために、レナードと旅をする。
・・・需要が無いシリーズ第二弾。




