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第四話

「さて…」


 一応荷物の確認しておくか。

 えーと…着替えはいらないかな。

 う〜ん、でも女の子と一緒だからな〜。

 でもその女の子が着替えを持っていないわけだが。

 と、袖を引っ張られた。

 ん?振り返って見てみると、正座しながら、俺の袖を引っ張っているカエデがいた。


「ん?なんか用か?…ああ、何?自分の分も着替えがほしい?」


 こっちの言葉は通じないが向こうの言いたいことは分かる。

 しかし、俺男物しか持ってないしな。

 いや、むしろ女物持ってたら問題だろ。


「これでいいか?」


 割合無難なシャツを彼女に見せてみる。

 うん、合格だそうだ。

 それをリュックにしまう。

 えーと、あとは…

 と、またここで袖を引っ張られる。


「何?これだけじゃ足りない?…お前絶対どこかのお嬢様だろ。いいか?旅に出る時は着替えで荷物を重くしちゃ駄目なの!分かる?……って言っても分かんないんだよなー、これが」


 彼女は少し顔を傾げて、俺のことをじっと見ている。

 …なんだよ、そんな目で見んなよ。

 と、俺が固まっていると勝手にシャツをもう一枚俺のリュックに入れた。

 このやろう。

 俺はそのシャツをリュックから出した。

 すると、カエデがまたそのシャツをリュックにいれる。

 俺はそのシャツをリュックから出す。

 カエデがシャツをリュックに入れる。


「……」


 ちょっと頭に来たのでシャツをカエデに投げつけてやった。

 ふっ。してやったり。

 カエデはシャツが頭に被さっていて前が見えない状態になっていた。

 俺はその場に座った。

 さあ、準備準備。

 着替えはこれでよし。

 んでもって、食いもんは…と。

 お。ばあちゃんが入れてくれてるな。

 じゃあ飲み物…も入ってる。

 こんなもんかな。

 リュックのファスナーをしめて、立ち上がる。

 振り返ると、カエデがまだ一枚のシャツと闘っていた。

 ちょっと見てるか。

 あっちへヨタヨタと歩いて、こっちへフラフラと歩く。

 と、カエデが俺の目の前までやってきた。


「よくここまで来れました〜」


 シャツを取ってやった。

 すると、カエデは一気に安心したようで、俺に抱きついてきた。

 −−え?抱きついてきた?

 いや、ちょっと?カエデさん?

 1分ほど、動けなかった。



 準備も済ませたのでリビングへ。


「お主、女の匂いがする…」


 ひぃっ!

 振り向くと親父が立っていた。

 こええ、こええよ。


「く……父さんは…父さんは羨ましいぞ!!」


「母さん、晩飯まだ〜?」


 軽くスルーしてやった。

 あれ?そういやカエデは?

 振り向く。いない。

 俺の部屋にいんのかな?

 と、部屋に戻ってみる。

 ……いない。

 あれ?ちょっとこれはまずいんじゃねえの?


「婆ちゃん!カエデ知らない?」


「え?お前の後ろにいるじゃないか」


「へ?」


 後ろを振り向く。いない。


「いないじゃん」


「じゃあ、手を後ろにまわしてごらん」


 手を、自分の体の後ろにまわす。

 すると、頭に当たった。

 え?なんで?俺の頭はこんなところにはありませんよ?

 なんで頭に当たるのかな?


「全く、いつのまに懐いたんだか」


「へ?」


 …ってことは、これカエデ(の頭)?

 そうと分かれば。

 ガシッと、(カエデの)肩をつかむ。

 そして、首だけ振り向く。

 …いた。

 彼女はにこやかな顔で、こんなことを思っていた。


『お兄ちゃん♪』


 ……………悩殺っ!!


「ああ、レナが急に倒れた!(母)」


「っは、モテる奴は死ぬと昔から相場が決まっているのだよ(父)」


「悩ましいね〜(婆ちゃん)」

悩殺っ!!

俺だったら確実に死んでるぜこれ(笑)


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