⑦
自分がソラの立場だったら、お嬢ちゃんと呼ばれるくらいの年齢だったら、一体、何がどこまで理解して受け入れられるかな?というのが悩むところです。
「あの……アルフェードさん」
「ん、何だ?」
「わたし、一体どうなったんですか」
恐る恐る尋ねる。一体、自分に何が起こったのかわからなくて。
すると、アルフェードさんはふぅ、と深いため息をつくと、深く腰をかけ直す。すると、思案するような仕草を見せてから、わたしに問うた。
「ソラ。お前さんにはこれから話すことは、辛いものになるだろう。……それでも、かまわないか?」
躊躇うように、ひとみが揺れる。
さっきまで賑やかだった場の空気がしん、と静まる。側にいるヴェルゼピナさんも、ファングさんもわたしの様子を伺っているのがわかる。
あぁ、きっと、とてもよくないことなんだろうなぁと直感で思った。ざわりと全身に鳥肌がたつ。
わたしは目をぎゅっとつむって言った。
「教えてもらえませんか?」
すると、アルフェードさんは、膝の上できゅっと強く握りしめていたわたしの手を優しく握りしめながら、話し始めた。
わたしの住んでいた町に、封印の力がかけられて、そこにいた人たちは、抵抗することもできずに攻撃されたこと。逃げることも戦うこともできず、みんなが傷つけられたこと。
アルフェードさんたちが駆けつけたときには、わたし以外の生命反応はなかったこと。
「………………みんな、死んじゃったんですね」
わたしは、真っ白な世界にひとり取り残された気分だった。空っぽの言葉だけが出てくる。
頭がぼーっとして、泣き叫んで声を上げることもできないのに、受け止めきれない現実を突きつけられた。
そんなわたしをアルフェードさんはぎゅっと抱き締めて、背中を優しく何度もポンポンと叩く。
わたしの耳元で優しい声がささやく。
「ソラ。泣いていいんだ」
その言葉で、止まっていた時間が一気に流れ始めた。もう、だめだ。溢れる気持ちが止まらない。
なんで、なんでこんなことになったの?悲しい。苦しい。怖かった。あれは夢じゃなかったんだ。みんな苦しみながら目の前で赤い血をまき散らしながら倒れていった。熱かった。痛かった。お父さん、おかあさん、友達も、近所のおじさんおばさんも、みんなあちこちに転がってて、動かなかった。銀髪の美しい、残忍な悪魔はわたしのすべてを壊していった。あれは、決して夢ではなかった。
「うあああぁぁぁぁぁ」
わたしは、アルフェードさんの背中に必死にしがみつきながら、涙が枯れるまで、ずっと、ずっと、なき続けた。
アルフェードさんは、なにも言わずにわたしがひとしきり泣き止むまでずっと、優しく抱き締めてくれていた。
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