表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/129

這い寄る闇の幻影


先手は俺、調律によって高周波を纏った右拳による地形破壊、ではなく破壊した壁や床の破片を暗殺者っぽい何かがいる方に向けて面投射、いわゆる数撃ちゃ当たるの最悪系だ。

「っつー!!?」

何か黒い物が慌てて曲がり角に隠れたのがよく見える。しかも何発かいいのが当たったようだ。

やり方は簡単、大きな破片を選んでとにかくめちゃくちゃに蹴り飛ばしたり殴り飛ばしたりするだけだ。だがそれだけでもこの地下水路という閉鎖空間では不可避に近い面攻撃に成る。

横ではジェシカさんが術式に魔力を走らせ近場の石からナイフを生成、ネコ科の猛獣のようにしなやかに加速したかと思えばまるで変身ヒーローの様に全身に金属製の装甲を纏う。それは魔獣や人を超えた化け物相手ではあまりにも薄く。軽い物だったが、脆く。壊しやすく。か弱い人間という物を狩るには最適化された防刃装備だった。

「っふ!」

「っ!」

俺もそれに追従するが、そこにあったのは介入の余地がない高速戦闘による。蹂躙だった。



土属性は得意とするスタイルが矛盾する変わった魔法だ。少なくとも私はそう思っている。

片方は言うまでもなく岩石や金属で身を固め魔獣とも見紛うばかりに自らに大地を纏う重戦士型、ゴーレム型とも言われる。その破壊力や防御力は簡単に身につくものではないし、魔獣相手に怯えずにいると言う常人にはあり得ない胆力が必要だ。

「っくぅ!」

「遅い!」

そしてもう一つがこれ、軽く薄いながらも常人が放つもしくは魔法使いとして低位な物が扱う弾丸魔法や人間による斬撃程度ならばいなせる程度の重量、厚さの装備を纏い、物体の結合を操り高速で移動しながら殺しきる。軽戦士型といえば聞こえはいいが凶器やその他道具を簡単に用意し消滅させられるその性質から…暗殺者型と言われる。そんな戦闘スタイルだ。

どうやら相手もこのタイプらしいが…魔力循環が滞っている。彼の初撃がだいぶ効いているようだ。痛みによって正確な魔力の操作ができず。思考が乱れている。だがそれでも上下左右からの連撃を凌ぎきるのは私の腕が悪いのか、それとも相手が悪いのか…

おそらく両方だ。あの魔獣が襲撃した時も思ったが、学園で学んだ事は実際にできるかできないかで大きく変わる。あの時私が教科書どおり動けていたならピーター氏は腕を吹き飛ばされず。彼もあんな自爆めいた魔法を使わなくて済んだのだろう。今回は最初から来るとわかっていて、魔力の波動を感じつつ地下であるために使える解析の応用も合わせて使う事で相手の位置が最初からわかっていた。正直戦闘センスと言う人生においてあまり必要ないタイプの才能は自分にはないのだろう。

「…足ですか」

血の滴り、震え、私の最も得意な物体解析は本来土属性の司る結合という魔力特性を活かし、物体や物質の結合部や結合度合いを視覚的に見ることができる術式魔法、だけれどこれは非常に悪用しがいのある術式だった。

例えばいくら音がなくとも性質の違う二つのものがくっついたり離れたりしていると言うのがわかる。さらにそれが動いているのならばそれは生物であり、ある一定距離までしかこの術式は届かないが、逆にいえばその範囲内に二足だったり四足だったりそれ以上だったりする何かがいるというのがわかるのだ。


手にした石のナイフを投げつける。勿論相手はそれを打ち払おうとする。私はその石のナイフにかかっている武具生成の術式を解除する。相手のナイフが中空を切り、私の石ナイフだった石の礫が相手の顔に降り注ぐ。

「これでっ!」

「ジェシカさんっ!」

彼が叫ぶ。何だろうか、私が生み出したのは石槍、短剣、しかも隙を晒した相手に何を…

「…バカが」

「っ!」



土煙の中に石槍突き入れられるよりも早く出てきた黒づくめの手には三角形の紐がついた何かが握られている。あれは…なんか自決とかのあれだっ!俺は土煙に入る前奴の口元が明らかに緩んでいたのを目撃した瞬間から右腕の制御ではなく全身の加速、足への魔力供給に制御を切り替えた。

「どっせい!」

「っぐ!?」

まぁ、避けきれないだろう。彼女の体に三角形の火薬炸裂袋を密着させて紐を引くのとガキが200メートルほどの直線を詰めるの、どちらが早いかと言われれば普通は前者だ。だが、あいにく俺は普通ではないのだ。石でできた通路を踏み砕きプルバック式の車のおもちゃめいた直線で黒づくめのすぐ側まで1秒かそれ以下で詰め寄りタックルをかました。メキメキと骨の砕けるような感触、嫌な音と感触…遅れて何かが内部で流動しせり上がってくるような気配、そのまま別の通路の壁に相手ごと押し付けると相手は物言わぬ死体…程度ならばよかったのだが、そこに生まれてしまったのは黒い布を被った人だった塊とまるで赤い果実を叩きつけたような赤いシミ、まるで神話生物がその人外の膂力を持って人間をバラバラにしたような描写だが、それを成したのは俺というただの人だ。


殺してしまったという罪悪感は多少あった。しかし正当な防衛だと言えるだけの攻撃はされた。だがこれはどうだ。

なんだこのザマは、この惨状は?



吐いた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ