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1歳児とは


木は乾燥させなければ薪にも使えない、切るのも一苦労だ。そして乾燥させる為には天日干しか屋根がある場所で風通しが良い場所があれば良いのだが…

「ま、ねえよな」

「造りますか?」

「いや、ジェシカさんの魔法は凄いけど、作った物の範囲とか大きさとかで魔力消費が変わるんでしょう?」

「ええ…あっ、そうですね、丸太が入らないといけないんですものね…」

丸太は意外と大きい、普通に考えて某彼岸めいた島の様に特産品としてあるものではないし、振り回したり剰えそれを使って人を引き上げたりするものではない、2〜3メートル直径10センチの丸太があったとしてその質量は300kgくらい、少なくとも乾燥させた状態でこうなのだからおよそ人間がこれを自在に振り回せるとは思えない、そして2〜3メートルの丸太が三つ束ねられそれが2セットある並べ方によってはもうちょっとなんとかなるだろうが、作って貰うとして風通しやできれば日光なども欲しいと考えると術式などの制御がない状態で作るにはちょっと繊細すぎ、そしてそんな術式は今発見されていないので結論、作れなくはないが非常に労力がいる。

実際、今のところ適度に乾燥した日の続く季節だし、陽も出ている。

「今は必要ない、って所だね…雨が降り始める前位に考えよう。」

「…ええ、それがよろしいでしょう。」

ついでに、俺の魔力は一般的な魔法使いであるジェシカさんの100倍、そして現状ジェシカさんの魔力量で俺の注文通りの建築物を魔法のみで建てるなら大体今の彼女の20倍くらいの魔力がいるそうだ。

…意外と万能じゃないのね…ま、そうは言っても魔法文明と言えるレベルのものは今走り出した所だ。魔法教本に載っている魔力の運用法や操作、それによって術式発見以前に使われていたかなり強く、複雑な魔法も今や術式によって誰にでも(対応属性持ちなら)簡単に(魔力が足りるなら)発動できる様になっている。

「まぁ、今も昔も対応する属性が魔力にないといけないのは変わらないがなっ!」

肉体強化によって斧を持ち上げ薪を割る。

一応忙しくとも魔法や魔石の研究はちまちましているのだ。と言うか正確にはそれらの今までされて来た研究やその知識を吸収する作業だが…一応の成果は上がっている。

その一つが意識的な『魔力障壁』の発生だ。

今まで肉体強化をするとき俺はほぼ無意識で前世における空想上の産物、いわゆるパワードスーツや強化外骨格、より現実的に言うなら甲虫の様な外骨格を思い浮かべながら魔力を使っていた。

何故か、それは簡単だ。俺が最初にこの魔法を使ったのが首も座らぬ赤子の頃、つまり自立に耐えうる骨格や筋肉を持っていなかった時の事だ。俺はこのとき『魔力によって必要な筋力、骨格』を生み出しそれに覆われるイメージでもって肉体強化を発動した。この骨格部分が物理的に俺の体を覆う魔力の膜となって発生し、肉体そのものの強化と共にまた別の場所で力を発生させる筋肉部分が発生する。

この肉体強化、魔力障壁が相乗的に作用することで俺は斧を持ったり、台車を引いたりできる。少なくともジェシカさんと行った実験では更にある程度の衝撃や熱なら遮断する様だ。ただ、肉体強化も魔力障壁も過剰な魔力を注げば制御不能なほどに魔力操作が乱れ、最悪爆発四散する。だが、一瞬だけ、本当に一瞬だけだが暴走状態の肉体強化と魔力障壁を保てた。その時の一瞬はアニメの一つのコマを数十秒にも引き伸ばした様な、世界が遅くなったかの様にすら感じる程に肉体の、文字通り全てを強化された気分だった。

ま、その一瞬の後に凄まじい頭痛と筋肉痛でぶっ倒れたのだが…


で、だ。俺は常人の、少なくとも魔法使いとして一定の魔力があるジェシカさん百人分の魔力がある。その魔力でできるのが遠距離攻撃でないことが悔やまれるが、現状一つの可能性を掴んだ。それが肉体強化、先述した様に俺の肉体強化の倍率はおかしい、これは魔法の教本によれば魔力量による威力の差、つまり現実を歪める力が強いが故の結果らしい…が、俺はそれにもう一つ理由をつけたい、それは俺だけの持つ、いや俺だけじゃないかもしれないが少なくとも少しはアドバンテージたり得る前世の記憶だ。


学問とは学んでいるときはつまらない様に錯覚するが年老いたり、役に立ったりするといきなり輝いて見える。今の俺はまさにその状態だ。俺の専攻が生物学で本当に良かった。うん、マジで…アミノ酸とか生化学とか、系統分類とか地獄の様な暗記と生物観察という天上の時間の繰り返しをしていて本当に良かった。アレがあるから俺はより具体的に、より少ない魔力で効率的に現実を歪められるのだから!

魔法、特に魔力を放出して現実を改変する類の物はイメージが肝なのだ。それはジェシカさんから教えてもらったが、もう一つ重要な性質がイメージの強固さに応じた魔力効率の向上だ。


例えばの話だが、さっきの小屋を作る話、アレはジェシカさんに俺が頼むから凄まじい量の魔力がいるのであって、ジェシカさんが自分からそれらを理解してどこにどう言うふうな構造があるのかをきちんとイメージ出来ていればおそらく何とかなるのだ。


だが、彼女は残念ながら建築家でもなければ物理学者でも無く。ましてや地質学者でもない、どこにどの様な力がどれくらいかかってどんな構造なら耐えうるのか、どんな材質の石、土、岩、或いは砂を生み出せば良いのか、おそらく土魔法で何かを作る時の失敗しない方法はここにある。

彼女に俺の話を聞いた上でのイメージを聞いたが、全て生み出せる中で最硬度の物質で四角い箱の様なものを作るという曖昧なものな為に不必要な現実改変が入り、最終的に魔力が嵩むのだ。

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