5.『異世界』について教わりました。
書いて投稿するの忘れてましたすいません。
ほんとに少しずつですがなんとなくは進んでいきます。
あとこれまでの投稿分を読みやすいように文事に1行空白を入れました。
それでは、楽しんでやってください。
(しまった、完全に男へ戻るタイミングを逃してしまった)
そう感じてしまっても、もう後の祭りだ。
完全に彼女はあたしのことを女性と信じてしまったみたいだった。
まあ普通に考えて簡単に性転換出来るような人間なんでどこにもいないだろうが、ゲームなのだからそういうアイテムがあってもいいのではないだろうか?
「あ、ユウさん!洗い物はあたしがしておきますので!」
アトリーヌが元気よく申し出てくれる。
「ほんと?じゃあお願い出来るかな?」
「はい!まっかせてください!」
こちらに対して敵対意識を持っていないのが救いだけれど、こっちの生活水準が分からないのではどういった形が彼女にとって過ごしやすいのか、そういったさじ加減が難しい。
「ねえ女神」
《はいはーい、なにかな?》
アトリーヌに聞こえないように寝室に移動しながら女神に話しかける。
「この世界の住人は1度死んだらもう生き返れないんだよね?」
《もちろん、彼らに取ってはここが唯一の世界さ、だからここで死んだら終わりだよ》
「それなら、あたしが生き返らせてと頼んだら?」
「いや、それでも不可能だ。既にこの世界と私は完全に別ものとして成立してる。だからこの世界で生まれた人やものは、この世界の創造主たる私でもどうにも出来ない」
こればっかりは仕方がないんだ、と女神は困り顔する。
「逆に言えば、君は私のと直接パスを繋いでいる、そして君はこの世界のものではない。この二つの要素があるからこそ、私は干渉できるんだよ」
「じゃあ、私があの場で死ぬはずだった彼女を助けたことは、なにか影響はある?」
《それも特に問題は無い。命にはそもそも死という共通点以外には特に制約なんかはない。だからどこで死ぬはずだったなんて言うのはなんの意味もない。むしろ若くして死んだ魂は生への執着がとても色濃いことが多いからね。
それが土地と結びついてしまうとアンデットモンスターになってしまう。そうするともう人間には転生出来ない、その魂は消滅するしかなくなる。神に取ってはそちらの方が痛手だろうね》
「ふむ…」
アンデットモンスターか、まだあったことはないけど、やはりそう言ったモンスターも存在しているのね。
《それはそうと、あの熊からドロップしたアイテムはもう見て見たのかい?》
「うんん、まだ、いまからみようとしていたところだよ」
《そうかい、なら邪魔しないように退散しよう、また何か聞きたいことがあれば呼んでくれ》
そういって女神の気配は消えた。
私はメニューを呼び出して、アイテム欄にある《宝箱(中)》を選択して取り出す。
すると、目の前にぼんっ!と言う音共にドロップした宝箱が現れる。
中身はそのまま、
【レッド・ポーション】
【アイシクル・スロー】
【黄金の卵】
【アーバレスト】
【猛獣の革鎧】
だ。
まずは【レッド・ポーション】から。
【レッド・ポーション】
【効果】→HP+50
《生命力を具現化した薬。
飲むことで即座にHPを回復できる。》
うん、回復アイテムだ。
特筆することは無いけど、今のところはとても有難い。
ひとつあるだけで安心感がある。
次にいこう。
【アイシクル・スロー】
【効果】魔術を習得
《魔術の真髄を記した魔道書。
読むことで即座に魔術を習得出来る。》
いわゆる魔道書アイテムだ。
MPがある時点で魔法はあると思っていたが、この世界では魔術のようだ。
それを即時に習得出来るというのはあるのは中々に強いのではないだろうか。
ただあたしはまだMPは0のまま、使って習得しても使えない。今は保留しておこう。
次だ。
【黄金の卵】
【効果】全ステータスからランダムに3つの値の数値を+1~3上昇させる。
《ごく稀にしか生まれないとされる貴重な卵。
その味は潜在能力さえ引き出すとされる。》
まさかのドーピングアイテムである。
それも一度に3つのステを上げれるのは強力だ。
だがこの手のアイテムが真価を発揮するのはだいたいLvがかなり高くなってからなので、出来ればそこまでは残しておきたい。
次に行こう。
【アーバレスト】→STR+7 DEX+3
《巨大な金属の弦を張った弓。》
【特殊効果】戦闘後にランダムでSTR上昇
【付与スキル】なし
これは中々強い武器が来た。
上昇値も高く、マイナス補正もない。
更には戦闘後のランダムでの能力値上昇値効果まで備わっていると来た。
これは間違いなく主戦力スキルの【即殺投擲】と組み合わせればさらに強力になるだろう。
そして最後。
【猛獣の革鎧】→VIT+5 AGI+3
《凶暴な獣の革を鞣して作られた鎧、動きを阻害しないように作られている》
【特殊効果】なし
【付与スキル】なし
こちらは少し良くなった防具という感じ。
序盤のアイテムだが、学生服よりはマシだろう。
ドロップは以上だった。
早速【アーバレスト】と【猛獣の革鎧】を装備してみる。
【頭】なし
【体】【猛獣の革鎧】
【腕】【アーバレスト】
【足】なし
【装飾】なし
なるほど、武器は腕装備になるのか。
そして見てみると、見た目は地肌に革鎧と言う、なんともマニアックな姿に変わっていた。
「ユウさーん、洗い物終わりましたー」
ちょうどそのタイミングでアトリーヌが入ってくる。
「!!??」
あ、顔が真っ赤になっている。
「な、なななななんて格好を!?」
「いや、ドロップアイテムの試着を」
「ダメですダメです着替えてください!」
そう言ってバタン!とドアを閉めて出ていってしまった。
…ドアの外から荒い息が聞こえてくる。
おかしいな、彼女からは同性として見られているはずなのに。
《くっくっく、あーっはっはっは!!》
なんか女神は堪えきれないとばかりに大笑いしている。
とりあえず普通の服に着替える。
「着替えたよ」
そう言うと、そーっとドアが開いてアトリーヌがチラリと覗いてくる。
「ふう、びっくりしましたよー…」
アトリーヌは心底疲れたように言う。
「ユウさんはこう、もっと自分の格好とかに気を使ってください!あなたはとっても魅力的なんですよ!そんな人があんな素肌に革鎧だけなんてマニアックな格好して!あたしが男ならどうなっていたことか!」
「そう?」
「そうですよ!」
力強く言われてしまった。
まあ、そう言われたのなら気をつけるとしよう。
「でも、なんで革鎧なんか着てたんですか?」
「ドロップアイテムの確認を」
「ドロップアイテム?ユウさんって冒険者だったんですか!?」
冒険者、この世界にはそんなものもあるのか。
ちょっと詳しく聞いてみよう。
「冒険者ってなに?」
「え、知らないんですか?」
「うん」
「そ、そうですか…なんというかユウさんって不思議ですね…」
「常識なの?」
「そ、そうですね、割と一般常識だとおもいます。私の暮らしているアルテの街にも冒険者組合がありますし、ほかの街にもあると思いますよ」
ギルド!心躍る様な単語だ。
ゲーム好きならゲーム内でも作っていただろう。
それがこの世界でも一般的あるというのはとても嬉しい。
やっぱり個人的には、RPGにはこう言った要素があった方が断然面白い。
「急に嬉しそうですねユウさん…」
「うん、とっても」
「もしかして、ギルドに入りたいんですか?」
「うん、入りたい」
「そうですか…ギルドには入会試験というのがあって、女性だとクリアはなかなか難しいと聞きますよ?」
「それでも入りたい」
「分かりました、なら、あたしがアルテの街に案内してあげますよ!」
「ほんと?たすかる」
思わずアトリーヌの手をギュッと握る。
途端、彼女の顔がボッ!!!と赤くなる。
ちょっと面白い。
「わ、分かりました!分かりましたから、ち、近い、近いですぅぅぅぅ」
おっと、気付かぬうちに前のめりになってしまった。
私が距離を戻すと、アトリーヌはこほん、と咳払いをして、
「それじゃあ、用意をして出発しましょう。今からなら日暮れ前には着きます」
「うん、分かった」
こうして、ようやっと私は街に向かって進みはじめた。
目指すはこの世界のギルド。
少しずつ進んでいる、そう実感した。
ありがとうございます。
読みづらかったりしたら教えていただけると助かります。
ユウは男に戻れるんでしょうかねえ…?